トップページ不定期刊・きょうのトピックス不定期刊・きょうのトピックス2021年(令和3年)分国道2号線木原道路開通

国道2号線木原道路開通(2021年〔令和3年〕3月14日公開)

 本日午後2時、三原市東部の山裾を通る国道2号線のバイパス・木原道路が全線開通した(報道発表資料はこちら)。広島県南東部の国道2号線は1960年代以降バイパス建設が順次進められ、これまでに木原道路の東側では赤坂バイパス・松永道路(注1)・尾道バイパスが、木原道路の西側では三原バイパスがそれぞれ既に全線開通していた(注2)のだが、今回の木原道路の開通によりこれらのバイパスが一本の道に繋がることになり、福山市赤坂町早戸/赤坂バイパス早戸ランプ交差点三原市新倉二丁目/新倉交差点間が無停車で走行できるようになったのである。
 そこで今回の「不定期刊・きょうのトピックス」ではこの木原道路の概要や建設目的、気になる国道2号線木原旧道の処遇などの将来の問題、そして一運転者が考える改善点などについて触れることにしたい。

木原道路の概要

 木原道路は福地インターチェンジ(尾道市福地町)を起点とし、糸崎ランプ(三原市糸崎八丁目)を終点とする全長3.8kmの自動車専用道路である。途中には出入口はなく、終点の糸崎ランプは広島方面との出入りしかできないため木原道路だけを通ることはできなくなっている(注3)

東方から撮影した福地インターチェンジ

西方から撮影した糸崎ランプ

 木原道路は上下4車線で計画されているが上り線を用いての暫定上下2車線で開通することになっている。途中には二つトンネル(内畠〔全長:986m〕・赤石〔全長:1,216m〕)があり、トンネル区間が全体の半分以上を占めていること(注4)や全線が前記の通り自動車専用道路に指定されていることからトンネル内の安全が懸念されるところであるが、木原道路を管理する国土交通省中国地方整備局福山河川国道事務所(福山市三吉町四丁目)はどのように考えているのだろうか。その点が気になる。

木原道路はなぜ企図されたのか

 では木原道路はなぜ企図されたのだろうか。その理由を挙げると次の通りになる。
・三原市木原地区における渋滞を解消させること。尾道バイパスと国道2号線松永・尾道旧道が合流したところ(尾道市・三原市境付近)から三原市糸崎八丁目/糸崎8丁目交差点までは国道2号線以外に有用な道はなく、交通量の多い時間帯は渋滞が頻発している。渋滞していることに気付いても引き返すのに適当な場所はないし、迂回路は遠回りになるのでそのまま渋滞の中に入って進むしかなかった。
・広域交通と狭域交通を分離すること。尾道バイパスと国道2号線松永・尾道旧道が合流したところから三原市糸崎八丁目/糸崎8丁目交差点までの国道2号線は福山方面と広島・呉方面を往来する車や尾道市中心部と三原市中心部を往来する車が集まるため交通量が多くなっている。もし木原道路ができれば福山方面と広島・呉方面を往来する車は木原道路を、尾道市中心部方面と三原市中心部方面を往来する車は木原道路開通前の国道2号線、すなわち木原道路開通後は国道2号線木原旧道をそれぞれ主に通るようになって機能分担が図れるようになる。
・異常気象時通行規制区間における迂回路を確保すること。三原市木原一丁目/木原町赤石交差点三原市糸崎八丁目/糸崎神社前交差点間2.3km(注5)は高波により通行に支障が生じる場合通行止め規制がかけられることになっており、もしその規制がかけられると国道184号線や広島県道54号福山・尾道線、広島県道55号尾道・三原線などに迂回せざるを得なくなっている。それらの道路は全て改良は終わっているが遠回りになるとか尾道市・三原市付近の地理をよく知らない方はその経路を選択しにくいといった問題を抱えている。
 木原道路を建設する以外にも国道2号線木原旧道を拡幅する案も考えられはしただろうが三原市木原地区は海の近くまで急な山が迫っていることやそこにJR山陽本線が通り、民家が多数建っているため用地の確保が困難なこと、地形的な事情から三原バイパスとの接続が難しくなること、自動車専用道路に指定されている尾道バイパスと自動車専用道路ではない(注6)が平面交差が一切ない三原バイパスとの間に平面交差のある道路を挟むのは問題があること、そして高波により通行に支障が生じる状況は解消できないことなどから採用されなかったものと思われる。無論木原道路も災害に遭う危険性は全くないというわけではないが、山側にトンネルを多く用いた迂回路を作る以外に前記の課題を解決する方法はなかったのだろう。

かなり前から構想があった木原道路

 広島県南東部にある国道2号線のバイパス(福山道路・赤坂バイパス・松永道路・尾道バイパス・木原道路・三原バイパス)の概要を記すと下表の通りになる。

バイパス名 延長
(km)
事業着手年 初開通年 全線開通年 備考
福山道路 16.5 2001年
(平成13年)
現在長和インターチェンジ(仮称。福山市瀬戸町地頭分)赤坂インターチェンジ(仮称。福山市赤坂町早戸)間について建設が進められている。
その他の部分、すなわち笠岡西インターチェンジ(仮称。笠岡市茂平)長和インターチェンジ間については通過予定地域の住民が強硬な反対運動を起こしていることもあって建設のメドが立っていない
赤坂バイパス 4.2 1983年
(昭和58年)
1998年
(平成10年)
1998年
(平成10年)
福山市瀬戸町山北/赤坂バイパス東口交差点福山市赤坂町早戸/赤坂バイパス早戸ランプ交差点間は計画通りの上下4車線で開通。
その他の部分、すなわち福山市赤坂町早戸/赤坂バイパス早戸ランプ交差点神村ランプ(福山市神村町)間は暫定上下2車線で供用中。
松永道路 7.1 1972年
(昭和47年)
1987年
(昭和62年)
1990年
(平成2年)
2017年(平成29年)全線の上下4車線化完成。
尾道バイパス 9.0 1965年
(昭和40年)
1969年
(昭和44年)
1972年
(昭和47年)
本線、すなわち自動車専用道路部分の上下4車線化は2021年(令和3年)完成。
それ以外の部分、すなわち一般道路部分については上下2車線で設計されており、上下4車線化に向けての準備は一切なされていない。
木原道路 3.8 2003年
(平成15年)
2021年
(令和3年)
2021年
(令和3年)
全線暫定上下2車線で供用中。
三原バイパス 9.9 1971年
(昭和46年)
1999年
(平成11年)
2012年
(平成24年)
全線暫定上下2車線で供用中。

 上表から木原道路が最も遅く企図されたバイパスであることがうかがえるのだが、実は木原道路の構想自体はかなり昔からあったようである。その根拠を挙げると次の通りになる。
・昭文社(東京都千代田区麹町三丁目)が発行していた尾道市周辺の道路地図では少なくとも1980年代から福地インターチェンジから三原方面に向けて道路の予定線を記していたこと。
福地インターチェンジ付近で尾道バイパスはほぼ直角に折れ曲がっていたこと。
・福山方面から進んできた場合、福地インターチェンジ付近に尾道バイパスと自動車専用道路が終わる旨の標識が設置されていたこと(注7)
福地インターチェンジから尾道バイパスと国道2号線松永・尾道旧道が合流するところまでの尾道バイパスは上下2車線で設計されており、拡幅用地は一切確保されていなかったこと。
吉和インターチェンジ(尾道市沖側町)福地インターチェンジ間の尾道バイパスは上下2車線だったが道路の中央部を用いての暫定上下2車線で建設したのでは…と思わせる感じがあったこと(注8)
 尾道バイパスは東側の一般道路と自動車専用道路の切り替え点、すなわち現在の高須インターチェンジ(尾道市高須町)付近でもほぼ直角に折れ曲がっており、東側・西側双方への延伸を念頭に置いて計画・建設されたのでは…と考えたくなるのだが、東側への延伸は松永道路の計画変更(注9)により早くも実現している。西側についても早く実現すれば良かったように思うのだが、なぜ西側への延伸、すなわち木原道路の計画は21世紀に入ってから本格化したのか。考えられる理由は次の通りである。
・事業開始が尾道バイパスに次いで早かった三原バイパスの建設が沿線住民の強硬な反対などが原因でかなり遅れたこと。
・尾道バイパスの西方延伸線(木原道路)は急峻な山裾を通ることが確実だったため建設費がかさむ恐れがあったこと。
・地形や地理、距離、都市人口などを考えた時バイパスを早く作る必要性があったのは福山方面だったこと。
 もし三原バイパスがもっと早く着手されていれば三原市木原地区の渋滞解消や異常気象時通行規制区間の迂回路確保といった目的で木原道路はもっと早く着手されたのではないかと思うのだが、やはり当面は必要ないという考えが台頭したことにより長らく顧みられなかったのだろう。結局事業に着手したのは2003年(平成15年)になってからであるが、その背景にあるのは三原バイパスの計画がようやく進展し始めたことではないのだろうか。現に三原バイパス全線開通前に糸崎ランプを訪れてみると木原道路のために準備された橋脚が既に建設されており、木原道路の建設を念頭において糸崎ランプを建設したことが感じ取れたものである。

糸崎ランプの建設の際に併せて建設されていた木原道路の橋脚(2012年〔平成24年〕2月19日撮影)

 考えてみれば必要性が高まり、費用対効果が見込めるものでなければ多くの方々が望んでも道路は建設されないものである。木原道路も結局はそういう道路の一つだったのだろう。

将来はどうなる?

国道2号線木原旧道の処遇はどうなる?

 木原道路の開通により尾道バイパスと国道2号線松永・尾道旧道が合流したところから三原市糸崎八丁目/糸崎8丁目交差点までの国道2号線は本サイトにおいては国道2号線木原旧道と称することになったのだが、果たして国道2号線木原旧道は今後どうなるのだろうか。今のところ発表はないのだが、まずは広島県内にある全線開通を果たしている国道2号線の主なバイパス(木原道路を除く)の旧道処分の状態を表にまとめてみたのでご覧頂きたい。

※バイパスの名称を赤太字で記しているものは自動車専用区間が存在するバイパスである。

名称 全線開通年 処分後の路線名称 備考
赤坂バイパス 1998年
(平成10年)
県道54号福山・尾道線
松永道路 1990年
(平成2年)
国道2号線 広島県が管理している。
尾道バイパス 1972年
(昭和47年)
国道2号線 広島県が管理している。
三原バイパス 2012年
(平成24年)
国道185号線
県道75号三原・竹原線
県道344号大草・三原線
西条バイパス 1993年
(平成5年)
国道486号線
東広島市道
新広島バイパス 1966年
(昭和41年)
国道54号線
県道164号広島・海田線
広島市道
西広島バイパス 1974年
(昭和49年)
国道2号線 広島県(廿日市市内分)または広島市(広島市内分)が管理している。

 上表から全区間か一部区間かは問わないが自動車専用区間が存在するバイパスの旧道は路線名称こそ国道2号線のままだが通過自治体、すなわち広島県または広島市が管理するようになっていることがうかがえる。松永道路と尾道バイパスの旧道となる国道2号線松永・尾道旧道には松永・尾道、西広島バイパスの旧道となる国道2号線佐伯旧道には五日市・廿日市といった人口集積地(いわゆる市街地)があること(注10)や自転車・歩行者が通れない道に国道2号線を集約するのはどうかと考えていること、そして地方自治体が管理する国道路線(補助国道と称する)になれば国から補助金が出ることが旧道も引き続き国道2号線として残す理由ではないかと考えられる。このことを踏まえれば木原道路に対応する旧道、すなわち国道2号線木原旧道は広島県が管理する国道2号線となる可能性が高い。
 国道2号線木原旧道が管理者こそ変更されるが国道2号線のまま残す理由としては他に次に挙げることが考えられる。
・国道2号線木原旧道沿線には人口集積地はないが、尾道市中心部と三原市中心部を結ぶ最短経路としてその重要性は変わらないこと。
・国道2号線木原旧道は国道2号線松永・尾道旧道と連続していること。
・尾道市を終点とする国道路線(国道184号線・国道317号線)や三原市を終点とする国道路線(国道185号線)を延伸することはややこしい問題を引き起こす恐れがあるためできないこと(注11)
・広島県議会で最近県道路線の認定に関する議案が提出されたことは一切ないこと(注12)
・国道2号線木原旧道は右左折を経る必要はあるが尾道バイパス福山方面・三原バイパス広島方面との出入りは可能であり、木原道路が通行止めになった時迂回路として有用になること。
 国道2号線木原旧道の処遇は広島県・三原市の考え方次第ということになるのだろうが、果たしてどのような結論を出すのだろうか。

広島県南東部の国道2号線唯一の全面未開通バイパス・福山道路の現状はどうなっているのか

 福山市西部から三原市西部までが一本の道に繋がった国道2号線のバイパスであるが、現在笠岡市西部から福山市中心部の南方を通り、福山市赤坂町早戸で赤坂バイパスに合流する福山道路が計画されている。民家密集地を通ることから沿線住民の強硬な反対が各地で起きており、なかなか着手できないでいたのだが、ようやく最近福山市赤坂・瀬戸地区で建設が始まっている。

福山市瀬戸町地頭分で建設が進められている福山道路

 現在建設が進められているのは長和インターチェンジ赤坂インターチェンジ間だけであるが、長和インターチェンジでは広島県道72号福山・沼隈線のバイパスとして建設が進められている福山・沼隈道路と接続することになっており、開通した時には福山市中心部南部や沼隈半島東岸部と松永・尾道方面を往来する場合の利便性が向上することが期待されている。現在のところ開通予定時期は公表されていないが、恐らく2020年代中期〜後半になるのではないかと思われる。
 残る笠岡西インターチェンジ長和インターチェンジ間は市街地を通過することなどから沿線住民が強硬な反対運動を起こしており、いつ着手されるのか皆目見当も付かない状態になっている。2019年(令和元年)12月に国土交通省中国地方整備局(広島市中区上八丁堀)は笠岡西インターチェンジから東に延びる国道2号線笠岡バイパスと国道2号線玉島・笠岡道路の全線開通予定時期がいずれも2025年度(令和7年度)とすることを発表した(報道発表はこちら)が、予定通り2025年度(令和7年度)に玉島・笠岡道路と笠岡バイパスが全線開通すると福山市中心部・東部だけ国道2号線の高規格なバイパスは途切れることになる。私は国道2号線より北の地域に住んでいるので福山道路についてはあまり関心は抱いていないのだが果たしてどのような展開があるのだろうか。今後の動向には注目していきたいと思っているところである。

最後に〜一運転者が考えていること〜

 今記したように福山道路の全線開通の時期はまだはっきりしていないのだが、もし福山道路が全線開通すれば岡山バイパスの起点となる浅川ランプ(岡山市東区浅川)から三原バイパスの終点となる三原市新倉二丁目/新倉交差点まで120km近くに及ぶ長大な国道2号線のバイパスが出現することになる(下表参照)。

バイパス名 延長
(km)
事業着手年 初開通年 全線開通年 備考
岡山バイパス 38.3 1963年
(昭和38年)
1970年
(昭和45年)
1999年
(平成11年)
浅川ランプ君津インターチェンジ(岡山市東区金田)間のみ暫定上下2車線で供用中。
その他の部分、すなわち君津インターチェンジ大西ランプ(倉敷市中島)間は上下4〜6車線化が完成している。
現在岡山市南区〜倉敷市間の本線に11箇所ある信号機付交差点
(注13)の立体交差化が計画されている。
玉島バイパス 9.3 1972年
(昭和47年)
1983年
(昭和58年)
1994年
(平成6年)
大西ランプ船穂ジャンクション(倉敷市船穂町船穂)間は上下4車線化が完成している。
その他の部分、すなわち船穂ジャンクション玉島西インターチェンジ(倉敷市玉島阿賀崎)間は暫定上下2車線で供用中。
玉島・笠岡道路 13.9 2001年
(平成13年)
2015年
(平成27年)
玉島西インターチェンジ浅口金光インターチェンジ(浅口市金光町佐方)間は暫定上下2車線で供用中。
その他の部分、すなわち浅口金光インターチェンジ笠岡東インターチェンジ(仮称。笠岡市西大島新田)間は2025年度(令和7年度)開通予定。
笠岡バイパス 7.6 1988年
(昭和63年)
2008年
(平成20年)
現在側道が笠岡市西大島新田/名切南交差点(交差点名標なし)笠岡市入江/入江児童公園前交差点(交差点名標なし)間と笠岡市カブト南町/片島南交差点(信号機・交差点名標なし)笠岡市茂平(交差点ではない場所)間の2箇所で開通しているのみであり、本線は全く供用されていない。
本線は2025年度(令和7年度)全線開通予定。
福山道路 16.5 2001年
(平成13年)
現在長和インターチェンジ赤坂インターチェンジ間について建設が進められている。
その他の部分、すなわち笠岡西インターチェンジ長和インターチェンジ間については通過予定地域の住民が強硬な反対運動を起こしていることもあって建設のメドが立っていない。
赤坂バイパス 4.2 1983年
(昭和58年)
1998年
(平成10年)
1998年
(平成10年)
福山市瀬戸町山北/赤坂バイパス東口交差点福山市赤坂町早戸/赤坂バイパス早戸ランプ交差点間は計画通りの上下4車線で開通。
その他の部分、すなわち福山市赤坂町早戸/赤坂バイパス早戸ランプ交差点神村ランプ間は暫定上下2車線で供用中。
福山道路全線開通後は福山市瀬戸町山北/赤坂バイパス東口交差点赤坂インターチェンジ間1.1kmが本線から外れることになるため福山道路全線開通後の本線延長は3.1kmとなる。
松永道路 7.1 1972年
(昭和47年)
1987年
(昭和62年)
1990年
(平成2年)
2017年(平成29年)全線の上下4車線化完成。
尾道バイパス 9.0 1965年
(昭和40年)
1969年
(昭和44年)
1972年
(昭和47年)
本線、すなわち自動車専用道路部分の上下4車線化は2021年(令和3年)完成。
松永道路の開通により東端部の0.9kmが、木原道路の開通により西端部の0,5kmがそれぞれ本線から外れたため本線延長は7.6kmになっている。
木原道路 3.8 2003年
(平成15年)
2021年
(令和3年)
2021年
(令和3年)
全線暫定上下2車線で供用中。
三原バイパス 9.9 1971年
(昭和46年)
1999年
(平成11年)
2012年
(平成24年)
全線暫定上下2車線で供用中。
合計 119.6 赤坂バイパスの福山道路開通後に本線から外れる部分(1.1km)と、尾道バイパスの本線から外れた部分(1.4km)を差し引くと117.1kmになる。

 上表で触れた通り現在は岡山バイパスの本線に11箇所信号機のある交差点があるが、その立体交差が完成し、なおかつ福山道路が全線開通すると何と岡山市東区寺山/西祖交差点から三原市新倉二丁目/新倉交差点まで118.2kmにわたって無停車で走行できるようになる。120km近くにわたって信号停車する必要がなく、しかも無料で通行できる国道路線が現在計画されているものも含めて他にあるのかどうかは分からないが、恐らく日本有数の規模になるのではないのだろうか。
 まあ岡山バイパス本線の立体交差の完成時期や福山道路の全線開通時期は今のところいつになるのか皆目見当も付かない状況にあるわけであるが、これらの計画が完成した時を見据えて私として行っておいたほうが良いのではないかと思っていることがいくつかある。それを記すと次の通りになる。
浅川ランプから三原市新倉二丁目/新倉交差点まで120km近くに及ぶバイパスについて愛称を付けてはどうであろうか。岡山県と広島県に跨ることやバイパスの整備に伴って特に福山市に住む方々の岡山・倉敷方面への志向が更に強まっていくことを広島県が好ましく思っていないことなどを考えると難しいものがあるのだが、複数の都府県に跨る国道路線の長大バイパスに愛称が付けられている例はいくつもあること(注14)を考えると検討しても良いのではないのだろうか。
・本線上にある施設(ジャンクション・インターチェンジ・ランプ)の名称の一部に個人的にどうかと思うものがあるので沿線住民やよく国道2号線を通る方の声を聞いた上で変更することを考えてはどうであろうか。私としてどうかと思う施設の名称―現在供用されているものに限るが―は下表の通りであるが、分かりやすく、なおかつ地域に密着したものになれば親しみやすさは高まるのではないのだろうか。

バイパス名 どうかと思っている
施設名称
読み方 所在地 どうかと思っている理由
玉島バイパス/
玉島・笠岡道路
玉島西インターチェンジ たましまにし 倉敷市玉島阿賀崎 ・倉敷市玉島地区西部にあるインターチェンジであることは分かるのだが、浅川ランプからそこまでの国道2号線のバイパスの施設名称は明示されていないものが少なくないが地域に密着したものを付けているのにいきなり地域名+方角の名称にするのはどうかと思うこと。
・施設名称を地域名+方角にしたのにはそこからの道路、すなわち玉島・笠岡道路が自動車専用道路になっていることもあったのだろうが、他の中国地方にある国道2号線の自動車専用のバイパスを見てもこういう地域名+方角で名称を付けた施設はあまりないこと。
・玉島西インターチェンジは岡山方面から見れば金光教の本拠地があることで知られる浅口市金光地区の最寄りインターチェンジになっており、そのことを示してはどうかと思うこと(浅口金光インターチェンジはその項でも触れるが浅口市金光地区中心部から2.5kmほど南に離れたところにあるため岡山方面から見れば最寄りインターチェンジにはなり得ていない)。
(私が考える改称案)
・阿賀崎インターチェンジ
・玉島阿賀崎インターチェンジ
・玉島阿賀崎金光口インターチェンジ
玉島・笠岡道路 浅口金光インターチェンジ あさくちこんこう 浅口市金光町佐方 ・浅口市金光地区にあるインターチェンジであることは分かるのだが、浅口市金光地区中心部から2.5kmほど南に離れたところにあるため岡山方面から見れば浅口市金光地区の最寄りインターチェンジにはなり得ていないこと。
・浅口金光インターチェンジはもし接続する岡山県道471号南浦・金光線本線
(注15)の改良が進められれば倉敷市玉島黒崎の西端部にある南浦地区の最寄りインターチェンジになり、南浦地区に住む方にとって便利になること。
・浅口金光インターチェンジは浅口市金光町佐方と浅口市鴨方町六条院東に跨る丘陵地に岡山県と浅口市が整備を進めている工業団地の最寄りインターチェンジであること。
(私が考える改称案)
・金光佐方インターチェンジ
・金光南浦口インターチェンジ
赤坂バイパス 赤坂ランプ あかさか 福山市赤坂町赤坂 ・福山市赤坂地区にある出入口であることは分かるのだが、山の中にある出入口であることや接続する福山市道が整備されているとは言い難いために利便性が高いとは言い難いこと。
・現在その東方に福山道路と赤坂バイパスの接続点となる赤坂インターチェンジが建設されており、もし赤坂インターチェンジが仮称から正式名称に移行した場合紛らわしくなること。
(私が考える改称案)
・赤坂上組ランプ
・赤坂南ランプ
神村西ランプ かむらにし 福山市神村町 ・名称を見れば福山市神村町の西部にある出入口であるように感じるのだが、実は福山市神村町はJR山陽本線松永駅(福山市松永町)の近く(西福山病院〔福山市松永町〕がある辺り)まで町域が広がっており、「神村西」という名称はふさわしいとは言えないこと。
神村西ランプのすぐ西にある出入口の名称が神村ランプになっているため通行者に疑問を抱かせる恐れがあること(そのためか神村ランプについては名称表示はなされていない)。
(私が考える改称案)
・神村鏡山ランプ
・神村三区ランプ
松永道路 福山西ジャンクション ふくやまにし 福山市今津町 ・本来は山陽自動車道と尾道・福山自動車道の接続点となる福山西インターチェンジ(福山市東村町)が福山西ジャンクションという名称になるのがふさわしいのではないかと感じていること。
・山陽自動車道玉島インターチェンジ(倉敷市玉島長尾)から延びてきたランプウェイ(岡山県道54号倉敷・美袋線に指定されている)と玉島バイパスの接続点の名称が船穂ジャンクションとされたのに福山西インターチェンジから延びてきたランプウェイと松永道路の接続点の名称が福山西ジャンクションというのはどうかと感じていること。
(私が考える改称案)
・今津ジャンクション(非公式ではあるが本サイトではこちらで表記している)
・松永ジャンクション
松永道路/
尾道バイパス
高須インターチェンジ たかす 尾道市高須町 ・西瀬戸自動車道と尾道・福山自動車道(松永道路)、尾道バイパスの接続点になっているのにジャンクションとはなっていないこと。
・ランプウェイを共有しているにもかかわらず松永道路・尾道バイパス側は高須インターチェンジ、西瀬戸自動車道側は西瀬戸尾道インターチェンジ(尾道市高須町)となっており、名称を統一したほうが良いのでは…と思うこと。
(私が考える改称案)
・尾道高須ジャンクション・インターチェンジ
・尾道東ジャンクション・インターチェンジ
・高須ジャンクション・インターチェンジ
・西瀬戸尾道ジャンクション・インターチェンジ
尾道バイパス 栗原インターチェンジ くりはら 尾道市長江三丁目/
尾道市門田町
福山方面出入口(尾道市長江三丁目。広島県道363号栗原・長江線と接続)と三原方面出入口(尾道市門田町。国道184号線と接続)は700mほど離れており、その間は尾道バイパスに並行して建設された側道(南側は西行きの一方通行、北側は東行きの一方通行になっている)で結ばれているものの同一のインターチェンジという感覚が生じにくくなっていること。
福山方面出入口は福山方面から見た場合尾道市の観光名所の一つとなっている千光寺公園(尾道市西土堂町・東土堂町)の最寄りインターチェンジになっており、そのことを明示したほうが良いように思われること。
(私が考える改称案〔福山方面出入口/三原方面出入口〕)
・千光寺公園口インターチェンジ/栗原インターチェンジ
・長江千光寺公園口インターチェンジ/栗原インターチェンジ

・地理に詳しくない方のために案内を充実させてはどうであろうか。特に問題になってくるのはバイパスを出てから通る道路に何らかの不都合(幅員制限・高さ制限など)が存在する場合である。国土交通省(東京都千代田区霞が関二丁目)が管理する国道路線ではそういう案内が充実しているとは言えない状況があるし、もし事故や災害が起きてバイパスから他の道路に迂回せざるを得なくなった時通行する方が何も知らないで不都合がある道を通ったことで困る場合が想定されるからである。「我々が管理しない道路など知ったことではない」と言うのだろうが、いざという時使用者を困惑させる可能性があることを考えて頂きたい。
・安全対策を強化してはどうであろうか。最も完成が遅くなる可能性が高い福山道路の全線開通時点で暫定上下2車線区間がどれだけ残ることになるかは分からないが、暫定上下2車線区間は対向車線から飛び出してきた車両との衝突の危険性があることや先を急いでいる車両がすぐ後方にいることに気付いても進路を譲って先に行かせる場所がないため怖い思いをすることがあること、事故や災害で通行止めになった場合長時間塞がれることになり不便であることといった難点を抱えている。上下4車線化が実施できるところは上下4車線化を、上下4車線化が実施できないところは道路中央部へのワイヤーロープの設置をそれぞれ進め、安心して通行できるように努めて頂きたいものである。また、トンネル内でラジオ放送が受信できる場合があるが、エフエム放送は対応していると記されていても受信しづらいところがあるし、最近整備が進められているエフエム補完放送(注16)には全く対応できていないので安全な通行のためにも改善を求めたいところである。
浅川ランプから三原市新倉二丁目/新倉交差点まで120km近くに及ぶバイパスは岡山・倉敷・玉島・金光・鴨方・里庄・笠岡・福山・松永・尾道・三原といった人口集積地を避けて通ることになるが、バイパスと市街地を結ぶ幹線道路を強化してはどうであろうか。バイパスと市街地を往来する道路は(市街地を通る関係上致し方ないことではあるのだが)よく渋滞する印象を抱くことが多いが、もし複数有用な道路があれば交通は分散され、市街地に用のある方の心理的負担が軽減されることになる。道路整備には用地買収の難航や地方自治体の財政事情の悪化など課題は多く存在するが、行きにくいところとか市街地までは距離がある上に遠いので寄ってみようという気が起きないというような印象を抱かれないようにする努力が求められるのではないのだろうか。
・バイパスの全線開通後従来の国道2号線は旧道となり、管理者は国土交通省から地方自治体に移ることになるが、浅川ランプから三原市新倉二丁目/新倉交差点まで120km近くに及ぶバイパスの旧道は岡山・倉敷・玉島・金光・鴨方・里庄・笠岡・福山・松永・尾道・三原といった人口集積地を貫いていることを考えると少なくとも主要地方道にして整備・維持に関して国からの補助を得られるようにしてはどうであろうか。下表は浅川ランプから三原市新倉二丁目/新倉交差点まで120km近くに及ぶバイパスのうち全線開通を果たしているものの旧道処分の状況を示しているのだが、気になるのは岡山市中心部と倉敷市中心部を結ぶ岡山県道162号岡山・倉敷線が一般県道のままになっていることである。主要地方道再編は原則として国道再編が行われないと行われないことになっており(注17)、現状では岡山県道162号岡山・倉敷線が主要地方道、ましてや国道に昇格することはあり得ないわけであるが、果たしてこれで良いのであろうか。

名称 全線開通年 処分後の路線名称 備考
岡山バイパス 1999年
(平成11年)
国道250号線
岡山県道21号岡山・児島線
岡山県道162号岡山・倉敷線
国道429号線
玉島バイパス 1994年
(平成6年)
国道429号線
赤坂バイパス 1998年
(平成10年)
広島県道54号福山・尾道線
松永道路 1990年
(平成2年)
国道2号線 広島県が管理している。
尾道バイパス 1972年
(昭和47年)
国道2号線 広島県が管理している。
木原道路 2021年
(令和3年)
(未定)
三原バイパス 2012年
(平成24年)
国道185号線
広島県道75号三原・竹原線
広島県道344号大草・三原線

・国道2号線のバイパスの整備を進めるのも良いのだが、それを補完する国道路線・県道路線・市町村道路線の整備も併せて推進してはどうであろうか。私が住んでいる福山市を中心として考えた場合、笠岡方面にしても尾道方面にしても国道2号線以外に信頼でき、気軽に迂回できる道がないのがどうかと考えているところである。笠岡方面については広島県道379号坪生・福山線や岡山県道/広島県道3号井原・福山港線、岡山県道377号山口・押撫線、尾道方面については広島県道378号御幸・松永線や広島県道382号熊野・松永線、都市計画道路山波・南松永線についてもう少し整備に積極的な姿勢を見せてはどうであろうか。それらの道路の整備が完成すれば国道2号線に頼らない狭域交通が確立され、ひどいとよく言われている福山市中心部の国道2号線の渋滞もある程度緩和されるのではないかと思うのだが…。
 まあ今記してきたことが全て実現するとは思っていないし、反対意見も少なくないことであろうが、果たしてどんな未来があるのだろうか。いつまで状況を見続けられるかは分からないが今後も注目していくことにしたい。

(注釈コーナー)

注1:松永道路は松永バイパスや松永新道と称する場合もある。

注2:各バイパスの全線開通時期は下表の通りである(各バイパスとも「備考」欄で触れない限り全線開通時点では暫定上下2車線で開通している)。

バイパス名 全線開通年月日 備考
赤坂バイパス 1998年
(平成10年)
3月14日
福山市瀬戸町山北/赤坂バイパス東口交差点福山市赤坂町早戸/赤坂バイパス早戸ランプ交差点間は上下4車線で開通している。
松永道路及び尾道・三原両バイパスとは異なり部分開通を繰り返して全線開通に至った歴史を持っておらず、初開通=全線開通となっている(これは木原道路と同じ)。
松永道路 1990年
(平成2年)
12月15日
一般道路(神村ランプ今津インターチェンジ〔福山市今津町〕間)と自動車専用道路(今津インターチェンジ今津ジャンクション〔福山市今津町〕高須インターチェンジ〔終点。尾道市高須町〕間)で構成されるバイパス(但し西藤インターチェンジ〔尾道市西藤町〕高須インターチェンジ間にある二つの下り線用トンネルには歩道が併設されている)。
今津ジャンクション高須インターチェンジ間は山陽自動車道と西瀬戸自動車道(愛称:瀬戸内しまなみ海道)を結ぶ目的で企図された尾道・福山自動車道に指定されている。
※今津ジャンクションは日本道路交通情報センター(JARTIC)公式サイトなどでは福山西ジャンクションと記されているが、福山西インターチェンジが山陽自動車道と尾道・福山自動車道との接続点になっており、そちらが福山西ジャンクションを名乗るのが妥当だと考えていることと地域住民の感情などを考えれば福山西ジャンクションや松永ジャンクションよりも今津ジャンクションとしたほうが良いように感じること、そして今津ジャンクションのすぐそばに福山市立今津小学校(現:福山市立遺芳丘小学校〔福山市今津町〕)があったことから本サイトでは今津ジャンクションと表記することにしている。
尾道バイパス 1972年
(昭和47年)
4月27日
中国地方初の自動車専用バイパス(但し尾道市高須町/尾道バイパス東口交差点高須インターチェンジ間は一般道路である)。
一般道路だった部分はその後尾道市道に再編されている(但し国道標識は現在も残されている)。
三原バイパス 2012年
(平成24年)
3月31日

注3:福地インターチェンジは福山方面との出入り・広島方面との出入りともできる構造になっているが、木原道路全線開通の時点では福山方面との出入りのみ可能になっており、広島方面との出入りはできないようになっている。なお、広島方面との出入りについては今年5月下旬頃可能になる予定になっている。

注4:木原道路にあるトンネルとしては内畠トンネル(延長:986m)と赤石トンネル(延長:1,216m)がある。この二つのトンネルの延長合計は約2.2kmとなっており、木原道路の総延長(約3.8km)の半分以上を占めている。

注5:三原市木原一丁目/木原町赤石交差点三原市糸崎八丁目/糸崎神社前交差点間の異常気象時通行規制区間はかつては全区間が国道2号線(管理者は国土交通省)になっていたが、2016年(平成28年)4月1日から三原市糸崎八丁目/糸崎8丁目交差点三原市糸崎八丁目/糸崎神社前交差点間1.3kmについては国道185号線(管理者は広島県)に再編されている。元々は一つの路線にかけられていた異常気象時通行規制区間が路線再編により複数の路線に分かれる例はいくつか見られるが、路線だけでなく管理者が途中で変わるのは珍しいと言える。

注6:三原バイパスは自転車と歩行者に加えて今年2月25日からは125cc以下のバイクと、20歳未満の方または自動二輪免許取得から3年が経過していない方が運転する二人乗りバイクの通行が禁止されるようになっている。三原バイパスの東方に延びる松永道路・尾道バイパス・木原道路が自動車専用道路であることから木原道路開通に先立って通行制限車両を追加したのではないかと思われる。
※但し恵下谷ランプ(三原市八坂町)西宮トンネル西側坑口(三原市西宮二丁目)間については歩道が併設されており、そこだけは自転車と歩行者が通行できるようになっている。

道の駅みはら神明の里(三原市糸崎四丁目)にある通行制限車両が追加されたことを伝える看板

注7:広島方面から走ってきた場合は尾道バイパスと国道2号線松永・尾道旧道が分かれるところに尾道バイパスと自動車専用道路が始まる旨を記した標識があった。

注8:吉和インターチェンジ福地インターチェンジ間の拡幅用地とも受け取れる場所には尾道西パーキングエリア(下り線:尾道市福地町/上り線:尾道市吉和町)が設置されていた。木原道路建設に伴い下り線側施設は2015年(平成27年)3月30日をもって、上り線側施設は2020年(令和2年)1月15日をもってそれぞれ閉鎖・廃止された。

注9:松永道路は最初は国道2号線松永・尾道旧道が福山方面から見た場合南西方向から南南西方向に曲がっていく辺り(尾道市高須町/今宮中交差点付近)で国道2号線松永・尾道旧道に合流する計画になっており、昭文社発行の道路地図にそのような計画線が掲載されていたこともあった。しかし、沿線住民の強硬な反対などにより現在の計画に変更されている。

注10:このうち松永と五日市はかつては独立した自治体であった。現在の国道2号線(正式名称は一般国道2号)が発足した1965年(昭和40年)4月1日時点では松永は松永市(1954〜1966)、五日市は佐伯郡五日市町(1911〜1985)という自治体であった。その後松永市は1966年(昭和41年)5月1日に福山市と統合して改めて発足した福山市に移行したため、佐伯郡五日市町は1985年(昭和60年)3月20日に広島市に編入されたためいずれも自治体としては消滅している。

注11:著名な事例としては次に挙げるようなものがある。
・国道18号線上新バイパス全線開通(1991年〔平成3年〕7月30日)に伴う旧道処分。妙高市姫川原/姫川原交差点を終点としていた国道292号線は国道18号線だった区域を編入して上越市寺町/寺町交差点まで延長されたのだが、現在でも一般国道の路線を指定する政令では終点は妙高市内にあるとされている。
・国道2号線(国道9号線重用)埴生バイパスの全線開通(2006年〔平成18年〕7月29日)に伴う旧道処分。山陽小野田市埴生/上市交差点を終点としていた国道190号線は国道2号線だった区域を編入して路線を延長したのだが、一般国道の路線を指定する政令では国道190号線の終点は山陽小野田市とされているため山陽小野田市・下関市境が終点となっている。山陽小野田市・下関市境から下関・門司方面については国道2号線(国道9号線重用)のままになっているのだが、山陽小野田市・下関市境から500mほど下関・門司方面に進むと埴生バイパスと合流することを考えると国道2号線(国道9号線重用)埴生旧道と埴生バイパスとの合流点(下関市松屋東町一丁目)まで国道190号線に編入したほうが収まりが良いように感じられる(本サイトではその観点から国道2号線〔国道9号線重用〕埴生旧道と埴生バイパスとの合流点を国道190号線の終点と見なしている。つまり、国道190号線の終点は下関市になる)。
また、国道路線の旧道処分が理由ではないのだが、国道480号線の起点は泉大津市穴田/穴田交差点となっているが一般国道の路線を指定する政令では国道480号線の起点は和泉市となっている。区画整理により起点付近の地域が和泉市から泉大津市に編入されたのが理由らしいのだが、些細なことを突くことになるかもしれないのだがこういう実際の起終点と政令上の起終点が合致しない状況を解消しようという考えはないのだろうか。まあそういうことをするとすればもう行われることはないとされている国道再編を行うしかないわけであるが…。

注12:広島県議会で県道路線の認定議案が提出されたのは2008年(平成20年)12月定例会が最後である。広島県道241号筒賀停車場線(1969〜2009)と広島県道303号上筒賀・筒賀停車場線(1969〜2009)のそれぞれの一部区間を繋ぎ合わせて発足させる広島県道303号上筒賀・津浪線の認定に関する議案であった。
※ここで出てくる筒賀停車場とはJR可部線田之尻駅(広島県山県郡安芸太田町中筒賀。1969〜2003)を指す。田之尻駅は1956年(昭和31年)に設置された時は筒賀駅という名称だったがJR可部線加計〜三段峡間延伸(1969年〔昭和44年〕7月27日)の際に改めて山県郡安芸太田町筒賀地区中心部に筒賀駅が設置されることになったため1969年(昭和44年)7月1日に田之尻駅に改称している。ならば広島県道241号筒賀停車場線は広島県道241号田之尻停車場線に、広島県道303号上筒賀・筒賀停車場線は広島県道303号上筒賀・田之尻停車場線にそれぞれ改称すれば良いように感じるのだが、JR可部線可部〜加計〜三段峡間は1968年(昭和43年)以降日本国有鉄道(東京都千代田区丸の内一丁目。1949〜1987)→西日本旅客鉄道(JR西日本。大阪市北区芝田二丁目)から整理対象にされていたこと(可部〜加計〜三段峡間は2003年〔平成15年〕12月1日に廃止されている)もあったのか広島県は遂に改称措置をとることはなかった。
なお、広島県道241号筒賀停車場線と広島県道303号上筒賀・筒賀停車場線は広島県道239号加計停車場線(1960〜2009)とともに2009年(平成21年)2月5日広島県告示第119号により廃止されている(これら3路線の廃止議案も2008年〔平成20年〕12月定例会に提出されている)。

注13:現在岡山バイパス本線に存在し、立体交差化が計画されている信号機付交差点は下表の通りである。

※下表の「方角」は「北」は岡山バイパスより北の地域に、「南」は岡山バイパスより南の地域にそれぞれ延びていくことを指しており、厳密な方角を記しているわけではない。

交差点名 読み方 所在地 接続道路 備考
方角 接続道路名称
大樋橋西 おおひばしにし 岡山市南区古新田/
岡山市南区大福
国道180号線
岡山西バイパス
交差点名称にある大樋橋は大樋橋西交差点の東方約300mを流れている笹ヶ瀬川にかかる国道2号線岡山バイパスの橋の名称で全長は192m。
南に延びる岡山市道は現在建設中の国道180号線岡山環状南道路に包含されることになっている(国道180号線岡山環状南道路は2024年度〔令和6年度〕開通予定)。
岡山市道
古新田 こしんでん 岡山市南区古新田 県道61号妹尾・御津線
県道152号倉敷・妹尾線
妹尾東 せのおひがし 岡山市南区古新田/
岡山市南区妹尾
岡山市道
岡山市道
妹尾西 せのおにし 岡山市南区妹尾 県道151号妹尾・吉備線 この交差点までは県道21号岡山・児島線との重用区間(重用区間の起点は岡山市南区米倉/米倉交差点)。
南に延びる県道21号岡山・児島線興除バイパスは妹尾西交差点岡山市南区妹尾/興除バイパス北口交差点(交差点名標なし)間(延長:約200m)は県道151号妹尾・吉備線と重用している。
県道21号岡山・児島線
興除バイパス
無津 むつ 都窪郡早島町早島 県道153号早島・吉備線 「無津」は交差点周辺の小字。
県道185号早島停車場線
早島中 はやしまなか 都窪郡早島町早島 県道187号早島・松島線
県道165号藤戸・早島線
長津 ながつ 都窪郡早島町早島 早島町道 「長津」は交差点周辺の小字。
早島町道
金田口 かんだぐち 都窪郡早島町早島 県道152号倉敷・妹尾線
早島町道
「金田」は交差点の北方約850mのところにある小字。
岡山バイパス本線にある信号機付交差点としては唯一の五差路である(他は全て十字路)。
県道152号倉敷・妹尾線
西田 にしだ 倉敷市西田 倉敷市道
倉敷市道
加須山 かすやま 倉敷市加須山/
倉敷市二日市
県道74号倉敷・飽浦線
県道74号倉敷・飽浦線
新田 しんでん 倉敷市新田 倉敷市道
倉敷市道

もし上表に掲げた11箇所の交差点の立体交差化が完成すれば岡山バイパスは信号機が一切なくなり、全区間を無停車で走れるようになるのだが、課題がないわけではない。それを挙げると次の通りになる。
・立体交差化に関して強硬な反対運動が起きる恐れがあること。
・山陽自動車道早島支線・瀬戸中央自動車道早島インターチェンジ(岡山県都窪郡早島町早島)に近接する長津金田口両交差点の立体交差はどのようにするのか工法決定が難航する恐れがあること。
・沿線には多くの店舗があるが、立体交差化により利用者が減って営業を続けられなくなるところが出る恐れがあること。
・どのような工法で、どのくらいの期間で建設するかはまだ分からないが、もし建設が始まるとその間渋滞が頻発する恐れがあること。
今のところ大樋橋西交差点の立体交差化だけが進行しているという状況であり(国道180号線岡山環状南道路が開通する2024年度〔令和6年度〕完成予定)、大樋橋西交差点以外の10箇所の交差点については検討を始めたところなので完成はかなり先のことになるのだが、どのような形にしていくのか、今後の展開が注目されるところである。

注14:有名なものとしては新4号国道(国道4号線。茨城県・栃木県・埼玉県)や上武道路(国道17号線。群馬県・埼玉県)、名岐バイパス(国道22号線。岐阜県・愛知県)、名濃バイパス(国道41号線。岐阜県・愛知県)、名四バイパス(国道23号線。愛知県・三重県)が挙げられる。

注15:「岡山県道471号南浦・金光線本線」と記したのは玉島・笠岡道路に並行して建設された側道も岡山県道471号南浦・金光線に指定されているからである。
※岡山県道471号南浦・金光線は倉敷市玉島黒崎字南浦と浅口市金光町佐方を結ぶ路線として認定されたので玉島・笠岡道路に並行して建設された側道も岡山県道471号南浦・金光線にするのはどうかと思う方がいるかもしれないのだが、本サイトをご覧になっていた方から寄せられた情報によると次に挙げる事情により新規に県道路線を認定するのではなく、途中で交差する県道路線の支線にしたのだという。
・玉島・笠岡道路に並行して建設された側道は岡山県道471号南浦・金光線本線の終点となる浅口市金光町佐方/佐方交差点の渋滞解消を目的として国からの補助を受けて建設したものであること。
・そのためもし玉島・笠岡道路側道を岡山県道471号南浦・金光線以外の県道路線、すなわち例えば岡山県道X号大谷・六条院東線とか岡山県道431号大谷・新庄線(浅口市鴨方町六条院東/四条原交差点〔信号機・交差点名標なし〕を起点としている岡山県道431号六条院東・里庄線を浅口市金光町大谷/横池西交差点〔信号機・交差点名標なし〕まで延伸して発足させる県道路線。浅口市鴨方町六条院東/鴻之巣交差点〔信号機・交差点名標なし〕浅口市鴨方町六条院東/四条原交差点〔信号機・交差点名標なし〕間は岡山県道284号東安倉・鴨方線と重用するものとする)という県道路線にすると国からの補助を返還しなければならなくなること。
・もし玉島・笠岡道路側道を例えば岡山県道X号大谷・六条院東線とか岡山県道431号大谷・新庄線という県道路線にすると交通量が少ないために費用対効果が見込めないとして国からの補助が出にくくなる恐れがあること(確かに玉島・笠岡道路側道は開通してから何度か通ったことがあるがどの時も交通量は少なかった)。
今挙げたことから垣間見えるのはやはり1990年代中期に表面化した岡山県の財政事情の厳しさであろう。岡山県の財政事情の厳しさは道路行政にも及んでおり、そのことは1996年(平成8年)を最後に県道路線の新規認定を行っていないことやある程度の距離を有する主要地方道路線のバイパスが全線開通してもその旧道も引き続き主要地方道路線として取り扱っていること、近隣に整備された道路がある場合そちらに県道路線の区域を移すことなどにも見られる(その一方で県道路線網は極力維持しているのは賛否両論はあるが評価できることである。岡山県には財政規模が大きい市町村があまりないことや県道路線を整理する大義名分がないこと、県道路線を整理することに対して反対する声が多いことなどがその主たる理由であろう)のだが、そういう情報を得るまでなぜ玉島・笠岡道路の側道に本来は倉敷市玉島黒崎字南浦と浅口市金光町佐方を結ぶ路線である岡山県道471号南浦・金光線が充てられたのか全く理解できなかった(だから玉島・笠岡道路の側道について別の県道路線を認定してはどうかと書いていたのだが…)。岡山県の財政事情の厳しさはかなり深刻なものであることを改めて痛感させられた次第である。
ちなみに現在玉島・笠岡道路笠岡方面と岡山県道398号水島港・唐船線倉敷市水島地区方面を直結する都市計画道路勇崎・大谷線が計画されているが、これも新規に県道路線を認定するのではなく、岡山県道398号水島港・唐船線のバイパスとして建設されることになっている。理由は岡山県道398号水島港・唐船線の終点となる倉敷市玉島阿賀崎/唐船交差点の渋滞解消を目的として国からの補助を受けるためとのことである(つまり玉島・笠岡道路側道を既存の県道路線の別線にしたのと同じ理由となる)。

注16:岡山市東区〜三原市間の国道2号線の沿線にある中波放送局のエフエム補完中継局は下表の通りである。

県名 放送局名 中継局名 所在地 周波数
(MHz)
開局年月日 備考
岡山県 RSK山陽放送
(RSK、岡山市北区丸の内二丁目)
岡山 岡山市南区郡 91.4 2018年
(平成30年)
3月21日
現時点でRSK山陽放送ラジオ唯一のエフエム補完中継局である(ちなみにRSK山陽放送ラジオ以外の中国地方にある民間中波放送局はいずれもエフエム補完中継局を2箇所以上有しているため1箇所しか有していないのはRSK山陽放送ラジオだけになっている)。
広島県 NHK広島拠点放送局
(広島市中区大手町二丁目)
尾道 尾道市向島町 93.6 2021年度
(令和3年度)
ラジオ第一のエフエム補完中継局。
周波数は2020年(令和2年)6月1日付総務省報道資料「エフエム補完中継局の免許申請の受け付け」による。中国放送は現在のところ新たなエフエム補完中継局の整備を発表していないためNHK広島拠点放送局が使用するのは確実だと思われる。
中国放送
(RCC、広島市中区基町)
福山 福山市千田町千田 94.6 2016年
(平成28年)
10月1日
中国放送ラジオはエフエム補完中継局を5箇所(広島・久井・西条・福山・三次)有しているが周波数は94.6MHzに統一している。

しかし、日本のエフエム放送の使用周波数帯が76.0〜90.0MHzから76.0〜95.0MHzに拡大されたのはエフエム補完放送制度が創設された2014年(平成26年)以降であるため上表に掲げたエフエム補完中継局は既存のラジオ放送受信対応トンネルでは受信できないようになっている。それ故道路脇にある受信可能なラジオ局を記した標識などではエフエム補完中継局の存在は一切案内されていない。そのことを如実に示した例が下の写真の看板(福山市赤坂町早戸/赤坂バイパス早戸ランプ交差点のそばにある)となる。

今後エフエム補完中継局が増え、なおかつNHK-FM・都道府県域民間エフエム放送局・コミュニティ放送局が周波数が90.1〜95.0MHzを用いている中継局を有するようになり、市販の多くのラジオ受信機と同じように周波数が90.1〜108.0MHzを用いている中継局の電波を受信できる車載ラジオ受信機(カーラジオ・カーステレオ・カーナビゲーションシステムを指す)が普及すれば改善されていくことであろうが、放送局間でエフエム補完放送に対する取り組みに温度差が生じていることなどを考えればまだまだ時間がかかりそうな状況である。

注17:確かに主要地方道路線の新規指定は1993年(平成5年)5月11日建設省告示第1,270号を最後に行われていないのだが、都道府県による主要地方道路線の改廃は21世紀に入ってからいくつも行われている。その例を示すと下表の通りになる。

項目 状況 事例
路線名称変更 平成の大合併 島根県道31号仁摩・瑞穂線の島根県道31号仁摩・邑南線への改称(2006年〔平成18年〕。終点があった邑智郡瑞穂町が市町村合併により邑智郡邑南町になったため改称)。
起点または終点の移動 岩手県道37号花巻・衣川線の岩手県道37号花巻・平泉線への改称(2014年〔平成26年〕。終点が奥州市衣川地区から西磐井郡平泉町に移動したため改称)。
路線認定 新規認定 山梨県道42号韮崎・南アルプス・富士川線の認定(2016年〔平成28年〕。国道52号線甲西道路の全線開通に伴う旧道処分で発足。国土交通省から主要地方道認定を受けた様子はないので本来なら一般県道路線になるはずであるがなぜか山梨県は主要地方道扱いにしている。恐らく路線の重要性を考慮してのことであろう)。
主要地方道路線同士の統合 埼玉県道65号さいたま・幸手線の発足(2005年〔平成17年〕。さいたま市が岩槻市を編入したことにより埼玉県道64号さいたま・岩槻線と埼玉県道65号岩槻・幸手線を統合して発足させた)。
主要地方道路線と
一般都道府県道路線の統合
宮城県道16号石巻・鹿島台・色麻線の認定(2019年〔平成31年〕。宮城県道16号石巻・鹿島台・大衡線と宮城県道148号本町・大衡線を統合して発足させた)。
路線延伸 山梨県道20号甲斐・早川線の認定(2015年〔平成27年〕。甲斐市と南アルプス市芦安地区を結んでいた山梨県道20号甲斐・芦安線を西隣の南巨摩郡早川町へ延長することになり、山梨県道20号甲斐・芦安線を廃止して山梨県道20号甲斐・早川線を発足させた)。
路線廃止 通過市区町村への移管 兵庫県道60号明石停車場線の廃止(2018年〔平成30年〕。兵庫県道60号明石停車場線は2009年〔平成21年〕に管理者が兵庫県から明石市に変更されているのだがなぜ明石市が管理している県道路線なのに廃止措置をとったのかは不明。都市計画上の都合なのだろうか)。
主要地方道路線同士の統合 埼玉県道64号さいたま・岩槻線及び埼玉県道65号岩槻・幸手線の廃止(2005年〔平成17年〕。さいたま市が岩槻市を編入したことにより埼玉県道64号さいたま・岩槻線と埼玉県道65号岩槻・幸手線を統合して埼玉県道65号さいたま・幸手線を発足させたため埼玉県道64号さいたま・岩槻線と埼玉県道65号岩槻・幸手線は廃止された)。
主要地方道路線と
一般都道府県道路線の統合
宮城県道52号亘理・村田線の廃止(2019年〔平成31年〕。宮城県道52号亘理・村田線と宮城県道222号寄井・蔵王線を統合して宮城県道52号亘理・村田・蔵王線を発足させたため廃止された)。