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今年期待されること・今年注目したいこと(2017年〔平成29年〕1月3日公開)

 新年の夜(現在は元日の夜を指すが、大晦日〔おおみそか〕の夜を指す説や1月2日の夜を指す説があり、定説はない)に見る夢を初夢といい、「一富士二鷹三茄子(なすび)」というように富士山や鷹、ナスの夢(どんな夢なのだろうか…?)を見ると縁起が良いとされているようですが、そこで今回の「不定期刊・きょうのトピックス」では今年中国地方で期待されることや今年注目したいことを本サイトが対象とする分野について書いてみることに致しました。どうぞご覧下さい。

今年中に開通する可能性のある中国地方を通る道路

※ここで取り上げる道路は2016〜2017年度(平成28〜29年度)に開通する可能性がある中国地方を通る道路(取り上げないものもありますがご了承願います)を国土交通省公式サイトの道路開通情報などを参考に紹介しております。また、開通が2018年(平成30年)になると思われる路線は取り上げておりません。

県名 路線名称 開通予定時期 備考
鳥取県 国道9号線
鳥取西道路
(山陰自動車道)
2017年度
(平成29年度)
実質的に山陰自動車道の一部として建設されている国道9号線のバイパスで、浜村鹿野温泉インターチェンジ(仮称。鳥取市鹿野町乙亥正〔おつがせ〕)〜青谷(あおや)インターチェンジ(鳥取市青谷町青谷)間の開通が予定されている。ただ、国道9号線鳥取西道路は浜村鹿野温泉インターチェンジ〜青谷インターチェンジ間が開通しても鳥取西インターチェンジ(鳥取市嶋)〜浜村鹿野温泉インターチェンジ間が未開通のままであるため、無料で通行できるとしてもどれだけの交通量があるのかは未知数となっている。鳥取自動車道と接続し、十分機能を発揮するためには鳥取西インターチェンジ〜浜村鹿野温泉インターチェンジ間の早期開通が望まれるが現時点ではまだはっきりしていない(2018年度〔平成30年度〕の開通を目指すというのだがどうだろうか)。
島根県 国道9号線
朝山・大田道路
(山陰自動車道)
2017年度
(平成29年度)
実質的に山陰自動車道の一部として建設されている国道9号線のバイパスで、朝山インターチェンジ(仮称。大田市朝山町朝倉)〜大田インターチェンジ(仮称。大田市久手町刺鹿〔さつか〕)間の開通が予定されている。朝山インターチェンジ以東についても大田インターチェンジ以西についても山陰自動車道はまだ開通していないため当分の間高速道路としては孤立することになる。また、無料で通行はできるのだが、国道9号線と接続する大田インターチェンジはともかく、朝山インターチェンジは国道9号線とは県道286号池田・久手停車場線を介して接続することになるため国道9号線からどれだけの交通量の転移があるかが気になるところである。開通したことによる効果が発現するためには少なくとも出雲インターチェンジ(出雲市知井宮町)〜朝山インターチェンジ間の早期開通が望まれるところであるが、恐らく2020年代初頭になるのではないかと思われる。
岡山県 県道377号山口・押撫線
篠坂バイパス
2017年
(平成29年)
笠岡市北部を東西に貫いているが未改良箇所が多い県道377号山口・押撫線の最西端の狭隘箇所(笠岡市篠坂〜笠岡市押撫間)を迂回する目的で建設されているバイパス。現在は山陽自動車道篠坂パーキングエリア(笠岡市篠坂)東方のボックスカルバートを過ぎた辺りから県道3号井原・福山港線までの区間の建設が進められており、この部分が開通すると最西端の狭隘箇所を回避することができるようになる。もっともこの区間の改良が終わっても未改良箇所は多く残されているのだが、注目したいのは起点が1994年(平成6年)に笠岡市山口から笠岡市新賀に移ったのに続いて終点も笠岡市押撫から笠岡市篠坂に移るため路線名称がどうなるかということである(注1)。岡山県は2006年(平成18年)に兵庫県に跨る県道路線の改称が行われたのを最後に県道路線の改廃が全く行われていないのだが、果たして11年ぶりの県道路線の異動はあるのかが注目される。
広島県 国道186号線
御園バイパス
2017年
(平成29年)
1970年(昭和45年)に国道186号線になった区域(山県郡安芸太田町加計〜大竹市北栄〔終点〕間)に残る未改良箇所を解消すべく企図されたバイパスで、大竹市防鹿(ぼうろく)に建設されているバイパスの開通が予定されている。小瀬川に沿って通る現道を短絡する格好で建設されているバイパスで、途中には防鹿トンネル(延長:370m)がある。防鹿地区のバイパスが開通すると残る未改良箇所は大竹市穂仁原(おにはら)の狭隘箇所だけになるが、この箇所の改良が完成するのは2020年(平成32年)前後になる予定である。
国道313号線
神辺・高屋バイパス
2017年度
(平成29年度)
福山市神辺(かんなべ)地区〜井原市中心部間の国道313号線(一部区間は国道486号線重用)の渋滞解消や高規格化を目的として福山市神辺町下御領〜井原市下出部(しもいずえ)町一丁目間に計画されているバイパスで、現在未開通のまま残っている福山市神辺町上御領/中島交差点〜福山市神辺町八尋(やひろ)〜福山市神辺町上御領間が暫定2車線で開通する予定である。途中には福山市神辺地区初の道路トンネル(全長:約300m)が設けられる。沿線は田園地帯が広がるところであり、全線開通後の発展が期待されるところであるが、一方では福山市三吉町一丁目/合同庁舎(東)交差点〜福山市神辺町下御領/湯野口交差点間の国道313号線が上下2車線化こそ完了しているが規格が低いことや福山市中心部と福山市北部を結ぶ幹線道路が不足気味であることが問題化するのではないかと考えている。また、並行する旧道がどうなるかも注目されるところであろう(恐らく福山市と井原市に移管されるのではないのだろうか)。なお、本来の名称は国道313号線(国道486号線重用)神辺バイパスであるが、国道313号線高屋バイパスが連続しているため本サイトでは国道313号線(国道486号線重用)神辺・高屋バイパスと表記することにしている。

今年期待されること・今年注目したいこと

1 市外局番統一問題に進展はあるのか

 いわゆる平成の大合併では市内通話区域を越えた市町村の合併が各地で見られた。例えば福山市の場合、府中区域(市外局番0847のうちの市内局番40〜69の区域)に属する芦品郡新市町(1907〜2003)を編入している。それでも岡山市や倉敷市、呉市、下関市では市外局番の統一を実施し、ほぼ全域で市外局番なしで通話できるようになっているのだが、依然としてそうなっていないところが多数残されている。中国地方の平成の大合併を経験した自治体で未だに市外局番なしで通話できないところが残るところを挙げると下表の通りになる。

県名 市区郡町村名 中心部の市外局番
(カッコ内は市内通話区域名)
中心部と
市外局番が異なる区域と
その市外局番
(カッコ内は市内通話区域名)
備考
鳥取県 鳥取市 0857(鳥取) 旧八頭郡河原町(0858〔郡家〕)
旧八頭郡佐治村(0858〔郡家〕)
旧八頭郡用瀬町(0858〔郡家〕)
西伯郡大山町 0859(米子) 旧西伯郡中山町(0858〔倉吉〕)
島根県 雲南市 0854(木次) 旧飯石郡掛合町(0854〔掛合〕)
旧飯石郡吉田村(0854〔掛合〕)
大田市 0854(大田) 旧邇摩郡温泉津町(0855〔江津〕)
江津市 0855(江津) 旧邑智郡桜江町(0855〔川本〕)
岡山県 真庭市 0867(久世) 旧上房郡北房町(0866〔高梁〕)
加賀郡吉備中央町 0866(高梁) 旧御津郡加茂川町(0867〔加茂川〕)
久米郡美咲町 0868(津山) 旧久米郡旭町(0867〔加茂川〕)
苫田郡鏡野町 0868(津山) 旧苫田郡富村(0867〔久世〕)
広島県 広島市 082(広島) 旧佐伯郡湯来町(0829〔廿日市〕)
尾道市 0848(尾道) 旧因島市(0845〔因島〕)
旧豊田郡瀬戸田町(0845〔因島〕)
庄原市 0824(庄原) 旧比婆郡東城町(08477〔東城〕)
東広島市 082(東広島) 旧賀茂郡黒瀬町(0823〔呉〕)
旧豊田郡安芸津町(0846〔竹原〕)
福山市 084(福山) 旧芦品郡新市町(0847〔府中〕) 松永地区(今津町・金江町・神村〔かむら〕町・高西町(注2)・東村町・藤江町・本郷町・松永町・南今津町・南松永町・宮前町・柳津〔やないづ〕町)と内海(うつみ)町・神辺町・沼隈町との通話には市外局番(084)が必要(松永地区は1985年〔昭和60年〕11月23日に市外局番は福山市中心部と同じ0849に変更された(注3)のだが市内通話区域の福山地域への編入は行われていないため(注4))。
三原市 0848(尾道) 旧賀茂郡大和町(0847〔甲山〕)
旧御調郡久井町(0847〔甲山〕)
三次市 0824(三次) 旧甲奴郡甲奴町(0847〔府中〕)
山県郡北広島町 0826(千代田) 旧山県郡芸北町(0826〔加計〕)
山口県 山口市 083(山口) 旧佐波郡徳地町(0835〔防府〕)
旧吉敷郡阿知須町(0836〔宇部〕)
周南市 0834(徳山) 旧熊毛郡熊毛町(0833〔下松〕)
萩市 0838(萩) 旧阿武郡須佐町(08387〔田万川〕)
旧阿武郡田万川町(08387〔田万川〕)
旧阿武郡むつみ村(08388〔田万川〕)
光市 0833(下松) 旧熊毛郡大和町(0820〔柳井〕)
美祢市 0837(美祢) 旧美祢郡美東町(08396〔山口〕)

 まあ今は携帯電話を持っている人が多いのでどうでも良いことなのかもしれない(但し通話にはいくら同じ通話区域にいたとしても市外局番は要るのだが…)のだが、同じ市町村内で固定電話間での通話に市外局番が要るというのはいかがなものかと考えたくなる。その自治体の行政区域内の一体化に支障をきたしている可能性があるからである。
 上表からもうかがえることであるが、私が住んでいる福山市は第二次世界大戦後の数度にわたる市町村合併の結果、市域全域が単一の市内通話区域になっていない自治体の一つになっている。新市地区が他の地域と市外局番が違うし、松永地区と内海・神辺・沼隈各地区の通話には未だに市外局番が要る。既に倉敷市や下関市は市外局番の統一は終えたのだからさっさとやってしまえば良いだろうと思う方がいるかもしれないのだが、それができないのは複雑な事情があるからである。それは次の通りである。
・新市地区は府中市との関係も深いこと。新市地区の代表駅であるJR福塩線新市駅(福山市新市町新市)は福山市と府中市に跨って設置されている(更にその駅前通りとなる県道217号新市停車場線は道の真ん中を福山市と府中市の境が通っている)し、府中市中心部と福山市新市地区中心部は続いており、境界標識がないと市境があることを感じられない(注5)。また、毎年7月に素盞嗚(すさのお)神社(福山市新市町戸手)で開催される祇園祭(けんか神輿〔みこし〕として知られる)には府中市中須(なかず)町の住民も参加している。
・松永地区は尾道市との関係も深いこと。テレビ放送やエフエム放送は尾道中継局を受信している人が多いし、コミュニティ放送局もエフエムふくやま(愛称:レディオBINGO。福山市西町二丁目)よりも受信状況が良い尾道エフエム放送(愛称:エフエムおのみちまたはエフエムおのみち79.4。尾道市東御所町)を聴く人が少なくない。また、松永地区にある警察署や郵便局は尾道市の一部地域を管轄下に置いている(注6)
・沼隈半島で唯一尾道市に属している浦崎町は都市規模や財政規模の問題から松永市(1954〜1966)や沼隈郡沼隈町(1955〜2005)の一部にはならず、尾道市への編入を選んだのだが、尾道市編入から60年経った現在も尾道市の飛び地状態(注7)は解消されておらず、松永市や沼隈郡沼隈町を市域に収めた福山市との関係も強いこと。現に1975年(昭和50年)頃には福山市への編入を求める声が起きたことが地元紙で報じられている。
 福山市の発展の一翼を担った広域合併の副産物とも言えるわけであるが、実はかつて福山市は市域の大部分の市外局番の統一に積極的だった時期があった。1980年代のことであるが、3度にわたる市外局番変更(下表参照)により市域のほとんどが市内局番から電話をかけるだけで通話できるようになったのである。

時期 変更内容 備考
1982年(昭和57年)1月24日 芦田地区(084758)と松永地区(08485)を除く市域の市外局番を0849に統一する。 当時福山市に編入されていなかった内海・神辺・沼隈各地区についても市外局番が0849に統一されている。
1985年(昭和60年)11月23日 松永地区の市外局番を0849に統一する。 それまで松永地区で使用されていた市内局番は2局・3局・7局・8局だったがそれぞれ33局・34局・35局・36局に変更された。
市外局番自体は芦田地区を除く福山市域と統一されたが、市内通話区域は尾道区域のままとされたため当時福山市に編入されていなかった内海・神辺・沼隈各地区との通話には市外局番が必要だった。
1987年(昭和62年)12月13日 芦田地区の市外局番を0849に統一する。 芦田地区にはそれまで市内局番はなかったが、この変更により58局が設定された(福山市北部の市内局番は60〜70番台(注8)であるが、新しい市内局番を設定すると混乱する恐れがあったことや未使用の市内局番は需要増加のためにとっており、芦田地区のために転用することは考えられなかったこと、当時ちょうど市内局番58局が未使用だったことなどが理由ではないかと思われる)。更にこの時芦田地区の市内通話区域は府中区域から福山区域に変更された。

 早くから市外局番統一を進めたことが実は市外局番の3桁化が山口市より後になった原因になった(注9)わけであるが、芦田地区の市外局番統一・市内通話区域変更から間もなく30年が経過しようという今日、状況は大きく変わっている。平成の大合併では市内通話区域の異なる芦品(あしな)郡新市町(1907〜2003)を編入しているし、松永地区との通話には市外局番が要る内海・神辺・沼隈各地区も福山市に編入された。既にこれらの合併から10年以上の歳月が流れているわけであるが、いつまでこの不便は我慢しなければならないのだろうか。まあ今は携帯電話を使う人が多くなったのでどうでも良いことになっているのかもしれないのだが、そろそろ真剣に取り組んではどうかと思うのである。下表は第二次世界大戦後福山市が合併してきた市町村で、ある時期まで福山市中心部との通話には市外局番が要った地域の一覧であるが、下表を見ただけでもそろそろ…と考えたくなるのである。

旧自治体名 福山市との合併時期 市外局番統一時期 かかった年数 備考
沼隈郡鞆町 1956年(昭和31年)9月30日 1982年(昭和57年)1月24日 約25年4ヶ月 旧市外局番:08498(後地・鞆)または084984(走島)。
田尻については福山区域に編入されており(市内局番56局)、福山市中心部との市外局番なしの通話は可能だった。
深安郡御幸村 1956年(昭和31年)9月30日 1982年(昭和57年)1月24日 約25年4ヶ月 旧市外局番:084972(上岩成)。
下岩成・中津原・森脇(もりわけ)については福山区域に編入されており(市内局番55局)、福山市中心部との市外局番なしの通話は可能だった。
松永市 1966年(昭和41年)5月1日 1985年(昭和60年)11月23日 約19年7ヶ月 旧市外局番:08485。
この合併だけは他の合併とは性質が異なる(他の町村との合併は編入だったが、松永市との合併は統合〔対等合併または新設合併とも称する〕であった)。
芦品郡芦田町 1974年(昭和49年)4月1日 1987年(昭和62年)12月13日 約13年8ヶ月 旧市外局番:084758。
福田のうちの芦田川左岸地域、すなわち上河原地区については市外局番は0847となっており、市外局番変更の対象にはならなかった
(注10)
芦品郡駅家町 1975年(昭和50年)2月1日 1982年(昭和57年)1月24日 約7年 旧市外局番:08497(法成寺の全域及び万能倉〔まなぐら〕の一部地域を除く)または084972(法成寺の全域及び万能倉の一部地域)。
深安郡加茂町 1975年(昭和50年)2月1日 1982年(昭和57年)1月24日 約7年 旧市外局番:084972(矢川・山野を除く)または084974(矢川・山野)。
芦品郡新市町 2003年(平成15年)2月3日 市外局番:0847。

 市外局番の変更は2013年(平成25年)5月1日実施の岡山市・久米郡久米南町における市外局番統一が全国的に見ても、当然のことながら中国地方においても最後になっている。やはり携帯電話の普及と固定電話の需要の減少が背景にあるのだろう。しかし、今後一切市外局番変更が行われないということは考えられないし、やはり同じ市町村域なのに市外局番が異なるというのは固定電話同士の通話が減少している状況があっても放置し続けられる問題ではない。果たして次の中国地方における市外局番変更はいつ、どこで行われるのだろうか。もし今計画が発表されても実施は2018年(平成30年)に入ってからになることであろうが、注目したい問題である。

2 広島県二つ目の自転車道県道は発足するのか

 広島県は全国で9番目、中国地方では2番目に都道府県道路線の多い都道府県である(下表参照。データは2017年〔平成29年〕1月3日現在)。

順位 都道府県名 路線数 備考
主要地方道 一般
都道府県道
合計
1 北海道 151 742 893
2 新潟県 89 453 542
3 兵庫県 98 394 492
4 愛知県 80 387 467
5 福岡県 102 355 457 主要地方道の路線数と合計には大牟田市内を通過しているが福岡県が存在を認めていない熊本県道29号荒尾・南関線を含めている。
6 長野県 83 320 403
7 岡山県 68 305 373 一般県道の路線数と合計には鳥取県が津山市阿波(あば)と鳥取県八頭郡智頭(ちづ)町口波多を結ぶ目的で認定しながら未だに岡山県が認定を拒んでいる鳥取県道303号大高下・口波多線を含めている。
8 福島県 76 293 369
9 広島県 76 285 361
10 埼玉県 90 256 346

 ところが、その広島県が最下位(但し単独ではない)になっている都道府県道路線の種類がある。それは自転車道である。下表は2017年(平成29年)1月3日現在の都道府県道に認定されている自転車道の一覧と路線数の順位であるが、広島県は佐賀県・長崎県・沖縄県とともに1路線しか自転車道がなく、同数44位(最下位)になっているのである。

(都道府県別自転車道路線一覧表)

都道府県名 路線名称 路線数 備考
北海道 道道814号滝野・上野幌自転車道線
道道835号釧路・阿寒自転車道線
道道872号支笏湖公園自転車道線
道道977号十勝川温泉・帯広自転車道線
道道990号深川・砂川自転車道線
道道1053号真駒内・茨戸・東雁来自転車道線
道道1076号利尻富士・利尻自転車道線
道道1087号網走・常呂自転車道線
道道1136号旭川・層雲峡自転車道線
道道1148号札幌・恵庭自転車道線
10
青森県 県道256号青森・十和田湖自転車道線
県道265号鶴田・五所川原自転車道線
2
岩手県 県道501号北上・花巻温泉自転車道線
県道502号盛岡・矢巾自転車道線
県道503号遠野・東和自転車道線
3
宮城県 県道227号仙台・亘理自転車道線
県道246号石巻・松島自転車道線
2
秋田県 県道401号雄和・仁別自転車道線
県道402号秋田・河辺・雄和自転車道線
県道403号秋田・男鹿自転車道線
3
山形県 県道145号間沢・寒河江・山形自転車道線
県道384号米沢・県南公園自転車道線
県道385号立川・鶴岡自転車道線
3
福島県 県道372号須賀川・二本松自転車道線
県道379号矢祭・棚倉自転車道線
県道392号会津若松・熱塩温泉自転車道線
3
茨城県 県道500号茨城・大洗自転車道線
県道502号取手・常総自転車道線
県道503号古河・坂東自転車道線
県道505号桜川・土浦・潮来自転車道線
4 県道505号桜川・土浦・潮来(いたこ)自転車道線は2016年(平成28年)4月1日茨城県告示第430号により認定された路線で、2016年(平成28年)3月31日茨城県告示第412号により廃止された県道501号桜川・土浦自転車道線(2006〜2016)と県道504号潮来・土浦自転車道線(2001〜2016)が統合して発足した路線である。
栃木県 県道289号二宮・宇都宮自転車道線
県道313号渡良瀬遊水地・壬生自転車道線
2
栃木県
群馬県
県道402号桐生・足利・藤岡自転車道線 1
群馬県 (なし) 0 県内で完結する路線は存在しない。
群馬県
埼玉県
県道416号利根川自転車道線
県道417号高崎・伊勢崎自転車道線
2
埼玉県 県道155号さいたま・武蔵丘陵森林公園自転車道線
県道156号三郷・幸手自転車道線
県道157号川越・狭山自転車道線
県道158号川島・こども動物自然公園自転車道線
4
埼玉県
東京都
都道/県道255号足立・さいたま自転車道線 1
千葉県 県道401号松戸・野田・関宿自転車道線
県道402号長生・茂原自転車道線
県道403号和田・白浜・館山自転車道線
県道404号銚子・小見川・佐原自転車道線
県道405号九十九里・一宮・大原自転車道線
県道406号八千代・印旛・栄自転車道線
県道407号我孫子・流山自転車道線
県道408号飯岡・九十九里自転車道線
県道409号佐原・我孫子自転車道線
9
東京都 都道253号保谷・狭山自然公園自転車道線 1
神奈川県 県道409号相模川自転車道線
県道451号藤沢・大和自転車道線
2
新潟県 県道490号安田・新潟自転車道線
県道542号上越・糸魚川自転車道線
2
富山県 県道370号富山・庄川・小矢部自転車道線
県道375号富山・朝日自転車道線
2
石川県 県道293号羽咋・巌門自転車道線
県道294号金沢・小松自転車道線
県道295号小松・加賀自転車道線
県道302号手取川自転車道線
県道326号金沢・羽咋自転車道線
5
福井県 県道801号永平寺・福井自転車道線
県道802号小浜・大飯・高浜自転車道線
県道803号北潟湖畔自転車道線
3
山梨県 県道114号南アルプス・甲斐自転車道線
県道115号西下条・音羽自転車道線
県道417号市川三郷・山梨自転車道線
県道715号富士吉田・山中湖自転車道線
4
長野県 県道441号穂高・松本・塩尻自転車道線
県道462号上田・千曲・長野自転車道線
県道465号飯田・上郷・松川自転車道線
3
岐阜県 県道195号岐阜・千本松原公園自転車道線
県道203号岐阜・小倉公園自転車道線
2
静岡県 県道375号静岡・御前崎自転車道線
県道376号浜松・御前崎自転車道線
県道377号静岡・清水自転車道線
県道378号猪鼻湖周遊自転車道線
県道379号浜名湖周遊自転車道線
5
愛知県 県道288号豊田・安城自転車道線
県道497号田原・豊橋自転車道線
県道511号武豊・大府自転車道線
3
三重県 県道129号磯部・大王自転車道線
県道777号松阪・伊勢自転車道線
2
滋賀県 県道600号近江八幡・安土・能登川自転車道線
県道601号守山・大津・志賀自転車道線
2
京都府 府道801号京都・八幡・木津自転車道線
府道802号田井・大垣自転車道線
府道803号加悦・岩滝自転車道線
3
大阪府 府道801号大阪・吹田自転車道線
府道802号八尾・河内長野自転車道線
府道803号旭・西淀川自転車道線
府道804号北河内自転車道線
4
兵庫県 県道554号姫路・明石自転車道線
県道563号神出・山田自転車道線
県道569号加古川右岸自転車道線
県道572号播磨中央自転車道線
4
奈良県 県道266号奈良・西の京・斑鳩自転車道線
県道273号大和郡山・田原本・橿原自転車道線
県道274号明日香・大和郡山自転車道線
県道280号大和青垣吉野川自転車道線
4 県道280号大和(やまと)青垣吉野川自転車道線は2016年(平成28年)6月3日奈良県告示第74号により認定された、全国で最も新しい自転車道である。
和歌山県 県道801号白浜・日置川自転車道線
県道802号太地・新宮自転車道線
県道803号紀の川自転車道線
県道804号貴志川自転車道線
4
鳥取県 県道500号鳥取・河原自転車道線
県道501号倉吉・東郷自転車道線
県道502号米子・境港自転車道線
県道503号赤碕・東郷自転車道線
4
島根県 県道351号出雲路自転車道線
県道352号宍道湖湖北自転車道線
2
岡山県 県道700号岡山・総社自転車道線
県道701号岡山・賀陽自転車道線
県道702号八束・川上自転車道線
県道703号備前・柵原自転車道線
4
広島県 県道466号向島・因島・瀬戸田自転車道線 1
山口県 県道501号山口・秋吉台公園自転車道線
県道502号山口・防府・小郡自転車道線
県道503号佐波川自転車道線
3
徳島県 県道401号鳴門・徳島自転車道線
県道402号阿南・徳島自転車道線
2
香川県 県道269号塩江・香川・高松自転車道線
県道270号丸亀・琴平・観音寺自転車道線
県道277号香川・坂出・丸亀自転車道線
3
愛媛県 県道325号今治・大三島自転車道線
県道335号松山・川内自転車道線
2
高知県 県道501号高知・安芸自転車道線
県道502号中村・大方自転車道線
2
福岡県 県道297号鱒渕・八幡東自転車道線
県道301号遠賀・宗像自転車道線
県道302号直方・北九州自転車道線
県道474号飯塚・直方自転車道線
県道611号西ノ浦・今宿自転車道線
県道806号吉井・久留米自転車道線
6
佐賀県 県道401号佐賀環状自転車道線 1
長崎県 県道300号長崎・野母崎自転車道線 1
熊本県 県道330号熊本・山鹿自転車道線
県道335号湯前・人吉自転車道線
2
大分県 県道220号玖珠・九重自転車道線
県道411号中津・山国自転車道線
県道413号杵築・安岐・国東自転車道線
県道713号弁天・横瀬自転車道線
4
宮崎県 県道363号綾・宮崎自転車道線
県道365号宮崎・佐土原・西都自転車道線
2
鹿児島県 県道101号東串良・吾平自転車道線
県道X号加世田・日吉自転車道線
2 加世田・日吉自転車道線にはなぜか路線番号は設定されていない。
沖縄県 県道236号玉城・那覇自転車道線 1
合計 146

(路線数順位)

路線数 都道府県名 備考
1 10 北海道
2 9 千葉県
3 7 埼玉県
4 6 福岡県
5 5 石川県
静岡県
7 4 茨城県
山梨県
大阪府
兵庫県
奈良県
和歌山県
鳥取県
岡山県
大分県
16 3 岩手県
秋田県
山形県
福島県
栃木県
群馬県
福井県
長野県
愛知県
京都府
山口県
香川県
28 2 青森県
宮城県
東京都
神奈川県
新潟県
富山県
岐阜県
三重県
滋賀県
島根県
徳島県
愛媛県
高知県
熊本県
宮崎県
鹿児島県
44 1 広島県
佐賀県
長崎県
沖縄県

 広島県の面積は佐賀県・長崎県・沖縄県のそれを大きく上回っている(注11)のだが、現在県道に認定されている自転車道は1980年(昭和55年)7月1日広島県告示第583号により認定された県道466号向島・因島・瀬戸田自転車道線だけなのである。路線名称をご覧になって気付いた方もいるかもしれないのだが、この県道466号向島・因島・瀬戸田自転車道線は本州・四国連絡橋尾道・今治ルート(西瀬戸自動車道〔愛称:瀬戸内しまなみ海道〕)と一緒に海を渡り、現在は尾道市に属している向島・因島・生口島を巡って多々羅大橋(全長:1,480m)の途中にある広島・愛媛県境に至るという路線(広島・愛媛県境では愛媛県道325号今治・大三島自転車道線の支線と接続(注12))なのである。つまり、広島県には未だに本土部分を通る県道に認定された自転車道が存在しないということなのである。まあ本州・四国連絡橋尾道・今治ルートが新尾道大橋(全長:546m)以外の渡海橋は自転車や歩行者が通れるようになっていることで知られ、国内外から多くの観光客を集めていることを思えば少数精鋭主義で行こうと考えたのかもしれないのだが、いくつか推奨ルートを設定し(注13)、国内外から訪れた方に対して自転車旅行を楽しんでもらおうという方針を採っている広島県にしてはこの状況は何かお寒いものがある。
 そんな中、広島県では21世紀に入ってから二つの長距離鉄道路線が廃止されるという問題が起きた。一つは2003年(平成15年)12月1日に可部〜三段峡間が廃止されたJR可部線であり、もう一つは来年4月1日の全線廃止が昨秋決定したJR三江線である。前者は約44kmにわたり(注14)、後者は約108kmにわたりそれぞれ長細い空き地が生じることになるわけであるが、その跡地利用はまだ決まっていないところが少なくない。これら2路線の廃止は元々人口が少ない地域を通っていたことや沿線の過疎化が進展したこと、並行して通る国道路線や高速道路の整備が進んだこと、災害に弱いこと、広域的観点から有用な路線になり得ていないこと、観光振興で利用を増やすことも考えられはしたが難しかったこと(注15)、そして運営者である西日本旅客鉄道(JR西日本。大阪市北区芝田二丁目)が利益を上げられる事業(注16)に力を置きたいことなどから決められたこと(注17)なのだが、当然のことながら沿線地域では致し方ないという思いともう少し努力すれば良かったのではないかとか最初から残す気など全くなかったのだろうとか地域を滅ぼす気なのかという不満が伯仲している。
 私としては西日本旅客鉄道がもう少し努力していれば何とかなったのではないかとか沿線住民や観光客が乗らないように仕向けて廃止に追い込んでいるのではないかと考えたくなるのだが、一方では致し方ないことなのかなとも感じているところである。というのも鉄道には次に挙げるような弱点があるからである。
・鉄道を含めた公共交通機関は利用できる場所が限られており、そこまでが遠いと利用されなくなる傾向があること。
・鉄道を含めた公共交通機関は必ずしも利用しやすいようにはなっていないこと。
・鉄道は人を乗せるだけでなく荷物を運ぶ目的を持って建設されたところが多く、道路整備が進んだ今は荷物輸送がトラックにとって代わられたために人を乗せるだけの目的しかない路線が多くなったこと。
・鉄道を含めた公共交通機関は多くの人を乗せることで経営が成り立つものであり、人口希薄地帯に路線を設定しても意味がないこと。
・鉄道は設備だけでなく車両も必要であり、それには多額の費用がかかること。
・利用者の少ない鉄道路線は優等列車や観光列車など付加価値のある列車を設定しないとやって行けないこと。
・広域的に有用でないと路線の存在価値が下がること。
・路線を運営する会社の方針が路線の命運を握っていること。
 もう少し計画性のある鉄道敷設計画が行われていればこういう悲劇はなかったのでは…と思いたくなるのだが、政治家の実績・票集めの具になっていたことなどを考えればそれは難しかったのだろう。
 さて、前に私は「可部線廃止区間は約44kmにわたり、三江線は約108kmにわたりそれぞれ細長い空き地が生じることになる」と書いたのだが、まだ廃止まで1年以上ある三江線はともかく、廃止から既に十数年が経過した可部線も一部は道路用地などになっているが今なお廃止当時のまま残されているところも少なくない。確かに過疎化している山間部を通っている路線だから活用方法がなかなか見つからないということもあるのだろうが、そこで私は可部線廃止区間と三江線の跡地を自転車道に転用し、観光振興を図ることを提案したいのである。
 恐らくこの提案は賛否両論が起きると思うし、広島県もまともには取り合わないであろう。しかし、なぜそれでもこの提案をするのか。広島県に県道に認定されている自転車道が一つしかなく、それも島嶼(とうしょ)部にしかないという現状を解消して頂きたいとか自転車で観光振興を図っているのに県道に認定されている自転車道が一つしかないのは恥ずかしいとは全く思わないのかという思いもあるのだが、次に挙げる理由もある。
・可部線廃止区間・三江線とも広島県を代表する河川(可部線廃止区間…太田川、三江線…江の川)に沿って敷設されていること。
・廃線区間の平均勾配は緩いこと(可部線廃止区間…約7パーミル、三江線…約1.37パーミル)。
・並行して通る道路の整備は進んでおり、廃線跡を用いてまで道路整備を行うべきところはそんなにないこと。
・廃線跡は通過自治体に払い下げされることになるが、通過自治体のほとんどは人口が少なく、なおかつ財政事情が厳しいところであり、活用策がすぐに見つかるとは思えないこと。
・廃止された鉄道路線が通る自治体は複数あることやそのほとんどが財政事情が厳しいことを考えるとその上に立つ県が何らかの手を打つ必要があると考えていること。
・広島県は海だけでなく川も山もあるということをもっと多くの人々に知って頂くきっかけになり得ること。
・鉄道では回りにくかった、鉄道から離れたところにある観光地も巡れるようになること。
・日本全国で146路線ある都道府県道に認定されている自転車道の中には鉄道路線の跡地を活用したところが多数あること(下表参照。必ずしも鉄道路線跡地を全て使っているわけではないし、もしかしたら漏れている自転車道もあるかもしれないことをあらかじめお断りしておく)。

都道府県名 路線名称 使用廃線名 備考
北海道 道道835号釧路・阿寒自転車道線 雄別鉄道雄別本線
道道872号支笏湖公園自転車道線 王子軽便鉄道
道道1087号網走・常呂自転車道線
国鉄湧網線
道道1148号札幌・恵庭自転車道線 国鉄千歳線 改良を目的とした線路付け替えによる廃止であり路線自体の廃止ではない。
国鉄千歳(ちとせ)線は日本国有鉄道が分割・民営化された際に北海道旅客鉄道(JR北海道。札幌市中央区北十一条西十五丁目)が運営を継承したため現在はJR千歳線と改称している。
岩手県 県道501号北上・花巻温泉自転車道線 花巻電鉄花巻温泉線
秋田県 県道401号雄和・仁別自転車道線 仁別森林鉄道本線
仁別森林鉄道旭又沢支線
山形県 県道384号米沢・県南公園自転車道線 山形交通高畠線
茨城県 県道505号桜川・土浦・潮来自転車道線 筑波鉄道筑波線
新潟県 県道542号上越・糸魚川自転車道線 国鉄北陸本線 改良を目的とした線路付け替えによる廃止であり路線自体の廃止ではない。
国鉄北陸本線はその後日本国有鉄道が分割・民営化された際に西日本旅客鉄道が運営を継承してJR北陸本線に改称したが、JR北陸新幹線長野〜金沢間開業(2015年〔平成27年〕3月14日)と同時にえちごトキメキ鉄道(上越市西本町三丁目)に運営者が変わったため更にえちごトキメキ鉄道日本海ひすいラインに改称している。
富山県 県道370号富山・庄川・小矢部自転車道線 加越能鉄道加越線 この他加越能鉄道(現:加越能バス〔高岡市江尻〕)が1950〜1960年代に富山〜高岡〜金沢間に計画し、一部は着工していた高速鉄道の未成線跡地を転用した箇所がある。
石川県 県道293号羽咋・巌門自転車道線 北陸鉄道能登線
県道302号手取川自転車道線 北陸鉄道金名線
静岡県 県道375号静岡・御前崎自転車道線 静岡鉄道駿遠線
京都府 府道803号加悦・岩滝自転車道線 加悦鉄道
鳥取県 県道501号倉吉・東郷自転車道線 国鉄倉吉線
岡山県 県道701号岡山・賀陽自転車道線 中国鉄道稲荷山線
県道703号備前・柵原自転車道線 同和鉱業片上鉄道
香川県 県道269号塩江・香川・高松自転車道線 琴平電鉄塩江線
高知県 県道501号高知・安芸自転車道線 土佐電気鉄道安芸線
熊本県 県道330号熊本・山鹿自転車道線 山鹿温泉鉄道山鹿温泉線
大分県 県道411号中津・山国自転車道線 大分交通耶馬渓線
県道413号杵築・安岐・国東自転車道線 大分交通国東線
鹿児島県 県道X号加世田・日吉自転車道線 鹿児島交通枕崎線

・最近5年間だけ見ても新しい自転車道がいくつも都道府県道として認定されていること(下表参照)。

都道府県名 路線名称 認定年月日/
告示番号
備考
茨城県 県道505号桜川・土浦・潮来自転車道線 2016年(平成28年)4月1日
茨城県告示第430号
県道501号桜川・土浦自転車道線と県道504号潮来・土浦自転車道線を統合して発足させた路線。
石川県 県道326号金沢・羽咋自転車道線 2013年(平成25年)3月29日
石川県告示第147号
河北郡内灘町〜羽咋(はくい)市間で整備されていた県道60号金沢・田鶴浜線の自転車道部分が独立して発足した路線。
奈良県 県道280号大和青垣吉野川自転車道線 2016年(平成28年)6月3日
奈良県告示第74号
現時点で最も新しい自転車道。
和歌山県 県道803号紀の川自転車道線 2013年(平成25年)3月29日
和歌山県告示第374号
認定当初は和歌山市と伊都郡九度山町を結ぶ路線だったが、2014年(平成26年)1月24日和歌山県告示第57号により伊都郡九度山町〜橋本市間が追加され、和歌山市と橋本市を結ぶ路線に変更された。
県道804号貴志川自転車道線 2013年(平成25年)3月29日
和歌山県告示第374号

・しっかり整備・宣伝すれば県道466号向島・因島・瀬戸田自転車道線のように全国的に注目される自転車道になり得る可能性を持っていること。
・県道466号向島・因島・瀬戸田自転車道線はほとんどが旧備後国を通る路線であり、旧安芸国を通る路線があっても良いのではないかと思うこと(注18)
・鉄道路線の跡地をずっと放置しておくのはいかがなものかという声が上がる恐れがあること。
・まだ廃止されていない三江線はともかく、可部線廃止区間は既に廃止から十数年が経過しており、いい加減に決着させて欲しいという声が上がる恐れがあること。
 私はこの他県道466号向島・因島・瀬戸田自転車道線の尾道市中心部への延長(本土〜向島間は渡船を利用(注19))や愛媛県道325号今治・大三島自転車道線との統合による新路線発足も考えても良いのではないかと考えており、これらの路線が実現すると広島県は三つの県道に認定された自転車道を有することになる。
 1970年代以降全国各地で発足した、都道府県道に認定されている自転車道は何度も書くように現在146路線存在するが、実は今かなり厳しい状況に置かれている。都道府県道路線として認定はしたものの財政事情の悪化や利用の低迷などの理由により建設が途中で中断したり(注20)認定からかなりの年数が経過しているのに未だに全く供用区間が存在しなかったり(注21)するところがいくつもあるのである。まあ走りやすいとか有名であるとか他地域から行きやすいとか通過自治体が積極的であるとかそういうところでないと利用は低迷し、結果建設する意味はなかったと見なされるわけであるが、そういうところから広島県は県道466号向島・因島・瀬戸田自転車道線以外には自転車道を県道として認定しようとしない方針を採っている可能性も考えられる。考えてみれば広島県は21世紀に入ってから建設を伴う県道路線の認定は全く行っていない(注21)わけであるが、いくら可部線廃線区間や三江線の跡地を利用した自転車道を実現させるべきだという意見があったとしても聞く耳は持てないのであろう(注22)
 この他にも施設の老朽化問題や災害対策など課題は山積しているわけであるが、ただ一つ明らかなのはせっかくのものを生かさない手はないということである。この考え方だったら(今のところ西日本旅客鉄道は三江線以外の中国地方の管轄下にある鉄道路線の廃止を検討しているとか廃止するとは明言していないが)今後出てくるかもしれない廃止路線でも同じことをせざるを得なくなり、収拾がつかなくなるのではないかという声もあるところであるが、私は全ての廃止路線を自転車道に転用して欲しいとは一切訴えていない。ただ、可部線廃止区間にしても三江線にしても自転車道として生かす価値はあると考えているからこのようなことを書いているわけである。一方で望みたいのはもっと沿線住民などが声を上げることである。私として気になるのは鉄道路線廃止後の沿線住民の廃線跡活用に関する意見が全くと言って報じられないことであるが、廃止当時のまま残して欲しいのか、全て解体して鉄道が敷かれる前の状態に戻すのか、何らかの活用を目指すのか、私はそれを聞きたいのである。
 廃線跡地を自転車道として整備して欲しいという思いは単なる独り善がりや思い付きでしかないかもしれない。しかし、「実現してもムダ」とか「非現実的だ」などと言って一蹴できる問題ではない。どのような形で決着させるのか、今後も注目していきたい(本企画でも取材したことを紹介することを今考えているところである。いつやるかは今のところ明言できないが…)。

3 中波放送は今後どうなるのか

 昨年2月29日、ある民間ラジオ放送局の中波中継局が午前0時15分の放送終了をもって運用を終え、廃止された。北日本放送ラジオ(KNB、富山市牛島町)の高岡中波中継局(高岡市伏木矢田)である。北日本放送ラジオの中波中継局は富山本局(富山市新屋)とこの高岡中継局の二つしかなかったのだが、高岡中継局の廃止により富山本局だけになったのである。
 北日本放送ラジオの放送区域である富山県の面積は4,247.61平方キロメートル(2015年〔平成27年〕10月1日現在。但し長野県との境界が確定していないところ(注23)があるため参考値を記している)と広島県のそれ(2015年〔平成27年〕10月1日現在の数値は8,479.45平方キロメートル)の半分程度だし広大な富山平野があるから富山本局だけで十分であること(注24)や経費を節減しなければならなくなったことから北日本放送は高岡中波中継局を廃止したのだろうと思った方もいるかもしれないのだが、実はそうではない。北日本放送ラジオは夜になると大韓民国や朝鮮民主主義人民共和国、中華人民共和国、ロシア連邦などの海外の放送局との混信が激しくなり、聴取が難しくなっていたのである。富山県から見ると大韓民国や中華人民共和国の方向には最高地点が600m以上になる宝達丘陵がある(注25)ので混信しないのでは…と思う方がいるかもしれないのだが、それほど大韓民国や朝鮮民主主義人民共和国、中華人民共和国、ロシア連邦などの海外の放送局の出力が強いのだろう。そこで北日本放送は平成時代に入ってからエフエム中継局を黒部市や砺波(となみ)市に設置したのだが、更にエフエム補完放送の制度が始まったことを利用して富山市にもエフエム中継局を設置し、富山県内のほとんどの地域でエフエム放送でも北日本放送ラジオが受信できるようにしたのである。こうなってくると微妙な立場に追いやられるのが高岡中波中継局である。高岡中波中継局は混信対策で1988年(昭和63年)に設置されたのだが、富山県内のどこでも同じ周波数で受信できるようにするために富山本局と同じ周波数(738kHz)を使用していたことから混信対策には役に立っていないとか干渉性フェージングにより受信しにくい地域が出るといった問題があったのである。そこで北日本放送は高岡中波中継局は使命を終えたと判断し、廃止に踏み切ったのであろう。
 まあ北日本放送ラジオは昼間は富山県内のほとんどの地域で738kHzでもきれいに受信できるし、北日本放送には長年親しまれてきた中波放送をやめる考えはないと思われるのだが、エフエム補完放送が充実したから中波中継局を廃止するという動きを見て中波放送は今後どうなるのだろうという思いを抱いた方はいたのではないのだろうか。中波放送は電波が遠くまで届くから中継局は少なくて済むし、番組編成も幅広い世代に対応しているので今日でも有用な存在だと私は考えるのだが、一方では次に挙げるような難点も持っている。
・電波が遠くまで届く性質があるが故に同じ周波数を出力が強い放送局が使っていると混信したり受信しにくくなったりすること。
・周波数は日本の場合9kHz間隔になっているため近接した周波数を使っている放送局が受信可能な場合混信したり受信しにくくなったりすること。
・室内で聴いている時にそばにある蛍光灯をつけると雑音が入ること。
・電化されている鉄道路線のそばを走っていると雑音が入ること。
・大規模商業施設の立体駐車場など建物の中で受信しにくくなること。
・きれいな音声で受信できない場合が多いこと。
・山間部や高層ビルの谷間など受信できないところが少なくないこと。
・中継局はほとんどが高くて細長い鉄塔を建てていること。
・中波中継局のほとんどは設置からかなりの年数が経過しており、鉄塔の老朽化が懸念されること。
・災害に遭いやすい場所(川のそばや海のそば、平地)に中継局を設置しているところが多いこと。
・中波ステレオ放送を導入するところが少なかったばかりかすぐ廃れてしまったこと(注26)でもうかがえるように新たな技術・サービスが定着しにくいこと。
 そこでエフエム補完放送が企図されたわけであるが、中国地方の場合、山口放送ラジオ(KRY、周南市徳山)がエフエム補完放送に積極的であるのが目立つ。既に周南・長門・萩・美祢・柳井の5箇所の中継局が開局し、恐らく今秋には岩国・下関両中継局も開局するものと思われる。山口放送ラジオの中波中継局は6箇所(周南・山口・岩国・下関・須佐田万川・萩)あるが岩国・下関両エフエム中継局が開局するとエフエム中継局の数が中波中継局の数を上回ることになり、須佐田万川中波中継局(萩市須佐)以外の各中波中継局がエフエム中継局で補完されることになる(注27)。まあ山口放送が中波放送をやめるということはないと思うのだが、北日本放送にしても山口放送にしても中波中継局の数よりエフエム中継局の数が多くなると中波放送の在り方そのものが問われてくるのではないかとさえ思えてくる。
 ならば中波放送局がエフエム放送局に鞍替えすることはあり得るのか。実は過去に一つだけあった。沖縄県を放送区域としていた極東放送(KHR、浦添市小湾。1958〜1984)である。極東放送は1984年(昭和59年)9月1日、エフエム沖縄(浦添市小湾)に鞍替えしたのだが、なぜ鞍替えしたのか。次に挙げる事情があったからである。
・沖縄県を放送区域とする民間中波放送局は他に琉球放送ラジオ(RBC、那覇市久茂地二丁目)とラジオ沖縄(ROK、那覇市西一丁目)があり、人口が少ない県であるにもかかわらず三つの民間中波放送局がしのぎを削る格好になっていたこと。
・沖縄県は四方を海に囲まれているために海外の放送局との混信がひどいこと。
・沖縄県に相当する地域の施政権がアメリカ合衆国から日本に返還された後、エフエム東京(愛称:TOKYO FM。東京都千代田区麹町一丁目)と提携関係を結んだこと。
・もし琉球放送ラジオ・ラジオ沖縄・極東放送を残したまま都道府県域民間エフエム放送局用の周波数を割り当て、開局させるといずれの放送局も経営が成り立たなくなる恐れがあること。
 沖縄県特有の事情が極東放送をエフエム沖縄に鞍替えさせたというところであろうが、もし他の地域で同じことがあったとしたら次に挙げるようなことが起きるのではないのだろうか。
・鞍替え反対運動が起きる。
・受信状況が変わり、中波放送局時代は受信できていたところでも受信できなくなる。
・中継局の設置に躍起にならなければならなくなる。
・番組編成が大幅に変わる。
・どの系列局に入るかが問題になる。
・いくら鞍替えを盛んに宣伝していたとしても放送局に「なぜ○○kHzでは入らなくなったのか」というような抗議が多数寄せられ、対応に追われる。
・対抗局となる都道府県域民間エフエム放送局やコミュニティ放送局と同じ土俵に乗る格好になるためどうしても経営基盤が脆弱な都道府県域民間エフエム放送局やコミュニティ放送局が苦戦を強いられるようになる。
・自社制作番組の削減や終夜放送の取りやめ、放送開始時刻の繰り下げ、放送終了時刻の繰り上げなどで経費を節減しようとする動きが出る。
・高齢者を中心に「ラジオ特有の味わいがなくなった」というような声が上がる。
・民間中波放送局はあるが都道府県域民間エフエム放送局はない茨城県や和歌山県、どちらもない奈良県で都道府県域民間エフエム放送局開局への動きが完全に消滅する(注28)
・NHKについては午前1時〜午前5時に「ラジオ深夜便」をラジオ第一とNHK-FMで同時放送しているため、その調整が問題になってくる。
 いくらエフエム補完放送が始まっても新聞のテレビ・ラジオ欄ではエフエム中継局の周波数が書かれることはなく(注29)、中波放送はあくまでも中波放送であるという考えが根強いことがうかがえるのだが、その中で中波放送が生き残っていくためには何が必要なのか。次のようなことがなされたらどうなのかなと考えている。
・エフエム補完放送や終夜放送に背を向けるなど独自路線をとるところがあっても良いのではないか。聴取者からは批判を浴びる恐れがあるが、考えてみればそれも特色の一つであり、その点で全国的に注目を浴びる可能性がある。
・放送区域内の周波数を統一し、放送区域内は一度も周波数を変えずに移動できるようにしてはどうか。周波数を統一するなどした結果中波用の周波数を一つしか使っていない民間中波放送局は47局中17局(注30)あるが、もっと増えても良いのではないか。中国地方の場合東西に長い放送区域を擁する山陰放送ラジオ(BSS、米子市西福原一丁目)や本局の出力が強い中国放送ラジオ(RCC、広島市中区基町)は難しいかもしれない(注31)が、山口放送ラジオは考えても良いかもしれない。
・この放送局と言えばこれ!! というものを持っても良いのではないか。例えば中国放送ラジオは開局5日目から始めている広島東洋カープの公式戦中継が主力番組となっている
(注32)。そういうものがないと親しみが湧かない。
 今後テレビにせよラジオにせよ都道府県域放送はどうなっていくかは分からない。しかし、そういう状況にあっても存在感を発揮できるようにして欲しい。私はそう思っている。

(注釈コーナー)

注1:本文でも触れた通り岡山県道377号山口・押撫線は1994年(平成6年)に起点が笠岡市山口から笠岡市新賀に移動しているのだが路線名称変更は行わなかったため、恐らく終点が笠岡市押撫から笠岡市篠坂に移動しても路線名称変更は行わない可能性が高い。しかし、起点・終点とも路線名称に用いられている地名とは異なるところになっていることや新しい終点から現在の終点までの間に広島県に一旦入る箇所があることを考えれば岡山県道377号新賀・篠坂線に改称する可能性はある。また、岡山県道/広島県道3号井原・福山港線が広島県に一旦入るところでは広島県道379号坪生・福山線が分岐していることから岡山県道377号山口・押撫線と広島県道379号坪生・福山線をまとめた新たな県道路線を発足させる可能性もあるが笠岡市北東部と福山市中心部を結ぶ県道路線を発足させる意義が希薄なことを考えるとこれはないのではないかと考えている。

注2:高西町南の一部地域の市外局番は0848(尾道区域)になっている。

注3:現在の市外局番に変更されたのは2002年(平成14年)2月2日のことである。
※松永地区と内海・神辺・沼隈地区の通話に市外局番が要るのは1985年(昭和60年)11月23日時点で内海・神辺・沼隈地区は福山市に編入されていなかったからである。

注4:本文でも記している通り旧芦品郡芦田町(福田の一部を除く)もかつては府中区域に属しており、市外局番は084758だったのだが、1987年(昭和62年)12月13日に市外局番を0849に変更した時に福山区域に編入されている。

注5:府中市中心部と福山市新市地区中心部を貫いている国道486号線にはきちんと境界標識はある。
※福山市(旧芦品郡新市町)・府中市境を通る国道路線・県道路線は4路線あるのだが、境界標識があるのは国道486号線と広島県道402号金丸・市場線だけである(残る2路線、すなわち広島県道398号新山・府中線と広島県道399号金丸・府中線にはなぜか芦品郡新市町在りし頃から境界標識はなかった)。

注6:福山西警察署(福山市神村町)は尾道市浦崎町を、松永郵便局(福山市松永町四丁目)は尾道市浦崎町・高須町・西藤町をそれぞれ管轄している。

注7:尾道市浦崎町は尾道市中心部から車で行こうと思った場合、福山市松永地区を経由しないといけない。尾道市域だけを通って行けるようにするには向島(既に本土との架橋は完成しており、そのうちの尾道大橋については2013年〔平成25年〕4月1日から無料で通行できるようになっている)と戸崎島の間にある戸崎瀬戸に橋を架けるしかないのだが、費用対効果の問題などから具体化しないままになっている。
※通常戸崎島という言い方はしないのだが、尾道市浦崎町西部の戸崎地区は本土と幅数mの水路で隔てられていることから本サイトでは島と見なし、便宜上戸崎島という名称を付けている。

注8:そのことは1982年(昭和57年)1月24日以前の福山市北部地域(芦田・新市地区を除く)の電話番号からうかがえる(下表参照)。

地区名  電話番号 備考
1982年(昭和57年)
1月24日以前
1982年(昭和57年)
1月24日以降
現在
駅家 08497-6-XXXX
08497-8-XXXX
0849-76-XXXX
0849-78-XXXX
084-976-XXXX
084-978-XXXX
加茂 084972-XXXX 0849-72-XXXX 084-972-XXXX 隣接する駅家町・神辺町・御幸町の各一部地域でも使用されている。
神辺 08496-2-XXXX
08496-3-XXXX
08496-5-XXXX
08496-6-XXXX
08496-7-XXXX
0849-62-XXXX
0849-63-XXXX
0849-65-XXXX
0849-66-XXXX
0849-67-XXXX
084-962-XXXX
084-963-XXXX
084-965-XXXX
084-966-XXXX
084-967-XXXX
山野 084974-XXXX 0849-74-XXXX 084-974-XXXX

もし福山市北部地域の市内局番は70番台とするという法則を取り入れたとすると芦田地区の市内局番は70局・71局・73局・75局・77局・79局のいずれかになったのではないかと思われる。

注8:中国地方で市外局番が3桁化されているところは下表の通りである(実施順)。

実施順 中心都市名 現在の
市外局番
実施年月日 需要増加
以外の理由
備考
1 広島市 082 1982年(昭和57年)1月15日 市外局番統一 東広島区域と市外局番は同じだが相互の通話には市外局番が必要。
2 岡山市 086 1992年(平成4年)10月10日 市外局番統一
市内通話区域再編
赤磐・倉敷両区域と市外局番は同じだが相互の通話には市外局番が必要。
2 倉敷市 086 1992年(平成4年)10月10日 市外局番統一
市内通話区域再編
岡山・赤磐両区域と市外局番は同じだが相互の通話には市外局番が必要。
4 山口市 083 1999年(平成11年)11月11日 下関区域と市外局番は同じだが相互の通話には市外局番が必要。
市外局番3桁化実施当時は厳密には山口区域(083〔920〜951局・960〜961局〕、08395、08396)と小郡区域(083〔970〜999局〕)に分かれていた(2013年〔平成25年〕12月1日区域統合。なお、2006年〔平成18年〕3月4日には山口市阿東地区の市外局番が08395から083に変更されている)。
山口市小郡地区と山口市秋穂(あいお)地区は1995年(平成7年)8月30日に市外局番が08397(小郡地区)または083984(秋穂地区)から0839に変更されており、わずか4年少々で再度市外局番が変更されたことになる。
5 福山市 084 2002年(平成14年)2月2日
6 東広島市 082 2004年(平成16年)2月7日 広島区域と市外局番は同じだが相互の通話には市外局番が必要。
7 赤磐市 086 2006年(平成18年)3月4日 岡山・倉敷両区域と市外局番は同じだが相互の通話には市外局番が必要。
2001年(平成13年)3月3日に市外局番が08695から0869に変更されており、わずか5年で逼迫(ひっぱく)したことになる。
8 下関市 083 2008年(平成20年)3月1日 市外局番統一
市内通話区域再編
山口区域と市外局番は同じだが相互の通話には市外局番が必要。

上表をご覧になって「なぜ福山市は山口市より人口が多いのに市外局番が3桁化されたのは山口市のほうが先なのか。おかしいではないか」と思った方がいると思うのだが、実は使える市内局番が福山市より山口市のほうが先に逼迫する運命にあったことが原因である。市外局番の桁数により使用できる市内局番や加入者番号には限りがある(下表参照)のだが、上表でも記した通り山口市を中心とした地域の市外局番は市外局番3桁化前の段階では0839・08395・08396の三つに分かれており、理論上の使用可能市内局番の数は64個(20〜51局・60〜61局・70〜99局)と福山市を中心とした地域の80個(20〜99局)より少なかったのである。市外局番の統一は未統一地域が山口市中心部とは高い山で隔てられているところばかり(08395…山口市阿東地区、08396…美祢市美東地区。どちらも山口市中心部との間に山がある)だったことから理解を得られなかったことや山口市は県庁所在地であることなどから市外局番の3桁化に踏み切ったのではないのだろうか(この市外局番3桁化により理論上の使用可能市内局番は64個から84個〔900〜951局・960〜961局・970〜999局〕に増える。更に2006年〔平成18年〕3月4日には山口市阿東地区の市外局番が08395から083に変更されたので現在は92個〔900〜961局・970〜999局〕になっている)。

市外局番の
桁数
使用が可能な
市内局番の数
使用が可能な
電話番号の数
中国地方における
使用例
備考
8,000 80,000,000 中国地方には使用例はない(関東地方や近畿〔関西〕地方に使用しているところがあるのみ)。
800 8,000,000 岡山市
広島市
山口市
鳥取県と島根県には該当する市外局番はない。
80 800,000 鳥取市
松江市
津山市
呉市
宇部市
8 80,000 隠岐郡隠岐の島町
庄原市東城地区
阿武郡阿武町
鳥取県と岡山県には該当する市外局番はない。
8,000 2004年(平成16年)2月28日実施の庄原区域の市外局番統一により中国地方では使用例がなくなった(全国でも2006年〔平成18年〕3月1日に消滅)。

しかし、需要増加による市外局番の変更(市外局番の桁数を減らし、反対に市内局番の桁数を増やすこと)は微妙な問題をもたらす恐れがある。山口市の市外局番3桁化では山口市より人口が多い福山市や下関市に住む方に「こちらのほうが人口が多いだろう。山口市が先というのは納得できない」という感情を抱かせたし、昭和時代末期から平成時代初頭にかけて仙台・浦和・大宮・新潟・静岡・浜松・熊本などの中規模の都市が相次いで市外局番3桁化を実施していた中でこれらの都市と同格の立場にあった岡山市がなかなか市外局番3桁化に踏み切らなかったことで「他の都市は次々と市外局番3桁化に踏み切っているのになぜ岡山市は市外局番3桁化に踏み切らないのか。何をしているのか」という思いを持った方もいたことであろう(恐らく西大寺地区が違う市内通話区域になっており、その調整で手間取ったことが仙台・浦和・大宮・新潟・静岡・浜松・熊本などより遅くなった理由ではないかと思われる)。本文でも触れた通り固定電話の加入数の減少などにより市外局番の変更は2013年(平成25年)5月1日実施の岡山市・久米郡久米南町における市外局番統一を最後に行われていない(これは全国的に見ても中国地方だけ見ても同じ)が、今後一切行われないということはないであろう。そこで私は提案したいのだが、総務省はどういう状況により需要増加による市外局番の変更を行わざるを得なくなったのかデータを示すとともに「なぜ○○市では市外局番の変更を行うのに○○市より人口の多い××市では変更を行わないのか。理由を説明しろ」と言ってくる人に対しては現状を説明し、理解を求めるようにしてはどうであろうか。

注10:福山市が芦品郡芦田町(1955〜1974)を編入することを報じた当時の新聞記事によると上河原地区は芦品郡新市町に分割することにしているとある。しかし、この話は結局沙汰やみになっている。人家が多数ある上河原地区を手放すことは合併による人口増加効果を減らすことになることや上河原地区に住む方が強硬に反対したこと、芦品郡新市町との合併が実現したところで再編したほうが良いという考えに落ち着いたことが理由と思われる。2003年(平成15年)2月3日に芦品郡新市町が福山市に編入された後も上河原地区は福山市芦田町福田のままになっているが、福山市教育委員会では上河原地区に住む人は原則として福山市立福相小学校(福山市芦田町福田)→福山市立芦田中学校(福山市芦田町下有地)に通うべきだが許可を得れば福山市立戸手小学校(福山市新市町戸手)→福山市立新市中央中学校(福山市新市町新市)に通っても良いことにしている。余談だが、事実上福山市芦田町福田で完結し、国道486号線と福山市芦田地区中心部を結ぶ役割を持っている県道397号福田・戸手線の終点はその上河原地区のその名も上河原交差点にある(かつてはその一つ南側にある福戸橋北詰交差点が終点だったが渋滞解消対策を目的とした国道486号線の付け替えにより現在地に移転している)。

注11:広島県・佐賀県・長崎県・沖縄県のそれぞれの面積(2015年〔平成27年〕10月1日現在)は下表の通りである。

※面積の単位は全て平方キロメートル。

都道府県名 面積 備考
広島県 8,479.45
佐賀県 2,440.68
長崎県 4,132.09
沖縄県 2,281.12

注12:都道府県境が都道府県道路線の起点または終点になっている例はいくつか存在する。それをまとめたものが下表である(下表では複数の都道府県に跨る路線になるはずだったのに諸事情で起点または終点のある都道府県が路線認定を見送ったために都道府県境が起点または終点になっているもの〔例:鳥取県道303号大高下・口波多線〕は掲載していない)。

都道府県名 路線名称 状況 備考
神奈川県 県道521号佐野川・上野原線 東京都境が起点になっている。 都県境以東は東京都道521号上野原・八王子線になっている(本来なら山梨県道/神奈川県道/東京都道521号上野原・八王子線になるべきなのだが神奈川県と山梨県はなぜか上野原・八王子線の存在を認めていない。その代わり神奈川県と山梨県は県道521号佐野川・上野原線を認定している)。
富山県 県道188号東猪谷・富山線 岐阜県境が起点になっている。 県境以南は飛騨市道になっている。
県道324号谷坪野・芹川線 石川県境が起点になっている。 県境以西は石川県道218号莇谷(あざみだに)・津幡線になっている。
石川県 県道218号莇谷・津幡線 富山県境が起点になっている。 県境以東は富山県道324号谷坪野・芹川線になっている。
長野県 県道84号乗鞍岳線 岐阜県境が起点になっている。 県境以西は高山市道になっている。
なお、自然保護のため起点にはバスやタクシー以外の自動車では行くことはできない。
大阪府 府道183号本堂・高井田線 奈良県境が起点になっている。 府県境以北は奈良県道236号信貴山(しぎさん)線になっている。
奈良県 県道236号信貴山線 大阪府境が起点になっている。 府県境以南は大阪府道183号本堂・高井田線になっている。
広島県 県道466号向島・因島・瀬戸田自転車道線 愛媛県境が終点になっている。 県境以西は愛媛県道325号今治・大三島自転車道線支線になっている。
愛媛県 県道325号今治・大三島自転車道線 広島県境が終点になっている。 県境以東は広島県道466号向島・因島・瀬戸田自転車道線になっている。
県境が終点になっているのは支線であり、本線は今治市上浦町盛を終点としている(支線は今治市上浦町井口で本線から分岐する)。
熊本県 県道205号原・立門線 大分県境が起点になっている。 県境以東は日田市道になっている。

注13:瀬戸内しまなみ海道以外ではとびしま海道(呉市〜今治市)とさざなみ海道(尾道市〜呉市)、かきしま海道(呉市〜江田島市)、やまなみサイクリングロード(尾道市〜松江市)が推奨ルートに指定されている。

注14:可部線可部〜三段峡間の距離は46.2kmであり、本来なら約46kmの長細い空き地が生じると書くべきなのだが、実は可部駅から1.6kmの区間については今年3月4日に電化した上で復活することになったので約44kmの長細い空き地が生じると書いている。
※確かに復活とはなるのだが可部駅から1.3kmのところにあった河戸(こうど)駅(広島市安佐北区亀山二丁目。1956〜2003)は復活せず、反対に可部駅から0.8kmのところに河戸帆待川駅(広島市安佐北区亀山二丁目)を、そして終着駅として可部駅から1.6kmのところにあき亀山駅(広島市安佐北区亀山南二丁目)をそれぞれ設置することにしたため廃止前の状態に戻るというわけではない。

注15:可部線可部〜三段峡間については観光鉄道として再生させようという動きがあったが、冷めた目で見る方が多かったこともあり、実現しなかった。もし実現させたとしても経営はかなり厳しく、数年で行き詰まったのではないかと思われる。

注16:中国地方で考えられることとしては老朽化した車両の置換が挙げられる。

注17:可部線可部〜三段峡間と三江線は実は日本国有鉄道(国鉄)在りし頃から廃止を取り沙汰されていた。1968年(昭和43年)に日本国有鉄道が使命を終えたとして廃止対象に挙げた路線(いわゆる赤字83線)の中に可部線可部〜加計間と三江南線(三次〜口羽間)、三江北線(江津〜浜原間)があったのである。しかし、1969年(昭和44年)7月27日に可部線加計〜三段峡間が開業したことや1975年(昭和50年)8月31日に三江線浜原〜口羽間が開業し、三江北線・三江線(建設路線名称)・三江南線と三つに分かれていた路線名称を三江線に統合したことでもうかがえるように取り組みが不徹底であり、結局当時は廃止されることはなかった。日本国有鉄道の分割・民営化の際も並行して通る道路の整備が進んでいないということで残されたのだが、どうしても利益至上主義になってしまう民間企業がいつまでも放置するわけがなく、遂に切り捨てられてしまった。

(参考資料:中国地方で赤字83線に指定された路線)

※延長の単位は全てkm。

通過県 路線名称 対象区間 延長 備考
鳥取県 倉吉線 全区間
(上井〜山守間)
20.0 上井(あげい)駅は現在のJR山陰本線倉吉駅(1972年〔昭和47年〕2月14日改称)。
1985年(昭和60年)4月1日廃止。
若桜線 全区間
(郡家〜若桜間)
19.2 1987年(昭和62年)10月14日西日本旅客鉄道から経営分離。
現在は若桜(わかさ)鉄道若桜線として営業中。
島根県 三江北線 全区間
(江津〜浜原間)
50.1 現在も西日本旅客鉄道の運営する路線として営業中。但し路線名称は1975年(昭和50年)8月31日の浜原〜口羽間開業の際に三江線に改称している。
浜原〜口羽間を含めて2018年(平成30年)4月1日廃止予定。
大社線 全区間
(出雲市〜大社間)
7.5 1990年(平成2年)4月1日廃止。
島根県・
広島県
三江南線 全区間
(三次〜口羽間)
28.4 現在も西日本旅客鉄道の運営する路線として営業中。但し路線名称は1975年(昭和50年)8月31日の浜原〜口羽間開業の際に三江線に改称している。
浜原〜口羽間を含めて2018年(平成30年)4月1日廃止予定。
広島県 宇品線 全区間
(広島〜上大河間)
2.4 利用者減少と国道2号線新広島バイパス建設に伴い1966年(昭和41年)12月20日上大河(かみおおこう)〜宇品間の旅客営業廃止(この時をもって存続区間のダイヤが市販の時刻表に載らなくなる)。広島〜上大河間の旅客営業も1972年(昭和47年)4月1日廃止。その後貨物線として存続するがそれも1986年(昭和61年)10月1日廃止。旅客営業を行っていた頃には営業係数(100円を稼ぐのにどのくらいの費用がかかるかを示した数値。100以下なら黒字、100以上なら赤字となる)が国鉄路線で最悪になったこともある。
可部線 可部〜加計間 32.0 2003年(平成15年)12月1日廃止(同時に延伸区間の加計〜三段峡間も廃止)。但し可部駅から1.6km区間は2017年(平成29年)3月4日に電化した上で復活することになった。
山口県 岩日線 全区間
(森ヶ原信号場〜錦町間)
30.8 森ヶ原信号場(岩国市御庄)はJR岩徳線との分岐点にある信号場(旅客上の分岐駅とされているJR岩徳線川西駅〔岩国市川西二丁目〕から1.9kmのところにある)。
1987年(昭和62年)7月25日西日本旅客鉄道から経営分離。
現在は錦川鉄道錦川清流線として営業中。

上表からもうかがえる通り来年4月1日実施予定の三江線(1968年〔昭和43年〕当時の名称は三江北線・三江南線)の全線廃止をもって中国地方で赤字83線に指定された鉄道路線は全て日本国有鉄道→西日本旅客鉄道の手から離れたことになる(可部線の一部区間の復活はあるが…)。

注18:県道466号向島・因島・瀬戸田自転車道線は旧安芸国部分も通るが、それは生口(いくち)島の部分だけである。
※生口島はかつては全域が旧安芸国に属していた郡の一つである豊田郡に属していた。

注19:本土〜向島間について渡船を利用するようにする理由は次の通りである。
・尾道大橋(全長:386m)は歩道が狭いこと。
・尾道大橋を経由するのは本土〜向島間を往来する場合遠回りになること。
・本土と向島を結ぶ渡船は尾道の象徴的存在であり、瀬戸内海を横断する自転車道の一部に取り入れても良いのではないかと感じていること。

注20:本サイトからリンクを貼っているヨッキれんさんのサイト「山さ行がねが」ではそういう路線がいくつか取り上げられている(青森県道256号青森・十和田湖自転車道線〔現在執筆中断中〕や和歌山県道802号太地・新宮自転車道線)。
※「山さ行がねが」には更に男鹿(おが)市東部の海岸沿いを通っていた秋田県道403号秋田・男鹿自転車道線が災害から復旧されないままになっていることを紹介したページもある(それはこちら)。

注21:大分県公式サイトで閲覧できる大分県法規集には県道路線の認定告示が掲載されている(但し全て掲載しているわけではない)が、そこには1983年(昭和58年)7月19日大分県告示第911号で県道220号玖珠・九重自転車道線を認定したと記されている。しかし同じ大分県公式サイトで公開されている「大分県道路管内図」にはこの県道220号玖珠・九重自転車道線は掲載されていない。大分県によると認定から30年以上経過した現在も区域決定にも供用開始にも至っていないというのだが…。
※「大分県道路管内図」には現在大分県内に単独区間が存在しない県道112号福岡・日田線(福岡県に跨る路線。大分県内では全区間国道386号線と重用)や県道115号八女・小国線(福岡県・熊本県に跨る路線。大分県内では国道442号線→国道387号線と重用。熊本県内でも国道387号線と重用しているため単独区間は存在しない)も掲載されていない。大分県としては区域のない路線は存在しないことにしているのだろうが…。

注21:広島県で最後に認定された新規建設を伴う県道路線は広島高速5号線の受け皿道路である県道474号温品・二葉の里線である。2000年(平成12年)1月13日広島県告示第42号により認定されている。その後認定された県道路線はいずれも既に完成していた道を県道としたものである。

注22:現在は削除されているのだが、広島県公式サイトの「県政へのご意見」にかつて可部線跡地を自転車道として整備してはどうかという意見が掲載されていたことがある。その意見には当時山県郡安芸太田町加計〜山県郡安芸太田町中筒賀間が未開通だった県道304号中筒賀・下線の開通も併せて目指してはどうかという記述もあったのだが、何とその県道304号中筒賀・下線は2009年(平成21年)春(時期不明)に開通しているのである。通行不能区間の解消について異論を挟む気はないのだが、並行して整備が既に終わっている国道191号線が通っている状況でなぜ県道304号中筒賀・下線の通行不能区間の解消は進められることになったのだろうか。広島県は「国道191号線を補佐する道が必要だった」とか「太田川右岸地域の振興のために必要だった」と言うのだろうが…。
※私は広島県は可部線可部〜三段峡間の存続には冷淡な態度をとっていたのではないかと考えている。そのように感じる理由は次の通りである。
・赤字83線に指定された段階でもう何をしても無駄だという雰囲気が生じていたこと。三江線の全線廃止で結局中国地方に存在した赤字83線指定路線は全て切り捨てられることになったのだからこの見方は正しかったとは言えるのだが…。
・1969年(昭和44年)5月30日に初代筒賀駅(山県郡安芸太田町中筒賀。1956〜1969)に通じる県道路線を二つ認定したのは良いが、初代筒賀駅がそれらの県道路線の認定後間もなくの1969年(昭和44年)7月1日に田之尻駅(山県郡安芸太田町中筒賀。1969〜2003)に改称したのにその二つの県道路線、すなわち県道241号筒賀停車場線(1969〜2009)と県道303号上筒賀・筒賀停車場線(1969〜2009)の改称を見送ったこと。二代目筒賀駅(山県郡安芸太田町中筒賀。1969〜2003)は全然別の場所(初代筒賀駅改め田之尻駅の西方約6kmのところに設置。記すまでもなく二代目筒賀駅は山県郡筒賀村〔1889〜2004〕中心部の最寄駅でもあった)にあり、紛らわしく感じる方や疑問に思う方はいくらかいたはずである。
・県道304号中筒賀・下線の通行不能区間の解消は可部線可部〜三段峡間の廃止後になって積極的に行われたこと。「踏切を設置することを国が認めていないから…」などと弁解するのだろうが、平成時代に入ってから開業した鉄道路線で踏切のあるところはいくつもあり(広島県では井原鉄道井原線やJR可部線延伸区間がある)、その弁解は成り立たない。
・可部線可部〜三段峡間の廃止後観光鉄道として復活させようという動きがあったのに全く関心を示さなかったこと。もっとも、実現したとしても沿線人口が少ないことや積雪地帯を通ることなどを考えれば経営が成り立つ見込みはなかったと言え、何もしなかったのは正解だったのだろうが…。
・可部線は最終的には浜田市まで延び、広島市と浜田市を結ぶ陰陽連絡鉄道になる予定だったのだが、浜田側の建設が進まなかったこと。何とももったいないと思うのは第二次世界大戦前に建設していたJR山陰本線下府(しもこう)駅(浜田市下府町)から浜田市金城町今福までのいわゆる戦前建設線を放棄したことであるが、もしその戦前建設線を開業させていたらどうだったのだろうか。ただ、この戦前建設線は浜田市中心部と浜田市金城地区を結ぶには遠回りになるので有用な路線にはなり得なかった可能性が高いのだが…。
広島県は可部線に対しては現実的な考えを持っていたことになるわけであるが、その真相はいかなるものなのだろうか。

注23:白馬岳(しろうまだけ。標高:2,932.3m)の周辺に境界未定地域がある。関係する自治体は長野県側が北安曇(きたあづみ)郡白馬(はくば)村、富山県側が下新川郡朝日町である(「地理院地図」というサイトで白馬岳付近の地形図を見ると黒部市も関係しているように見えたのだがどうだろうか)。

注24:富山県を放送区域とするラジオ放送局はいずれも中継局が少ない。富山エフエム放送(愛称:FMとやま。富山市奥田町)は3箇所(富山市・黒部市・南砺〔なんと〕市)、NHK富山放送局(富山市新総曲輪〔しんそうがわ〕)はラジオ第一とラジオ第二がともに1箇所(どちらも富山市)、エフエム放送が2箇所(富山市・黒部市)しかない。確かに高い山が多い地域ではあるのだが広大な富山平野があるが故に少ない中継局数で済んでいるのであろう。

注25:最高地点は石川県羽咋(はくい)郡宝達志水町にある宝達山(標高:637.1m)である。なお、この宝達山は能登半島の最高峰でもある。
※宝達丘陵の険しさは富山県と石川県を結ぶ鉄道路線、言い換えれば宝達丘陵を越える鉄道路線がJR北陸新幹線とJR北陸本線改めあいの風とやま鉄道あいの風とやま鉄道線しかないことやどちらも長大トンネルで県境(宝達丘陵)を越えていること、高岡市と氷見(ひみ)市を結んでいるJR氷見線を羽咋市まで延長する構想があったが着工に至らずに終わったこと(富山湾に沿って七尾市まで延長するなら理解できるし有用になっただろうがなぜ宝達丘陵を越えて羽咋市に延長することを考えたのか…。理解できない)でもうかがえる。

注26:中波ステレオ放送を導入していた民間中波放送局は下表の通りである。

※放送局名は現在のものを記載している。

放送区域 放送局名 実施
中継局名
実施時期 備考
北海道 STVラジオ
(STV、札幌市中央区北一条西八丁目)
本局 1992年(平成4年)8月1日〜
2010年(平成22年)3月1日
北海道放送
(HBC、札幌市中央区北一条西五丁目)
本局 1996年(平成8年)10月7日〜
2010年(平成22年)3月29日
東京都 TBSラジオ&コミュニケーションズ
(TBS、港区赤坂五丁目)
本局 1992年(平成4年)3月15日〜
2011年(平成23年)1月31日
中継局は本局以外存在しない。
ニッポン放送
(LF、千代田区有楽町一丁目)
本局 1992年(平成4年)3月15日〜 中継局は本局以外存在しない。
文化放送
(QR、港区浜松町一丁目)
本局 1992年(平成4年)3月15日〜
2012年(平成24年)2月6日
中継局は本局以外存在しない。
岐阜県
愛知県
三重県
CBCラジオ
(CBC、名古屋市中区新栄一丁目)
本局 1992年(平成4年)4月4日〜
東海ラジオ放送
(SF、名古屋市東区東桜一丁目)
本局 1992年(平成4年)4月4日〜
2012年(平成24年)5月14日
京都府
大阪府
朝日放送
(ABC、大阪市福島区福島一丁目)
本局
京都局
1992年(平成4年)3月15日〜
2010年(平成22年)3月15日
全中継局で実施。
大阪放送
(OBC、大阪市港区弁天一丁目)
本局
京都局
1993年(平成5年)3月29日〜 全中継局で実施。
毎日放送
(MBS、大阪市北区茶屋町)
本局
京都局
1992年(平成4年)3月15日〜
2010年(平成22年)3月1日
全中継局で実施。
和歌山県 和歌山放送
(WBS、和歌山市湊本町三丁目)
本局 1996年(平成8年)7月14日〜
岡山県 山陽放送
(RSK、岡山市北区丸の内二丁目)
本局 1992年(平成4年)10月5日〜
2011年(平成23年)3月28日
高梁局 1992年(平成4年)10月5日〜
2011年(平成23年)3月21日
広島県 中国放送
(RCC、広島市中区基町)
本局 1992年(平成4年)10月1日〜
2011年(平成23年)3月14日
福山・府中・三原各中継局の開始時期は推定(便宜上福山・三原両中継局の周波数が変更された日を開始年月日としている)。
福山局
府中局
1994年(平成6年)11月14日〜
2001年(平成13年)10月15日
三原局 1995年(平成7年)2月13日〜
2001年(平成13年)10月15日
福岡県 RKB毎日放送
(RKB、福岡市早良区百道浜二丁目)
本局 1992年(平成4年)4月1日〜
2010年(平成22年)5月31日
九州朝日放送
(KBC、福岡市中央区長浜一丁目)
本局 1992年(平成4年)4月1日〜
2007年(平成19年)4月2日
熊本県 熊本放送
(RKK、熊本市中央区山崎町)
本局 1993年(平成5年)10月1日〜
2008年(平成20年)9月29日

注27:周南本局(周南市大津島)と山口中波中継局(山口市黒川)は周南エフエム中継局(防府市牟礼)で補完されているものと見なしている(山口放送公式サイトでも山口市中心部で周南エフエム中継局が十分受信できるように記されている)。
※余談だがエフエム山口(FMY、山口市緑町)の本局も山口放送ラジオ周南エフエム中継局と同じ防府市牟礼の大平山(標高:631.1m)にある。

注28:このうち奈良県と和歌山県については都道府県域民間エフエム放送局用の周波数割り当てはなされている。今のところ撤回されたという情報はないが、開局しても厳しい状況になるのは明らかであり、いずれは撤回となるのではないかと思われる。

注29:少なくとも私が購読している中国新聞備後本社版朝刊はそうである。中国新聞備後本社版朝刊のテレビ・ラジオ欄に掲載されている放送局のうちエフエム補完放送を実施しているのは山口放送ラジオ(福山市ではまず受信できないのだが…。個人的な意見だが山口放送ラジオやエフエム山口の代わりに福山市で十分受信できるエフエム香川〔高松市西宝町一丁目〕や南海放送ラジオ〔RNB、松山市本町一丁目〕、エフエム愛媛〔松山市竹原町一丁目〕の番組表を載せて欲しいと思っている)と中国放送ラジオであるが、どちらもエフエム中継局の周波数は記載されていない。
※中国新聞備後本社版朝刊のテレビ・ラジオ欄に記されている中国放送ラジオと山口放送ラジオの周波数は次の通りである。
・中国放送ラジオ…広島(1350kHz)、福山(1530kHz)、三次(1458kHz)
・山口放送ラジオ…周南(765kHz)、萩(1485kHz)、下関・岩国(ともに918kHz)

注30:中波用の周波数を一つしか使っていない民間中波放送局は下表の通りである。

※周波数の単位は全てkHz。

都道府県名 放送局名 使用している
中波用周波数
中波中継局数 備考
山形県 山形放送
(YBC、山形市旅篭町二丁目)
918 6
東京都 TBSラジオ
(TBS、港区赤坂五丁目)
954 1
ニッポン放送
(LF、千代田区有楽町一丁目)
1242 1
文化放送
(QR、港区浜松町一丁目)
1134 1
山梨県 山梨放送
(YBS、甲府市北口二丁目)
765 3
富山県 北日本放送
(KNB、富山市牛島町)
738 1
大阪府
京都府
朝日放送
(ABC、大阪市福島区福島一丁目)
1008 2
大阪放送
(OBC、大阪市港区弁天一丁目)
1314 2
毎日放送
(MBS、大阪市北区茶屋町)
1179 2
岡山県 山陽放送
(RSK、岡山市北区丸の内二丁目)
1494 7
徳島県 四国放送
(JRT、徳島市中徳島町二丁目)
1269 4
香川県 西日本放送
(RNC、高松市丸の内)
1449 4
愛媛県 南海放送
(RNB、松山市本町一丁目)
1116 6
熊本県 熊本放送
(RKK、熊本市中央区山崎町)
1197 10
宮崎県 宮崎放送
(MRT、宮崎市橘通西四丁目)
936 7
沖縄県 ラジオ沖縄
(ROK、那覇市西一丁目)
864 1
琉球放送
(RBC、那覇市久茂地二丁目)
738 1

注31:中国放送ラジオは広島本局(江田島市沖美町美能)の出力が20kWと強いため周波数の統一は困難であるが、高速道路開通を契機に備北地区と備南地区で周波数統一を実施している。その概要は下表の通りである。

地区名 概要
備北 1984年(昭和59年)12月10日の放送開始から庄原中波中継局(庄原市西本町二丁目。720kHz)と三次中波中継局(三次市南畑敷町。1485kHz)の周波数を東城中波中継局(庄原市東城町川西)が使用している1458kHzに変更した。
備南 福山中波中継局(福山市北美台。1062kHz)については1994年(平成6年)11月14日の放送開始から、三原中波中継局(三原市明神三丁目。720kHz)については1995年(平成7年)2月13日の放送開始からそれぞれの周波数を府中中波中継局(府中市土生〔はぶ〕町)が使用している1530kHzに統一した。

備北地区の周波数統一は中国自動車道全線開通(1983年〔昭和58年〕3月24日)の約1年8ヶ月後、備南地区の周波数統一は山陽自動車道広島県内区間(広島・岩国道路で代替されている部分を含む)全線開通(1993年〔平成5年〕10月26日)の約1年〜1年3ヶ月後にそれぞれ実施されていることやその地区で最後に開局した中波中継局(備北地区…東城、備南地区…府中)の周波数に合わせていることが興味深いところである。
なお、エフエム中継局は広島中継局(広島市南区黄金山町)・福山中継局(福山市千田町千田)とも94.6MHzを使用している(現在開局に向けて準備が進められている三原エフエム中継局の周波数は未定)。

注32:このように書くと中国放送ラジオはずっと広島カープ(1950〜1967)→広島東洋カープの公式戦中継を完全に放送してきたかのように感じる方がいるかもしれないが、実は消化試合になると全く放送しなかったり途中から始めたりした時期があった。1990年代末期から2010年代初頭にかけての長期低迷期の頃の話であるが、中国放送としても利益にならないものは放送したくなかったのであろう。
※一方で中国放送ラジオは広島東洋カープが関係しないプロ野球の試合については排他的な態度をとっている。他球団同士の公式戦中継は最後まで放送せず、ある時間になると打ち切っているし、広島東洋カープの出場しない日本選手権シリーズ(日本シリーズ)は一切放送しない(確か何年か前放送したような覚えはあるのだが…。とにかく昨年は久しぶりに中国放送ラジオで日本選手権シリーズが放送されたということになる)。