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SUNDAY TALK2011
第28回:のど元過ぎれば…で良いのでしょうか(2011年〔平成23年〕7月10日公開)
「民主党も自由民主党も公明党も嫌いだ」
「私は九州の人間だから東北の何市がどこの県か分からない」
「知恵を出したところは助けるがそうしないところは助けない」
「政府に甘えるところは甘えて良い。こちらも突き放すところは突き放す」
「客が来る時は自分が入ってから呼べ」
「今の部分はオフレコだよ。このことを書いた報道機関は終わりになるからな」
上記の発言は今月5日、わずか9日で復興対策担当大臣の座を追われた松本龍代議士の発言である。第二次世界大戦後未曾有の災害となった東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の復興を担うべくその座に就いたのに、上記の発言が元になって短期間でその座を追われたのである。ご覧の通り問題性の高い発言だらけであるが、呆れて物が言えないと思っている方は多いのではないのだろうか。
昨年の明日は何の日だったか、民主党関係者はよく覚えているはずである。第22回参議院議員通常選挙が実施された日である。その結果は最早記すまでもないのだが、それから1年が経とうとしている今、そのことは全く教訓にもなっていない気がしてならないのである。国民の絶大な支持を得て政権の座に就いても失望させることばかりしたから惨敗を喫したのに、その惨敗で何を得たのか。なぜ惨敗を教訓に支持を得られるように努めようとしなかったのか。そんな中で起きた東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)であるが、民主党は更に醜態を国民、いや世界にさらす結果になってしまった。かなりの努力をしない限りは選挙で負け続け、政権の座からも引きずり下ろされるのは確実であろう。
なぜ民主党はここまで情けない姿をさらす結果になったのか。私は次のように考える。
・人材がいない。
・長期的かつ広域的な視野に立って物事を考えていない。
・勝てば官軍という意識がある。
・国民の歓心を得ることしか頭にない。
・長らく野党だったので政治の中心に立つことに慣れていない。
・不惜身命(ふしゃくしんみょう)の考えを持つ人がいない。
・寄せ集めなので考え方が統一的ではない。
・自由民主党から離党した人が多く、結果違うものを求めようとしてもどこか自由民主党と同じ轍を踏むことが多い。
・自分達の公約の裏付けができていないことが多い。
・公約を実現させたことで生じる影響を全く考えていない。
・やはり踏み込めない領域があり、何をしても中途半端になる。
・上層部を信用していない人が多い。
・自由民主党から何も学んでいない。
・危機感を持った人間がいない。
・国民が何を考えているかを全く分かっていない。
・「コンクリートから人へ」などと言っておきながら上から目線で臨んでいる。
どの政党も同じだと思う人もいるかもしれないのだが、問題なのは尻上がりに調子を上げていくべきものがどんどん悪化の一途をたどっていることである。「まだ政権をとって2年も経っていないから」と弁解するのかもしれないが、そのように弁解したところで浴びせられるのは「甘ったれるな!!」とか「何をとぼけているんだ!!」といった批判である。確かに経験のないことをするのは最初は失敗はつきものであるが、慣れてくれば上手になり、人々に認められるのがふつうである。なのに民主党は何をしているのだろうか。今進んでいる道は破滅への道でしかない。それを分かっているのかいないのか。本当にもどかしい。
ずっと勝ち続けるものなどこの世にありはしない。勝ち続けて得るものなど何もない。負けて初めて得るものがある。民主党が政権の座に就いてから2年近く、多数の敗戦を重ねてきたが、そこで何を得たのだろうか。そしてそれをなぜ生かそうとしないのだろうか。それができない限り、それに気付かない限り、再浮上も存続もない。もう手遅れかもしれないが、一日も早くそのことに気付いて欲しいものであるが…。
(AFTER TALK)
民主党は国民の支持を得て政権を取ることしか頭になかったのではないか、今私はそのように思っている。野党時代、特に参議院で過半数を獲得した2007年(平成19年)夏以降与党の提案することに何だかんだ言って反対し、総理大臣を短期間で退陣に追い込ませるような苦痛を与えておきながら自らは建設的な提案をすることはなかったし、第45回衆議院議員総選挙(2009年〔平成21年〕8月30日)では財源をどうするかとかどのような影響が出るかを全く考えずに高速道路の無料化など国民が喜ぶような公約を掲げた。しかも第45回衆議院議員総選挙では圧勝を収め、政権の座に就いた。建設的な考えを示さず、与党の提案することには何でもかんでも反対を唱えたことや国民の支持さえ得れば何をしても許されると思ったこと、そして第45回衆議院議員総選挙では圧勝を収めたことがその後の民主党の凋落と民主党に属する政治家の問題発言を招いたのではないか。
それでも第22回参議院議員通常選挙や東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)で「これじゃいけない。しっかりしなければ」と危機感を持てばまだ分からなかった。けれど、第22回参議院議員通常選挙の惨敗を経ても何も変わらなかったし、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)で大変な時なのに真剣さに欠けるようなことをブログに綴った女性代議士がいたし、国の一大事の最中に菅直人総理大臣を引きずり下ろそうという動きが与党内で起き、結局菅直人総理大臣は退陣させられた。こんな情けない政党は見たことがない。ただ、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)で三陸縦貫自動車道(三陸自動車道)がまだ全線開通には至っていないけれど住民の避難路や物資の輸送路として十分機能したことや未だに高速道路が十分整備されていない東北地方の日本海側の道路が首都圏と東北地方を結ぶ交通路として使われたことを契機に高速道路の着工基準が見直されたことだけは評価したいのだが、これとてもっと早く気付くべきことであった(遅くとも2010年〔平成22年〕暮れから2011年〔平成23年〕初めにかけて鳥取県西部の国道9号線で豪雪により多数の自動車が立ち往生した事件が起きた時点で気付いていれば…)。国家財政事情が厳しいことは理解するが、中央からの視点で地方の高速道路や国土交通省管轄の国道のバイパスの建設を無駄なものと決め付ける姿勢をとったことが悔やまれる(特に国道のバイパスの建設の凍結解除については選挙協力が条件になっていたというし…)。
本作を公開してから1年以上が経過したが、残念ながら民主党を取り巻く環境は更に悪化している。野田佳彦総理大臣が推進した消費税増税法案に反対して離党した小沢一郎元代表が立ち上げた「国民の生活が第一」などに移籍する政治家は後を絶たず、衆議院でも過半数割れの恐れが生じているし、総理大臣の支持率も向上しないままである。近く実施される第23回参議院議員通常選挙(2013年〔平成25年〕7月中に実施?)や第46回衆議院議員総選挙(2013年〔平成25年〕8月までに実施)では民主党にとっては非常に厳しい結果を突き付けられるのは確実であるが、それらの選挙の結果政権の座を引きずり下ろされた後、民主党に属する政治家の面々はどのように民主党が与党だった時代を振り返るのだろうか。「自分達の行ったことは正しかったが国民が納得してくれなかった」と言うのか、「もう少し一生懸命やっていれば良かった」と言うのか、それとも…。
(2012年〔平成24年〕10月16日追記)