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この先一体どうなるの?(2019年〔令和元年〕10月1日公開)

 民間中波放送局のエフエム補完放送について全47社が実施することが確定した今春、日本民間放送連盟(東京都千代田区紀尾井町)が総務省(東京都千代田区霞が関二丁目)に対して中波放送を廃止してエフエム放送に転換できるように2028年度(令和10年度)までの制度改正を要望したというニュースがあった。ラジオ局についても対象範囲としている本サイトではそのニュースの成り行きを注目していたのだが、この度総務省の有識者会議は中波放送の廃止とエフエム放送への転換を容認することで一致したのだという(今年8月31日付中国新聞朝刊による)。
 中波放送は中波放送であるべきであり、エフエム放送に転換するとかインターネットで流すというのは認められないという方も多いと思うのだが、なぜこのようになったのか。これまでの経緯を記すと次の通りになる。
・中波放送は1925年(大正14年)3月22日に社団法人東京放送局(現在の日本放送協会本部〔東京都渋谷〈しぶや〉区神南二丁目〕の前身)が放送を始めたこと(注1)に端を発する、日本では一世紀近い歴史を刻む放送形態である。
・第二次世界大戦後は日本放送協会(NHK、東京都渋谷区神南二丁目)に加えて民間放送局が全国各地で開局し、現在は日本放送協会42局(注2)・民間放送47社が放送を行っている。
・日本は四方を海に囲まれていることやアジア大陸に近いこと、海外の放送局が高い出力で放送を行っていることなどから夜間を中心に放送が受信しづらいところが出るようになった。
・そこで1990年代になってから海外の放送との混信で悩む地域にある日本放送協会の放送局や民間中波放送局でエフエム電波を用いた中継局を設置するようになった。
・その後総務省は海外電波との混信対策や高層建築が増えた都市部での受信困難対策、地形・地理的条件による受信困難対策、災害対策などを大義名分として民間中波放送局のエフエム補完放送を推進することにし、全ての民間中波放送局に対して本局用のエフエム補完放送用周波数を割り当てた。エフエム中継局整備は放送局にとってはかなりの負担になることから総務省としては取り組むことにした放送局には補助金を出す制度も同時に定めている。
・経営事情などから民間中波放送局のエフエム補完放送への取り組みには温度差が生じたが、今年6月にRFラジオ日本(RF、横浜市中区長者町五丁目)・西日本放送(RNC、高松市丸の内)・高知放送(RKC、高知市本町三丁目)の3社が予備免許を取得したことをもって全ての民間中波放送局が取り組むことになった。
 RFラジオ日本・西日本放送・高知放送
について総務省が補助金を出すことを決めた(これにより民間中波放送局のエフエム補完放送について全47社が実施することが確定した(注3))のは今年2月のことだから「日本民間放送連盟が総務省に対して中波放送を廃止してエフエム放送に転換できるように2028年度(令和10年度)までの制度改正を要望した」というニュースはそれを受けてのことであろう。
 確かに中波放送とエフエム放送を併存させることはかなりの負担になるしただでさえ民間ラジオ放送局は広告収入の低迷やインターネットの急激な普及などにより経営が苦しいところが多くなっているから不利な面(注4)の多い中波放送はやめようという話になったのだろうが、私はこういう時が来るのではないかとあることで予感していた。それは山口放送(KRY、周南市徳山)のエフエム補完放送に対する積極的な態度である。
 山口放送は中国地方にある民間中波放送局では中波中継局の数は6箇所(周南本局・山口・岩国・下関・須佐田万川〔すさたまがわ〕・萩)と最も少なかった(注5)。その山口放送がエフエム補完放送を始めたのは2015年(平成27年)7月21日のことであった。無論中国地方にある民間中波放送局としては初めてだった(注6)のだが、驚くべきはそれから3年半で13箇所もエフエム中継局を設置したことである。中継局の開局状況を示すと下表の通りになる。

(下表をご覧頂くに当たっての注意)

・下表は山口放送公式サイトや本サイトからもリンクを貼っている「千客万来・でんぱでーたどっと混む!」を元に作成したものである。

・最初に開局した山口放送周南エフエム中継局は山口放送や総務省では山口中継局と呼称しているが山口市内にある中継局と誤解される恐れがあることや施設を山口放送のテレビ放送の本局と共用していること、山口放送の本社は周南市にあることから本サイトでは周南エフエム中継局と表記している。

開局年月日 中継局名 所在地 周波数
(単位:MHz)
対応する
中波中継局名
備考
月日
2015年
(平成27年)
7月21日 周南 防府市牟礼 92.3 周南本局
11月29日 美祢 美祢市伊佐町伊佐 86.4 (なし)
2016年
(平成28年)
4月18日 長門 長門市日置上 86.4 (なし)
8月2日 萩市椿東 86.4
10月12日 柳井 光市塩田 92.3 (なし)
2017年
(平成29年)
4月23日 岩国 岩国市御庄 92.3 岩国
5月21日 下関 下関市みもすそ川町 92.3 下関
9月23日 阿東 山口市阿東地福下 92.3 (なし)
10月23日 豊浦 下関市豊浦町厚母郷 86.4 (なし)
2018年
(平成30年)
4月11日 宇部 宇部市小串 92.3 (なし)
8月29日 須佐田万川 萩市須佐 86.4 須佐田万川
11月12日 山口鴻ノ峯 山口市上宇野令 92.3 山口
12月5日 周防大島 大島郡周防大島町
西安下庄
92.3 (なし)

 その間に中国放送(RCC、広島市中区基町)は広島・久井・福山・三次(みよし)の4箇所、山陰放送(BSS、米子〔よなご〕市西福原一丁目)は鳥取・松江の2箇所、RSK山陽放送(注7)(RSK、岡山市北区丸の内二丁目)は岡山の1箇所にそれぞれエフエム中継局を設置していることを考えると山口放送ラジオのエフエム中継局設置の積極さが際立つのだが、これにより山口放送は日本の民間中波放送局で最も中継局が多いところになった(注8)上に全ての中波中継局がエフエム放送で補完されることになった(注9)のである。
「積極的にエフエム中継局の設置を進める山口放送は中波放送をどのようにするつもりなんだろう…?」
 13箇所もエフエム中継局を設置し、なおかつ全ての中波中継局がエフエム中継局で補完されるようになれば中波放送の存在感が薄れることが予想されるのだが、そこで本サイトでは何度か中波放送の存在感を維持・向上させるためにも山口放送の中波放送は周波数を統一してはどうかというようなこと(注10)を書いてきた。その矢先に冒頭で記した通りの報道がなされたわけであるが、その方針に(一切公言していないが)山口放送の考え(注11)が反映されていると感じたのは私だけだろうか。
 ただ、放送区域面積の広い北海道や九州の離島を抱える地域などでは中波放送は残され、全て中波放送がなくなるというわけではないようである(注12)が、本当にこれで良いのだろうか。私は次に挙げる観点から中波放送の原則廃止は考え直したほうが良いのではないかと思うのである。

1 民間中波放送局は全てエフエム補完放送を実施することになったが日本放送協会はまだ実施していないところがあること

 前記の通り民間中波放送局は全47社がエフエム補完放送を実施することになったのだが、民間中波放送局と同じ悩みを持っているはずの日本放送協会はどうなのか。現状は次の通りである。
・中波放送のコールサインを持っている日本放送協会の放送局は42局(注2)だが、このうちエフエム補完放送に取り組んでいるのは本部・帯広・釧路(くしろ)・盛岡・秋田・長野・金沢・福井・名古屋拠点・静岡・大阪拠点・松江・岡山・徳島・松山拠点・高知・長崎・大分・宮崎・鹿児島・沖縄の21局となっている。
・このうち帯広・釧路・盛岡・秋田・長野・金沢・福井・名古屋拠点・静岡・大阪拠点・松江・岡山・徳島・松山拠点・高知・長崎・大分・宮崎の18局はラジオ第一放送だけで、本部・鹿児島・沖縄各放送局はラジオ第一放送・ラジオ第二放送双方でそれぞれエフエム補完放送を実施している。
・日本放送協会の中波放送のエフエム補完中継局は山間部や島嶼(とうしょ)部に設置されることが多い。
・日本放送協会の中波放送のエフエム補完中継局は民間中波放送局のエフエム補完中継局とは違って高層建築が増えた都市部での受信困難対策は設置理由として認められていない(よって本局周辺での設置例はあまりない(注13))。
 日本放送協会は民間中波放送局と同じ悩みを持っているのだから日本放送協会もエフエム補完放送を推進すれば良いのでは…と思う方もいるとは思うのだが、なぜ推進しないのか。考えられる理由は次の通りである。
・もしラジオ第一放送やラジオ第二放送もエフエム放送に移行させるとNHK-FMの立場が微妙なものになってくるから。
・もしラジオ第一放送やラジオ第二放送もエフエム放送に移行させるとエフエム放送を三つも抱えることになり、「いくら何でもチャンネルを持ちすぎだ」というような非難が出る恐れがあるから。
・もしラジオ第一放送やラジオ第二放送もエフエム放送に移行させると特にラジオ第一放送では中高年層の聴取者の減少を招く恐れがあるから。
・そもそも日本放送協会は受信困難地域を極力生じさせないように中継局を積極的に設置してきた経緯があり、特別の事情がない限りは中波放送は維持させる方針であるから。
・もしラジオ第一放送やラジオ第二放送もエフエム放送に移行させると平成時代に入ってから顕著になった、民間放送局で流れていてもおかしくないような番組が増え、古くからの聴取者からの苦情が出る恐れがあるから。
・もし日本放送協会も中波放送をエフエム放送に移行させると高出力の中継局がなくなることになり、海上や海外での受信が難しくなるから。
・日本放送協会はラジオ第一放送とNHK-FMについてはradikoに参加している(注14)他、ラジオ第一放送・ラジオ第二放送・NHK-FMについては独自にインターネットサイマル配信サービス(NHKネットラジオらじる★らじる)を展開しており、受信困難地域でも番組を楽しめるようにしているから(インターネットサイマル配信サービスの状況はこのページの最下部で紹介しているので併せてご覧頂きたい)。
・日本放送協会も民間放送と同じく中波放送を廃止したら海外の放送局が更に攻勢を強めてくる恐れがあるから。
 しかし、次に挙げる点はどのように考えるのだろうか。
・民間中波放送局と同じく日本放送協会も高層建築が増えた都市部での受信困難対策に頭を痛めているはずであること。
・いくらradikoやNHKネットラジオらじる★らじるといったインターネットサイマル配信サービスで国内のラジオ放送は楽しめるようになったとしてもパソコンやスマートフォンの扱いに慣れていなかったりその存在を知らなかったりする方々が少なくないこと。
・日本放送協会は視聴者が支払う受信料を財源としているが、少子・高齢化による人口減少で受信料収入が減り、その分施設の充実ができなくなる可能性が高くなること。
・日本放送協会の中波中継局も民間中波放送局のそれと同じくかなり高い鉄塔を建てなければならず、建設や整備、維持に手間がかかること。
・日本放送協会の中波中継局も民間中波放送局のそれと同じく平地に設置されることが多いため災害に遭いやすいこと。
・日本放送協会の中波中継局も民間中波放送局のそれと同じく設置からかなりの年数が経っているものが少なくなく、老朽化対策が求められるようになること。
・民間放送が中波放送を原則廃止した場合、中波放送は日本放送協会の独壇場となるがそれ故に特に若年層に聴かれなくなる恐れがあること。
・日本放送協会はラジオ放送の中で中継局の周波数紹介を一切しないため周波数の知名度が低いこと。
 今のところ日本放送協会は中波放送の今後の方針や民間中波放送局における中波放送の原則廃止→エフエム放送への移行に対する考え方を公にしていないが、私は日本放送協会の動向が民間中波放送局における中波放送の原則廃止→エフエム放送への移行の成否を握っているのではないかと考えている。というのも、かつて日本放送協会と民間ラジオ放送局で対応が分かれて結局普及しなかったものがあったからである。それは中国地方ではRSK山陽放送ラジオと中国放送ラジオの本局及び一部の中波中継局が導入していた中波ステレオ放送であった。
 中波ステレオ放送は平成時代初頭に大都市(注15)を放送区域に含めていた民間中波放送局を中心に導入が相次いだ。しかし、日本放送協会は次に挙げる理由から導入を見送った。
・もし導入しようとすると全ての放送局と本局・中継局を中波ステレオ放送に対応できるようにしなければならないため莫大な費用がかかること。
・中波放送は蛍光灯や電子レンジなどの家電製品を操作する時雑音が入る、電化されている鉄道路線のそばでは雑音が入る、立体駐車場などの建物の中では受信しにくくなる、国内外の放送局との混信が頻発しているといった難点があるがステレオ放送を導入してもそれは解決できる話ではなく、更にひどくなる恐れがあったこと。
・日本放送協会の中波放送は中波ステレオ放送に関心のある若年層の聴取率が低く、導入しても意味はないと判断したこと。
・日本放送協会はステレオ放送になる時間帯の多いエフエム放送も行っており(注16)、いくら中波放送もステレオ化できるとしても何を今更という雰囲気があったこと。
 更に導入に当たってはかなりの費用がかかることから導入したのは本局だけか本局及び一部の中継局に限ったところが多かったし、いくら大都市(注15)を放送区域に含めていても東北放送(TBC、仙台市太白区八木山香澄町)・RFラジオ日本・京都放送(KBS、京都市上京〔かみぎょう〕区烏丸通〔からすまどおり〕一条下ル龍前町)・ラジオ関西(CRK、神戸市中央区東川崎町一丁目)は導入しなかった(注17)。結局中波ステレオ放送を導入した放送局は下表に示した16社(民間中波放送局は47社あるからその3分の1程度ということになる)に終わってしまった。

(下表をご覧頂くに当たっての注意)

・放送局名は現在のものを記している。

・周波数の単位は全てkHzである。

放送局名 実施
中継局名
周波数 開始年月日 終了年月日 備考
STVラジオ
(STV、札幌市中央区北一条西八丁目)
本局 1440 1992年
(平成4年)
8月1日
2010年
(平成22年)
3月1日
苫小牧(とまこまい)・室蘭両中波中継局も同じ周波数を使用しているが導入しなかった。
北海道放送
(HBC、札幌市中央区北一条西五丁目)
本局 1287 1996年
(平成8年)
10月7日
2010年
(平成22年)
3月29日
TBSラジオ
(TBS、東京都港区赤坂五丁目)
本局 954 1992年
(平成4年)
3月15日
2011年
(平成23年)
1月31日
中継局は本局以外存在しない。
ニッポン放送
(LF、東京都千代田区有楽町一丁目)
本局 1242 1992年
(平成4年)
3月15日
(実施中) 中継局は本局以外存在しない。
文化放送
(QR、東京都港区浜松町一丁目)
本局 1134 1992年
(平成4年)
3月15日
2012年
(平成24年)
2月6日
中継局は本局以外存在しない。
CBCラジオ
(CBC、名古屋市中区新栄一丁目)
本局 1053 1992年
(平成4年)
4月4日
(実施中)
東海ラジオ放送
(SF、名古屋市東区東桜一丁目)
本局 1332 1992年
(平成4年)
4月4日
2012年
(平成24年)
5月14日
新城(しんしろ)中波中継局も同じ周波数を使用しているが導入しなかった。
朝日放送ラジオ
(ABC、大阪市福島区福島一丁目)
本局
1008 1992年
(平成4年)
3月15日
2010年
(平成22年)
3月15日
全中継局で実施。
京都局 1008 1997年
(平成9年)
4月1日
2010年
(平成22年)
3月15日
大阪放送
(OBC、大阪市港区弁天一丁目)
本局
1314 1993年
(平成5年)
3月29日
(実施中) 全中継局で実施。
京都局 1314 1997年
(平成9年)
4月1日
(実施中)
毎日放送
(MBS、大阪市北区茶屋町)
本局
1179 1992年
(平成4年)
3月15日
2010年
(平成22年)
3月1日
全中継局で実施。
京都局 1179 1997年
(平成9年)
4月1日
2010年
(平成22年)
3月1日
和歌山放送
(WBS、和歌山市湊本町三丁目)
本局 1431 1996年
(平成8年)
7月14日
(実施中) 串本中波中継局も同じ周波数を使用しているが導入しなかった。
RSK山陽放送
(RSK、岡山市北区丸の内二丁目)
本局 1494 1992年
(平成4年)
10月5日
2011年
(平成23年)
3月28日
RSK山陽放送は全ての中波中継局の周波数を1494kHzに統一しているが、本局・高梁(たかはし)中波中継局以外は導入しなかった。
高梁局 1494 1992年
(平成4年)
10月5日
2011年
(平成23年)
3月21日
中国放送
(RCC、広島市中区基町)
本局 1350 1992年
(平成4年)
10月1日
2011年
(平成23年)
3月14日
福山・府中・三原各中波中継局の開始時期は推定(便宜上福山・三原両中波中継局の周波数が変更された日を開始年月日としている(注18))。
福山局
府中局
1530 1994年
(平成6年)
11月14日
2001年
(平成13年)
10月15日
三原局 1530 1995年
(平成7年)
2月13日
2001年
(平成13年)
10月15日
RKB毎日放送
(RKB、福岡市早良区百道浜二丁目)
本局 1278 1992年
(平成4年)
4月1日
2010年
(平成22年)
5月31日
九州朝日放送
(KBC、福岡市中央区長浜一丁目)
本局 1413 1992年
(平成4年)
4月1日
2007年
(平成19年)
4月2日
熊本放送
(RKK、熊本市中央区山崎町)
本局 1197 1993年
(平成5年)
10月1日
2008年
(平成20年)
9月29日
熊本放送は全ての中波中継局の周波数を1197kHzに統一しているが、本局以外は導入しなかった。

 上表をご覧頂ければうかがえるように21世紀に入ると中継局で早速取りやめたところが出てきた(注19)のだが、2007年(平成19年)以降は本局でも取りやめるところが相次いだ。そして現在はニッポン放送(LF、東京都有楽町一丁目)・CBCラジオ(CBC、名古屋市中区新栄一丁目)・大阪放送(OBC、大阪市港区弁天一丁目)・和歌山放送(WBS、和歌山市湊本町三丁目)の4社だけが実施しているのだが、令和時代まで生き延びた4社の中波ステレオ放送は恐らく令和時代のどこかで終焉を迎えることになるであろう。
 中波ステレオ放送は結果として時代のあだ花となったわけであるが、民間放送局側だけ積極的で、日本放送協会側には何の動きもない中波放送の原則廃止→エフエム放送への移行も同じ轍を踏むことは考えられないだろうか。中波放送の原則廃止→エフエム放送への移行を進めたい事情は理解できないわけではないが、このままではどうなんだろうと思いたくなるのである。「中波ステレオ放送の導入と中波放送の原則廃止→エフエム放送への移行は全然状況が違う。中波放送の原則廃止→エフエム放送への移行は中波ステレオ放送の二の舞には絶対にならない」と反論する方もいることであろうが、今一度中波ステレオ放送の顛末(てんまつ)を振り返り、何がいけなかったのかとか今推進しようとしていることは果たして放送局にとって利益になることかどうかを考えてはどうであろうか。失敗はなかったことにしたり関係ないことと一蹴したりすべきものではなく、何らかの教訓を残したことであることを考えて頂きたいものではあるのだが…。

2 中波放送の面白味の一つである遠距離受信が困難になること

 中波放送の面白味の一つは夜になると遠隔地にある放送局が受信できるようになることである。それは同時に海外の放送との混信に悩まされるという中波放送の難点にもなるわけであるが、遠隔地にある放送局の番組が聴きたくてその放送局の周波数に合わせて受信を試みようとした方は少なくないはずである。
 前に触れたように放送区域面積の広い北海道や九州の離島を抱える地域では中波放送を残す方針にしたことはそのことが主たる理由になるのだが、ではエフエム放送に移行するとどうなるのか。電波が飛ぶ距離は中波放送より短くなることから遠距離受信は困難になる。受信できるとすればせいぜい近隣の都道府県の放送局に限られ(注20)、ラジオ放送の妙味が損なわれることになる。
 民間中波放送局側としてはそんなに遠隔地の放送局の番組を楽しみたいならradikoプレミアムに加入すれば良いだろうと言うかもしれない。確かに現在では全ての民間中波放送局がradikoに参加している(注21)し音質も良いのでそれはそれで便利なことではある。しかし、次に挙げるような難点もある。
・雑音や混信が交じることや受信できない可能性が高いことを覚悟した上で遠隔地の放送局の番組を聴くという楽しみが感じられなくなること。
・毎月利用料として350円(税抜き価格(注22))がかかること。
・本局の放送しか流していないこと。
・ラジオ受信機で聴く場合といくらかずれて放送されること。
・権利の関係などから流せない番組があること。
 雑音や混信が交じることや受信できない可能性が高いことを覚悟した上で聴くのが良いのか、利用料はかかるけど雑音・混信のないきれいな放送を楽しむのが良いのか、考え方は人それぞれだろうが、私はやはりラジオ受信機で遠距離受信に挑むほうが面白いと思っている。そうしてまで聴きたいと思う番組は今はないのだが、必要最小限の装置―手短に記せばラジオ受信機となるのだが―だけで受信できないと思っていた放送局を受信できた時の喜びと驚きは格別のものがあると思うからである。エフエム放送でもできないことはないのだが、中波放送特有の妙味を奪って本当に良いのだろうか。遠距離受信を楽しむなら金を払ってからにして頂きたいというような上から目線な考え方で本当に良いのだろうか。遠距離受信に挑む方は少数派ではあるがその点を考えて頂きたいと思う。

3 エフエム補完放送の知名度が低いままになっていること

 私の住んでいる福山市でエフエム補完放送が始まってから3年近く経ったのだが、中国放送の番組が従来の1530kHzに加えて94.6MHzでも楽しめることを知っている人はそんなにいないのではないかと感じているところである。中国放送としてはきちんと公式サイトで触れている他中国放送は放送開始時(月曜日午前5時)・放送終了時(月曜日午前1時45分)・放送基点(月曜日以外の午前5時)の時の局名告知ではエフエム放送の周波数を読み上げており(注23)、ある程度の知名度はあるとは考えられるのだが、なぜ知名度が低いのではないかと思っているのか。そのように思う根拠を挙げると次の通りになる。
・新聞、特に地方紙においてテレビ・ラジオ欄で民間中波放送局のエフエム中継局の周波数を記していないことが見られること。福山市で購読している人の多い地方紙、すなわち山陽新聞・中国新聞を見るとどちらもテレビ・ラジオ欄には民間中波放送局のエフエム中継局の周波数は記していない(注24)
・幹線道路の脇に設置されていることの多いラジオ局の周波数を記した看板に民間中波放送局のエフエム中継局の周波数が記されていないこと。写真は福山市赤坂町早戸/赤坂バイパス早戸ランプ交差点の脇にある受信可能なラジオ局とその周波数を記した看板であるが、中国放送のエフエム放送の周波数は記されていない(注25)。中国放送久井・福山両エフエム中継局が開局した後に開局したFMみはら(愛称:FOR LIFE RADIO。三原市宮沖五丁目)の周波数は記されているのに…(注26)

 まあエフエム補完放送は本来は主流的立場になるべく推進したわけではないからこういう扱いを受けても致し方ない面はあるのだが、今後中継局設置が進んだ場合こういう状況で果たして良いのだろうか。その点を考慮して頂きたいものである。

4 エフエム補完放送への取り組みについて著しい温度差が生じていること

 総務省はエフエム補完中継局整備に当たって民間中波放送局に対して補助金を出すことにしているのだが、そういう制度があったとしてもエフエム補完放送への取り組みには著しい温度差が生じているのが現状である。中国地方では既に4社全てがエフエム補完放送を始めているのだが、エフエム補完中継局の整備状況を見るとそのことはよく分かる(下表参照)。

(下表をご覧頂くに当たっての注意)

・下表はそれぞれの放送局の公式サイトや本サイトからもリンクを貼っている「千客万来・でんぱでーたどっと混む!」を元に作成したものである。

・中継局の所在地では県名は記していない。

・周波数の単位は全てMHzである。

放送局名 中継局名 所在地 周波数 開局年月日 備考
山陰放送 鳥取 東伯郡湯梨浜町白石 92.2 2017年
(平成29年)
3月1日
松江 松江市枕木町 87.1 2018年
(平成30年)
10月1日
RSK山陽放送 岡山 岡山市南区郡 91.4 2018年
(平成30年)
3月21日
中国放送 広島 広島市南区黄金山町 94.6 2015年
(平成27年)
12月1日
福山 福山市千田町千田 94.6 2016年
(平成28年)
10月1日
久井 世羅郡世羅町小世良 94.6 2017年
(平成29年)
10月1日
三次 三次市粟屋町 94.6 2018年
(平成30年)
9月30日
西条 東広島市八本松町篠 94.6 2019年
(令和元年)
12月頃?
山口放送 周南 防府市牟礼 92.3 2015年
(平成27年)
7月21日
山口放送や総務省では山口中継局と呼称しているが山口市内にある中継局と誤解される恐れがあることや山口放送テレビの本局と共用していること、山口放送の本社は周南市にあることから本サイトでは周南エフエム中継局と表記している。
美祢 美祢市伊佐町伊佐 86.4 2015年
(平成27年)
11月29日
長門 長門市日置上 86.4 2016年
(平成28年)
4月18日
萩市椿東 86.4 2016年
(平成28年)
8月2日
柳井 光市塩田 92.3 2016年
(平成28年)
10月12日
岩国 岩国市御庄 92.3 2017年
(平成29年)
4月23日
下関 下関市みもすそ川町 92.3 2017年
(平成29年)
5月21日
阿東 山口市阿東地福下 92.3 2017年
(平成29年)
9月23日
豊浦 下関市豊浦町厚母郷 86.4 2017年
(平成29年)
10月23日
宇部 宇部市小串 92.3 2018年
(平成30年)
4月11日
須佐田万川 萩市須佐 86.4 2018年
(平成30年)
8月29日
山口鴻ノ峯 山口市上宇野令 92.3 2018年
(平成30年)
11月12日
周防大島 大島郡周防大島町
西安下庄
92.3 2018年
(平成30年)
12月5日

 エフエム中継局の数は山口放送の13箇所、中国放送の5箇所(開局準備中の1箇所を含む)、山陰放送の2箇所、RSK山陽放送の1箇所となっているわけであるが、なぜこんなに差が付いてしまったのか。開始が遅くなった山陰放送にしても山陽放送にしてもエフエム補完放送に乗り出す大義名分はないわけではない(注27)のだが、下表に示す状況があって積極的になれなかったのではないかと考えている。

放送局名 状況
山陰放送 ・有力地方紙の後ろ盾がないところで開局したこと(注28)や工業の盛んな都市が少ないこと、人口の多い都市が少ないこと、高度経済成長期以降過疎化が進展し、人口が減少していることなどから開局当初から経営環境は厳しい。
・人口の多い都市が少ないこともあるが高層建築物が少ない。
・山陰放送が放送区域としている鳥取・島根両県は東西に長いことや地形が複雑なこと、高速道路の整備が遅れていることから機器整備にはかなりの手間がかかる。
・中波中継局は山陰地方を縦貫する幹線(JR山陰本線または国道9号線)が通っている都市にしか設置できておらず、島嶼部や山間部には全く設置されていない。また、山陰地方を縦貫する幹線が通っている都市でも中波中継局を設置しようとしたが断念したところ
(注29)がある。
・開局時から長らく深夜・早朝に放送休止時間を入れており、終夜放送に移行したのは平成時代に入ってからだったが、現在でも日曜日深夜(月曜日早朝)だけでなく土曜日深夜(日曜日早朝)にも放送休止を入れている
(注30)
・日曜日深夜の放送終了は(月曜日)午前0時5分となっており、中国地方の都道府県域民間ラジオ放送局では最も早い
(注31)
・一週間の総放送時間は161時間15分となっており、中国地方の都道府県域民間ラジオ放送局では最も短い
(注32)
・開局当時からほとんど休まず続いている邦楽リクエスト番組「音楽の風車」を土曜日以外の午後10〜11時台に再放送するようになった。
・「音楽の風車」以外の自社制作の番組にも夜間に再放送するものがいくつか見られるようになった。
・テレビ放送は開局当初は鳥取県に本社を置いているにもかかわらず島根県だけを放送区域としていたが、1972年(昭和47年)からは本社のある鳥取県も放送区域に編入するようになった。しかし、前記の経営環境の厳しさもあって鳥取県側での中継局整備が進まなかったせいもあるのか日本海テレビジョン放送(NKT、鳥取市田園町四丁目)と同時にテレビ朝日(EX、東京都港区六本木六丁目)制作のワイドショーを放送する時間帯があった
(注33)
・テレビの音声多重放送は1992年(平成4年)春になってようやく実施された
(注34)
RSK山陽放送 ・瀬戸内海を挟んで隣接する香川県との関係が深く、民間テレビ放送については1979年(昭和54年)に放送区域を統合し、更に1985年(昭和60年)には民間テレビ放送の全系列が見られるようになったが、岡山・香川両県の合計人口は300万人に満たないのに都道府県域民間テレビ放送局5社・民間中波放送局2社・都道府県域民間エフエム放送局2社が放送を行っているという放送環境が日本で最も厳しい地域になっている(注35)
・前記の通り300万人に満たない地域で7社
(注36)も都道府県域民間放送局が存在する一方で工業の盛んな都市が少ないことや人口の多い都市が少ないこと、企業城下町を構成できるほど規模の大きい企業の本社がないことなどから放送面の充実が図れないことが多い(注37)
・人口の多い都市が万遍なく存在する状況になっておらず、岡山・倉敷両市及びその周辺への一極集中が著しくなっている。
・岡山市は中国・四国地方随一の交通の要衝にはなっているが都市の発展には結び付いていない面がある。
・岡山県に本社を置く著名企業に芳しくない話が相次ぐなど景気は良いとは言えない状況がある。
・1970〜1980年代に推進した大規模開発などが原因で岡山県は1990年代中期以降ひどい財政難に見舞われており、それが影響している。
・RSK山陽放送ラジオは全ての中波中継局の周波数を1980年(昭和55年)7月7日に1494kHzに統一しており、それを売りにしてきた面がある(つまりエフエム補完放送を始めるということは1494kHz以外の周波数を使用するということであり、売りにはならなくなってしまうと危惧する方がいた可能性がある)。
・中波中継局の大半が丘陵地や山頂にあり、浸水被害に遭う危険性が少ない。
・人口の多い都市が少ないこともあるが高層建築物が少ない。
・496もの申請者を一本化するのにかなりの時間がかかり、結果開局が20世紀末にまでずれ込んだ岡山県を放送区域とする都道府県域民間エフエム放送局、すなわち岡山エフエム放送(岡山市北区中山下一丁目)に岡山市北区に本社のある他の報道機関、すなわち山陽新聞社(岡山市北区柳町二丁目)・岡山放送(OHK、岡山市北区学南町三丁目)・テレビせとうち(TSC、岡山市北区柳町二丁目)とともに出資しており、経営環境が厳しい岡山エフエム放送を更に苦境に立たせることが難しくなっている。
・岡山県南部で十分受信できる西日本放送ラジオとの兼ね合いからかつてはJRN(TBSラジオ〔TBS、東京都港区赤坂五丁目〕を総本山とする系列)にしか加盟していなかったが1997年(平成9年)にNRN(ニッポン放送〔LF、東京都千代田区有楽町一丁目〕と文化放送〔QR、東京都港区浜松町一丁目〕を総本山とする系列)に加盟し、JRN・NRN両系列に属することになった。しかしそのことと引き換えに独自性が失われた感が否めない
(注38)
・他の都道府県に住んでいる方が聴きたいと思えるような自社制作番組があまりない。
・かつては日曜日深夜は(月曜日)午前2時まで放送していたが、2009年(平成21年)春の改編以降(月曜日)午前1時で放送を終了するようになっている。
・自社制作のワイド番組の改廃が激しく、10年以上続いたものがない。
・radikoへの参加は政令指定都市を有する道府県に本社がある民間中波放送局としても、中波ステレオ放送を実施していた民間中波放送局としても最後になった
(注39)
・radiko参加前後の2014年(平成26年)秋に何度か日曜日早朝に放送休止時間を入れた他、最近では月曜日の放送開始を1時間繰り下げることが見られる。いずれも機器調整が理由と思われるが、RSK山陽放送は公式サイトで放送休止時間の挿入や放送開始時間の繰り下げについて一切説明しておらず、真相は分からない
(注40)
・RSK山陽放送の本社は岡山城跡(岡山市北区丸の内二丁目)の中にあるため大規模な改築が困難になっている
(注41)

 他にもテレビ放送のデジタル化でかなりの負担を強いられたことや山陰放送・RSK山陽放送ともテレビ放送は1990年代以降視聴率が低迷しているTBSテレビ系列に属していることが挙げられるが、テレビ放送のデジタル化はともにテレビ放送も運営している中国放送・山口放送が、TBSテレビ系列の視聴率低迷は中国放送がそれぞれ同じ条件になるから積極的にならない理由としては弱い。やはり山陰放送・RSK山陽放送それぞれに積極的になれない事情があると見たほうが良いであろう。
 無論放送区域人口が多い民間中波放送局でもまだ一つしかエフエム中継局が整備されていないところがあることを考えるといろいろな事情があることが推察されるわけであるが、ここで私が問題視したいのは民間中波放送局はその大半がテレビ局も経営しているところであり、テレビ放送のデジタル化でかなりの負担を強いられてからまだそんなに時間が経っていないところ(注42)で今度は中波放送のエフエム補完放送の導入を企図し、ある時期までに放送を開始しないと周波数割り当ては破棄するとしたことである。テレビの音声多重放送が中国地方の全ての都道府県域民間テレビ放送局に普及するまで13年もの時間がかかったこと(注43)やどの民間放送局も経営が厳しいこと、エフエム補完放送は取り組む必要はないと考えていた放送局がある可能性があることを考えるともう少し余裕を持たせても良かったのではないか。取り組みが遅れたところに対しては総務省が密かに指導を行い、それでようやく実施に向けて動き出したのではないかと勘繰りたくなるのだが、本当のところはどうなのだろうか。
 いずれにせよもう少し余裕と自由を総務省は認めるべきであったし、反対にエフエム補完放送への取り組みが遅れている放送局はなぜそのようにしているのか疑問に思う聴取者に対して守秘義務に触れない範囲内で説明する必要があったのではないかと思うのだがどうであろうか。

5 中継局を多数設置せざるを得なくなること

 「2 中波放送の面白味の一つである遠距離受信が困難になること」で触れたようにエフエム放送の電波は遠くまでは飛ばないことが多い。そのことを示すようにエフエム放送局の中継局は中波放送のそれより多く設置される傾向がある。中国地方にある中波放送局(NHKラジオ第一放送と民間中波放送局)と都道府県域エフエム放送局(NHK-FMと都道府県域民間エフエム放送局)の中継局の数を記すと下表の通りになる。

(下表をご覧頂くに当たっての注意)

・山陰放送とエフエム山陰(愛称:V-air。松江市殿町)は鳥取・島根両県を放送区域としているが、中継局数は鳥取県・島根県別々に記載するものとする。

・下表では中波放送のエフエム補完中継局は中継局の数に含めていない。

県名 日本放送協会 民間放送 備考
中波 エフエム 中波 エフエム
鳥取県 6 8 3 3
島根県 9 15 4 7
岡山県 5 18 7 9
広島県 9 25 7 13
山口県 5 16 6 11
合計 34 82 27 43

 鳥取県における都道府県域民間ラジオ放送局、すなわち山陰放送とエフエム山陰の中継局が同じ3局である以外はどの県も中波放送よりエフエム放送の中継局が多くなっていることが上表からうかがえる。つまり、もし中国地方にある民間中波放送局がエフエム放送に転換するとすれば多くの中継局を設置しなければならなくなることがこのことから明らかになる。
 そもそも中国地方にある都道府県域民間エフエム放送局も中継局が多いところばかりである。都道府県域民間エフエム放送局で最も多くの中継局を持つ広島エフエム放送(HFM、広島市南区皆実町一丁目)の13箇所を筆頭にエフエム山口(FMY、山口市緑町)の11箇所、エフエム山陰の10箇所、岡山エフエム放送(岡山市北区中山下一丁目)の9箇所…と続いている。これでも受信困難な箇所がいくつも残されている(注44)のだが、経営事情などから中継局の新設は長らく行われていない(特に最も遅く開局した岡山エフエム放送は開局当時から全く中継局の新設を行っていない)。民間中波放送局はこれらの都道府県域民間エフエム放送局より状況はまだましだとはいえ、もし中波放送を廃止してエフエム放送に移行させるとしたらどうなるのだろうか。恐らく多くの中継局を設置せざるを得なくなり、確実に経営に大きな影響を及ぼすことであろう。
 ただ、エフエム中継局は次に挙げるような利点がある。
・山の上に設置されることが多く、浸水・津波・高波などの被害に遭う危険性も低まること(注45)
・設備は小さく、低くできること(注46)
・他の放送局の中継局と共用できること(注47)
 それらの利点と設置費用をどのように釣り合わせていくのか。それがカギになるのは間違いないと見ているのだがどうであろうか。

6 周波数を多数使用せざるを得なくなること

 RSK山陽放送は1980年(昭和55年)7月7日に全ての中波中継局の周波数を1494kHzに統一した。全ての中波放送局の周波数を統一しているところは中国地方には他にはなく、全国的にも珍しいこと(注48)なのだが、それによりRSK山陽放送は受信できない地域はあるものの放送区域内の岡山県を移動する時はずっと同じ周波数で楽しめるようになった。
 ではRSK山陽放送の対抗局となる岡山エフエム放送をずっと受信することを条件に岡山市中心部を起点としたいくつかのルートを走行した場合何度周波数を合わせ直さなければならなくなるのか。それぞれの場合を記すと下表の通りになる。

想定経路 主たる
経由地
通行する
主な幹線道路
受信中継局名 備考
姫路方面に進む 瀬戸内市
備前市
山陽自動車道
国道2号線
国道250号線
本局(76.8MHz)
備前(83.8MHz)
赤磐市
和気郡和気町
県道96号岡山・赤穂線 本局(76.8MHz)
備前(83.8MHz)
福山方面に進む 倉敷市
浅口市
笠岡市
山陽自動車道
国道2号線
国道429号線
県道21号岡山・児島線
県道162号岡山・倉敷線
本局(76.8MHz)
笠岡(80.4MHz)
総社市
小田郡矢掛町
井原市
国道180号線
国道313号線
国道486号線
県道270号清音・真金線
本局(76.8MHz)
笠岡(80.4MHz)
井原(84.3MHz)
高松方面に進む 玉野市 国道30号線
県道45号岡山・玉野線
本局(76.8MHz)
坂出方面に進む 都窪郡早島町
倉敷市
瀬戸中央自動車道
国道2号線
国道30号線
県道21号岡山・児島線
本局(76.8MHz)
児島(84.1MHz)
鳥取方面に進む 久米郡美咲町
津山市
勝田郡奈義町
国道53号線
県道6号津山・智頭・八東線
本局(76.8MHz)
津山(80.4MHz)
赤磐市
美作市
英田郡西粟倉村
鳥取自動車道
国道179号線
国道373号線
国道374号線
国道429号線
国道484号線
県道5号作東・大原線
県道27号岡山・吉井線
本局(76.8MHz)
津山(80.4MHz)
倉吉方面に進む 総社市
加賀郡吉備中央町
真庭市
中国自動車道
山陽自動車道
岡山自動車道
米子自動車道
国道313号線
国道482号線
本局(76.8MHz)
高梁(81.3MHz)
久世(82.9MHz)
久米郡美咲町
真庭市
中国自動車道
米子自動車道
国道53号線
国道180号線
国道181号線
国道313号線
国道429号線
国道482号線
県道30号落合・建部線
本局(76.8MHz)
久世(82.9MHz)
米子方面に進む 総社市
高梁市
新見市
国道180号線 本局(76.8MHz)
高梁(81.3MHz)
新見(80.4MHz)
加賀郡吉備中央町
真庭市
中国自動車道
山陽自動車道
岡山自動車道
米子自動車道
本局(76.8MHz)
高梁(81.3MHz)
久世(82.9MHz)
県内を一周する 玉野市
倉敷市
浅口市
笠岡市
井原市
高梁市
新見市
真庭市
津山市
美作市
備前市
瀬戸内市
中国自動車道
山陽自動車道
国道2号線
国道30号線
国道53号線
国道179号線
国道180号線
国道181号線
国道250号線
国道313号線
国道374号線
国道429号線
国道430号線
県道5号作東・大原線
県道21号岡山・児島線
県道28号岡山・牛窓線
県道32号新見・勝山線
県道33号新見・川上線
県道34号笠岡・井原線
県道39号備前・牛窓線
県道45号岡山・玉野線
県道46号和気・笹目・作東線
県道47号倉敷・長浜・笠岡線
県道51号美作・奈義線
県道55号湯原・奥津線
県道56号湯原・美甘線
県道58号北房・川上線
県道398号水島港・唐船線
倉敷市道
本局(76.8MHz)
児島(84.1MHz)
笠岡(80.4MHz)
井原(84.3MHz)
高梁(81.3MHz)
新見(80.4MHz)
久世(82.9MHz)
津山(80.4MHz)
備前(83.8MHz)
「通行する主な幹線道路」は様々な解釈があるのだが県境・海岸線に沿って延びるものや改良率が高いものを中心に選んでいる。
「通行する主な幹線道路」欄で「倉敷市道」を挙げているが、これは県道398号水島港・唐船(とうせん)線と県道47号倉敷・長浜・笠岡線を繋ぐ道路(経路はこちら)を指す。

 岡山市中心部からどこかへ向かう場合はほとんどの場合1回は周波数を合わせ直さなければならなくなること(注49)や岡山県を一周した場合は最低9回周波数を合わせ直さなければならなくなること(結局全ての中継局を受信することにもなる)が上表からうかがえるのだが、エフエム放送は中波放送以上に多数の周波数を使っていることがこのことから明らかになる。
 その点でもエフエム放送は不利な立場に置かれることになるわけであるが、中継局を多く設置しなければならないことや中継局と中継局の中間付近では受信しづらくなるという問題が生じることからこれまではエフエム放送の周波数統一はあまり顧みられてこなかった。しかし、1990年代以降(注50)次に挙げるような動きが起きている。
・エフエムふくやま(愛称:レディオBINGO。福山市西町二丁目)やFMみはらなど中継局を持っているコミュニティ放送局では本局と中継局の周波数を統一していること。私が調べたところ本局と中継局で周波数が異なる例は全く存在しない。
・複数エフエム中継局を持っているが一つの周波数しか使っていない民間中波放送局があること。現在山梨放送(YBS、甲府市北口二丁目)・ラジオ関西・中国放送・四国放送(JRT、徳島市中徳島町二丁目)の4社がエフエム中継局の周波数を統一している(注51)
・複数エフエム中継局を持っている民間中波放送局の中には地域ごとに周波数を統一しているところがあること。例えば山口放送は瀬戸内海側の中継局(周南・山口鴻ノ峯・阿東・岩国・宇部・下関・周防大島〔すおうおおしま〕・柳井〔やない〕)は92.3MHzに、日本海側の中継局(須佐田万川・豊浦・長門〔ながと〕・萩・美祢〔みね〕)は86.4MHzにそれぞれ周波数を統一している。
 周波数を統一することについては中継局と中継局との中間付近で受信しづらくなる現象が起きるなどの問題がある(そのため中継局を多く設置しなければならないエフエム放送では顧みられなかったのだろう)のだが、このように見ると(中継局の指向性など工夫はしているのだろうが)エフエム放送も周波数を統一することは決して難しい問題ではなくなってきているように思われる。
 総務省でも現在エフエム放送の周波数統一に関する検討を進めているようであるが、今後コミュニティ放送局やエフエム補完中継局の増加により周波数の逼迫(ひっぱく)が考えられること(注52)や周波数を統一して欲しいという声が少なくないことを考えると恐らく都道府県域民間エフエム放送局でも周波数統一の動きが出てくることであろう。こうなると中波放送の廃止→エフエム放送への転換に当たっての障害の一つがなくなることになり、中波放送の廃止→エフエム放送への転換が加速する可能性も出てくるわけであるが…。

7 対抗局となる都道府県域民間エフエム放送の経営が一層苦しくなる恐れがあること

 民間中波放送局はそのほとんどが同じ地域を放送区域としている都道府県域民間エフエム放送局と対抗関係にある。各都道府県ごとにその状況を示すと下表の通りになる。

※放送局名の前に△を付けているところは放送区域に含められているが本社・演奏所が設置されていないところである。

都道府県名 民間中波放送局名 都道府県域
民間エフエム放送局名
備考
北海道 STVラジオ
北海道放送
エフエム・ノースウェーブ
エフエム北海道
他の五大都市(東京・名古屋・大阪・福岡)にあるMegaNet系列に属する都道府県域民間エフエム放送局は周波数割り当てにも至っていない(北海道の経済事情が厳しいことや他の都道府県を放送区域に含められないこと、MegaNet系列に属する都道府県域民間エフエム放送局はどこも経営が苦しいことが原因と思われる)。
青森県 青森放送 エフエム青森
岩手県 IBC岩手放送 エフエム岩手
宮城県 東北放送 エフエム仙台
秋田県 秋田放送 エフエム秋田
山形県 山形放送 エフエム山形
福島県 ラジオ福島 エフエム福島
茨城県 茨城放送
△TBSラジオ
△ニッポン放送
△文化放送
(なし) 都道府県域民間エフエム放送局用の周波数割り当ては現在のところ行われていない。
TBSラジオ・ニッポン放送・文化放送は中継局は設置していない。
栃木県 栃木放送
△TBSラジオ
△ニッポン放送
△文化放送
エフエム栃木 TBSラジオ・ニッポン放送・文化放送は中継局は設置していない。
群馬県 △TBSラジオ
△ニッポン放送
△文化放送
エフエム群馬 TBSラジオ・ニッポン放送・文化放送は中継局は設置していない。
埼玉県 △TBSラジオ
△ニッポン放送
△文化放送
エフエムナックファイブ TBSラジオ・ニッポン放送・文化放送は中継局は設置していない(但しTBSラジオ・文化放送の本局はある)。
千葉県 △TBSラジオ
△ニッポン放送
△文化放送
ベイエフエム TBSラジオ・ニッポン放送・文化放送は中継局は設置していない(但しニッポン放送の本局はある)。
東京都 TBSラジオ
ニッポン放送
文化放送
△RFラジオ日本
InterFM897
エフエム東京
J-WAVE
RFラジオ日本は本社・中継局は存在しないし放送区域に含められていないが自社制作番組のほとんどが東京支社(港区麻布台〔あざぶだい〕二丁目)で制作・放送されているため記載している。
神奈川県 RFラジオ日本
△TBSラジオ
△ニッポン放送
△文化放送
横浜エフエム放送
△InterFM897
TBSラジオ・ニッポン放送・文化放送は中継局は設置していない。
新潟県 新潟放送 エフエムラジオ新潟
新潟県民エフエム放送
山梨県 山梨放送 エフエム富士
長野県 信越放送 長野エフエム放送
富山県 北日本放送 富山エフエム放送
石川県 北陸放送 エフエム石川
福井県 福井放送 福井エフエム放送
岐阜県 岐阜放送
△CBCラジオ
△東海ラジオ放送
エフエム岐阜
静岡県 静岡放送 静岡エフエム放送
愛知県 CBCラジオ
東海ラジオ放送
エフエム愛知
ZIP-FM
Radio Neo
三重県 △CBCラジオ
△東海ラジオ放送
三重エフエム放送
滋賀県 △京都放送
△朝日放送ラジオ
△大阪放送
△毎日放送
エフエム滋賀 朝日放送ラジオ・大阪放送・毎日放送は中継局を設置していない。
京都府 京都放送
△朝日放送ラジオ
△大阪放送
△毎日放送
エフエム京都
大阪府 朝日放送ラジオ
大阪放送
毎日放送
エフエム大阪
FM COCOLO
FM802
兵庫県 ラジオ関西
△朝日放送ラジオ
△大阪放送
△毎日放送
兵庫エフエム放送 朝日放送ラジオ・大阪放送・毎日放送は中継局を設置していない。
奈良県 △朝日放送ラジオ
△大阪放送
△毎日放送
(なし) 大阪放送・毎日放送は中継局を設置していない(朝日放送ラジオはエフエム補完中継局については設置している)。
都道府県域エフエム放送局は周波数割り当てはなされているが開局のメドは立っていない。
和歌山県 和歌山放送
△朝日放送ラジオ
△大阪放送
△毎日放送
(なし) 朝日放送ラジオ・大阪放送・毎日放送は中継局を設置していない。
都道府県域エフエム放送局は周波数割り当てはなされているが開局のメドは立っていない。
鳥取県 山陰放送 △エフエム山陰
島根県 △山陰放送 エフエム山陰
岡山県 RSK山陽放送 岡山エフエム放送
広島県 中国放送 広島エフエム放送
山口県 山口放送 エフエム山口
徳島県 四国放送 エフエム徳島
香川県 西日本放送 エフエム香川
愛媛県 南海放送 エフエム愛媛
高知県 高知放送 エフエム高知
福岡県 RKB毎日放送
九州朝日放送
エフエム福岡
CROSS FM
ラブエフエム国際放送
佐賀県 △長崎放送 エフエム佐賀 長崎放送の放送区域ではあるが佐賀県内の中継局では佐賀放送局(佐賀市本庄町本庄)制作の番組が流れる時間帯が多い。
長崎県 長崎放送 エフエム長崎
熊本県 熊本放送 エフエム熊本
大分県 大分放送 エフエム大分
宮崎県 宮崎放送 エフエム宮崎
鹿児島県 南日本放送 エフエム鹿児島
沖縄県 ラジオ沖縄
琉球放送
エフエム沖縄

 上表から47都道府県中44都道府県で民間中波放送局と都道府県域民間エフエム放送局が対抗関係にあることがうかがえる。中には協力関係にあるところもある(注53)が、どの放送局も一人でも多くの方々に聴いてもらいたい、対抗局から一人でも多くの聴取者を奪いたい、少しでも多くの聴取率を稼ぎたいと考えて日夜努力をしている。
 だが、中波放送とエフエム放送には乗り越えられないほど大きな壁がある。それは次の通りである。
・中波放送は一世紀近い歴史を刻んでいるが、エフエム放送はまだ半世紀程度であること。
・民間中波放送局は高度経済成長期にあった1950〜1960年代に相次いで開局したが、都道府県域民間エフエム放送局はそのほとんどが高度経済成長期が終わってから開局したこと。
・民間中波放送局はその大半がテレビ局も経営しているが、都道府県域民間エフエム放送局にそういうところは全くないこと。つまり放送局や番組を充実させるのに必要な収入源に制約がかかること。
・中波放送は中高年層が、エフエム放送は若年層がそれぞれ聴くものという先入観が根強いこと。
 この結果次に挙げるような問題が起きている。
・中波放送のほうが幅広い年代の聴取者を得やすいのに対してエフエム放送は中高年層を取り込めるような番組が少ない。
・中波放送における人気番組の一つであるスポーツ中継がほとんどエフエム放送では放送されないためそれが聴取率に影響している可能性がある。
・エフエム放送局では報道に重きを置いているところは少ない。
・1980年代前半までに開局した都道府県域民間エフエム放送局と1980年代後半以降に開局した都道府県域民間エフエム放送局では自社制作比率に大きな差が付いている。
・都道府県域民間エフエム放送局で最大の系列であるJFN系列(エフエム東京〔愛称:TOKYO FM。東京都千代田区麹町〈こうじまち〉一丁目〕を総本山とする系列)に属する都道府県域民間エフエム放送局ではどの放送局も同じ番組を流している時間帯がかなり多い。
・景気の低迷や少子・高齢化などで自社制作比率が低下傾向にある。
・自社制作番組の再放送が見られるようになった。
・絶大な人気を誇るアナウンサー・喋り手が少なくなりつつある。
・アナウンサー・喋り手の高齢化が進んでいる。
・経営難に陥ったところが少なくない。
・長寿番組が少ない。
・番組の打ち切りが多い。
・対抗関係にある民間中波放送局がエフエム補完放送を開始したことに影響されて大幅な番組改編を断行するところが少なくない。
・経営基盤が脆弱な一方でエフエム電波は遠くまで飛ばないので多数の中継局を設ける必要があるがそれができないため受信困難地域が少なくない。
・既に中波・短波については全ての民間放送局が参加しているradikoに未だに参加していない放送局がある。
 これでもし中波放送の廃止→エフエム放送への転換が断行されたとすると次に挙げることが起きる恐れがある。
JRN・NRN・JFN・JFL・MegaNet(注54)5系列がひしめき合う格好になり、競争が更に激しくなる。
・どうしても旧民間中波放送局の聴取率が勝る傾向が続くため大半の旧都道府県域民間エフエム放送局の経営が厳しくなる。
・旧都道府県域民間エフエム放送局の中に経営破綻するところが出る。
・廃業阻止と経営支援、経営合理化を目的とした放送局同士の合併が盛んになる。
・どうにもならない場合、愛知国際放送(愛称:RADIO-i。名古屋市東区東桜一丁目。2000〜2010)のように業務継承も考慮に入れず廃業を選択するところが出る。
・利益至上主義に走ることで費用対効果の見込めないもの(聴取率の低い番組、メールなど聴取者からの声が少ない番組、人口希薄地帯にある中継局など)が切り捨てられる。
・これらのことから聴取者離れを招き、更に経営環境が悪化する。
・都道府県域民間エフエム放送局が存在しない茨城県・奈良県・和歌山県での都道府県域民間エフエム放送局の開局の可能性が消滅する(注55)。この結果、旧都道府県域民間エフエム放送局は全ての都道府県を網羅できないままに終わり、更に奈良県は都道府県域民間ラジオ放送局の本社のない唯一の県となる。
 現在民間中波放送局は47社、都道府県域民間エフエム放送局は53社あるが、今挙げたことが現実になるとかなり数を減らし、ますますきめ細かな情報を聴取者に提供できなくなってしまうことであろう。大まかな情報は都道府県域民間放送局を再編した広域放送局に、地域のきめ細かな情報はコミュニティ放送局にそれぞれ分担させることも考えられないわけではないが、地域政財界と深く結び付いた都道府県域民間放送局の再編はまず進まないだろうし、コミュニティ放送局も政令指定都市でさえ未だに存在しないところがあること(注56)やこれまでに25社が廃業に追い込まれていること(注57)、ほとんどの市区町村が人口減少に悩んでいることなどを考えるとすぐに何社も開局するというところにはなかなか行かないだろう。本当に難しいところに追い込まれたなという気になるのだが、今後どうなっていくのだろうか。

8 大幅な合理化を推進せざるを得ず、多くの聴取者を失う恐れがあること

 経済情勢の低迷や人口減少、インターネットの普及など民間放送局を取り巻く環境は厳しいものがある。そこでこれまで中国地方にある都道府県域民間ラジオ放送局では次に挙げるような合理化を推進してきた。
・支社の廃止。広島エフエム放送は以前は東京・大阪・福山に支社を設置していたが、2000年代後半に大阪・福山両支社を廃止し、東京支社(東京都千代田区麹町一丁目)だけにした。
・支社の規模縮小。中国放送は福山支社を駅前大通りに面したビル(現存せず)に設置していたが、福山中波中継局(福山市北美台)の敷地に移転させた。
・地域別放送の取りやめ。中国放送は1991年(平成3年)秋の番組改編から福山支社が制作し、福山・府中・三原各中波中継局だけで放送する自社制作のワイド番組を設定していたが、福山支社の規模縮小策により2001年(平成13年)春の番組改編で終了させた。
・新卒アナウンサーの採用抑制。中国放送は退職が少ない男性アナウンサーについて17年間新卒アナウンサーを採用しなかった(注58)他、何人かの男性アナウンサーを他部署に異動させている。
・自社制作番組の深夜・早朝での再放送実施。山陰放送や中国放送で見られる。
・自社制作番組の削減。広島エフエム放送は2017年(平成29年)春の番組改編で月曜日〜木曜日の夕方に設定していた自社制作のワイド番組を終了させた(注59)
・放送終了時間の繰り上げ。RSK山陽放送はかつては日曜日深夜は(月曜日)午前2時まで放送していたが、2009年(平成21年)春の番組改編で放送終了時間を1時間繰り上げた。
・放送開始時間の繰り下げ。山陰放送はかつては日曜日・月曜日とも放送開始は午前4時だったが、ネットしていた番組の終了に伴い日曜日は2013年(平成25年)春の番組改編から、月曜日は2015年(平成27年)春の番組改編からどちらも放送開始時間を1時間繰り下げた。
 現実の厳しさが垣間見えるのだが、これで済むとは私は思っていない。状況が好転する兆しがないなら更なる合理化は避けられないところなのだが、私が今後手を付けるのでは…と思っているのが終夜放送の取りやめである。中国地方にある都道府県域民間ラジオ放送局は月曜日〜金曜日深夜、すなわち火曜日〜土曜日早朝については全8社が、土曜日深夜(日曜日早朝)については山陰放送以外の7社が終夜放送を実施している(無論日曜日深夜、すなわち月曜日早朝については全8社が放送を休止している)のだが、次に挙げる点から合理化対象にしてくるのではないかと考えているのである。
・経営環境が厳しいこと。
・NHKラジオ第一放送とNHK-FMが終夜放送を実施していること。
・(中国地方では松江市・呉市・山口市・岩国市などの人口の多い都市でもまだ開局していないところがあるが)コミュニティ放送局でも終夜放送を実施しているところが多いこと。
・深夜・早朝の番組は若年者向けのものが多いが、青少年の健康に悪影響を及ぼしているとする声が少なくないこと。
・反対に夜を徹して走る運送業者向けの番組は中国地方では中国放送だけがネットしている文化放送(QR、東京都港区浜松町一丁目)制作の「日野ミッドナイトグラフィティ 走れ! 歌謡曲」だけであること(注60)
・そもそも終夜放送は放送局の義務ではないし、終夜放送を行わないところは遅れているという見方自体どうかと思うこと(注61)
 では民間中波放送局で終夜放送を取りやめたところはあるのか。中国地方の話ではないのだが存在する。岐阜県を放送区域としている岐阜放送(GBS、岐阜市橋本町二丁目)である。岐阜放送ラジオは1997年(平成9年)春の番組改編で火曜日早朝に放送休止を入れる格好で終夜放送を開始したのだが10年後の2007年(平成19年)春の番組改編で火曜日〜土曜日深夜、すなわち水曜日〜日曜日早朝の終夜放送を取りやめ、その後も続けていた日曜日深夜、すなわち月曜日早朝の終夜放送も1年3ヶ月後の2008年(平成20年)夏の番組改編で取りやめたのである(注62)
 岐阜放送が終夜放送を取りやめた理由は本社の移転が主たる理由のようであるが、岐阜県は人口集中地帯の南部で愛知県に本社を置く都道府県域民間放送局が十分受信できることや愛知県に本社を置く民間中波放送局、すなわちCBCラジオと東海ラジオ放送(SF、名古屋市東区東桜一丁目)が岐阜県内に多数中波中継局を設置していること、経済基盤が脆弱であること、地上波デジタル放送への対応を進めざるを得なくなったことなどもあったのではないかと考えている(注63)。そういう事情を考えると無理に終夜放送に移行しなくても良かったのでは…と思うところであるが、どこか背伸びしたいとか注目されたいという思いがあったのだろうか(注64)
 背伸びしたが故に数年で行き詰まり、結局廃業に追い込まれたコミュニティ放送局(注65)を私は知っているのだが、当然のことながら終夜放送はやめたほうが良いなどと主張することは深夜放送をよく聴いている方々から反発を食らうことになるだろう。番組の打ち切りはきちんとした理由説明がなされないことが多く、いつも釈然としない思いをその番組を視聴していた方に残す結果をもたらす(注66)のだが、もし終夜放送を取りやめるのであれば放送局はきちんと事情を聴取者に説明し、理解を求める努力が必要になることであろう。
 まあ今後どうなるかは分からないし、私自身終夜放送の取りやめを声高に叫ぶ考えは毛頭ない。ただ、いかなる合理化策を打ち出したとしてもその先にいる人々のことを考え、なるべく禍根を残さないようにして頂きたいと思う。一般市民にとって身近な存在であるべき放送局が感情を捨て、機械的かつ事務的な存在になり果て、人々の不信を招くようなことはしてはならない(注67)

 本当に中波放送は廃止され、エフエム放送に転換されていくのか、それは今のところ何とも言えない。しかし、エフエム放送に慣れ親しんだ世代が中高年層の仲間入りをしつつあることやスマートフォンではエフエム放送に特化したサービスがいくつか見られること(注68)を考えればそんなに抵抗感なく話は進んでいくかもしれない。
 しかし、民間中波放送局の都合だけで話を進めて良いわけではないことも事実である。もし民間中波放送局の都合だけで中波放送の廃止→エフエム放送への転換が強行されるのなら多くの禍根を残す結果になるであろう。エフエム補完放送は行っているが中波放送の全廃は考えていないと思われる日本放送協会や民間中波放送局が同じ土俵に乗ってくることで更に苦境に立たされる都道府県域民間エフエム放送局についてはどのように考えているのか。エフエム放送に慣れ親しんでいない方々や遠距離受信愛好家、更に中継局廃止(中波中継局は廃止されたがその代わりとなるエフエム中継局は設置されないことを指す)により受信困難になった地域の住民をどのようにとらえているのか。それらの事柄を蔑(ないがし)ろにして中波放送の廃止→エフエム放送への転換は強行されるべきではない。もし実施するのであれば慎重を期し、甚大な影響が起きないように留意する必要があろう。
 今思えば2010年代の放送界はテレビ放送のデジタル化移行に始まり、radikoなどのラジオ放送のインターネットサイマル配信サービスの普及、民間中波放送局におけるエフエム補完放送の開始と大きく揺れ動いた。ラジオ放送をインターネットで再送信することや中波放送局の番組をエフエム放送で流すことに対しては抵抗感を抱く方も少なくないが、次の10年間、すなわち2020年代はどのように動いていくのであろうか。今後も放送界の動きに注目していきたいと思うところである。

注釈コーナー

注1:そのことにより3月22日は放送記念日となっている。

注2:日本放送協会の放送局は現在54局あるのだが、54局とならないのは中波放送についてコールサインが付与されていないところが12局あるためである。中波放送のコールサインが付与されていない放送局とその理由は下表の通りである。

都道府県名 放送局名 所在地 理由
茨城県 水戸 水戸市大町三丁目 中波放送は本部(東京都渋谷区神南二丁目)の放送区域内にあるため(ほとんどの地域で本部の放送が受信できるため中継局も設置されていない)。
栃木県 宇都宮 宇都宮市中央三丁目 中波放送は本部の放送区域内にあるため(ほとんどの地域で本部の放送が受信できるため中継局も設置されていない)。
群馬県 前橋 前橋市元総社町 中波放送は本部の放送区域内にあるため(ほとんどの地域で本部の放送が受信できるため中継局も設置されていない)。
埼玉県 さいたま さいたま市浦和区
常盤六丁目
中波放送は本部の放送区域内にあるため(ほとんどの地域で本部の放送が受信できるため中継局も設置されていない。但し本部の本局は埼玉県内にある)。
千葉県 千葉 千葉市中央区千葉港 中波放送は本部の放送区域内にあるため(ほとんどの地域で本部の放送が受信できるため中継局も設置されていない)。
神奈川県 横浜 横浜市中区山下町 中波放送は本部の放送区域内にあるため(ほとんどの地域で本部の放送が受信できるため中継局も設置されていない)。
岐阜県 岐阜 岐阜市京町二丁目 中波放送は名古屋拠点放送局(名古屋市東区東桜一丁目)の放送区域内にあるため(中継局は名古屋拠点放送局本局の受信が難しい東部・北部にしか設置されていない)。
三重県 津市丸の内養生町 中波放送は名古屋拠点放送局の放送区域内にあるため(中継局は名古屋拠点放送局本局の受信が難しい南部・西部にしか設置されていない)。
京都府 京都 京都市中京区烏丸通
御池下ル虎屋町
中波放送は大阪拠点放送局(大阪市中央区大手前四丁目)の放送区域内にあるため(中継局は大阪拠点放送局本局の受信が難しい北部にしか設置されていない)。
※かつては京都放送局はコールサインが付与されていたのだがラジオ第二放送は1973年(昭和48年)3月20日をもって、ラジオ第一放送は2015年(平成27年)2月2日をもってそれぞれ廃止されている。
兵庫県 神戸 神戸市中央区
中山手通二丁目
中波放送は大阪拠点放送局の放送区域内にあるため(中継局は大阪拠点放送局本局の受信が難しい北部にしか設置されていない)。
奈良県 奈良 奈良市鍋屋町 中波放送は大阪拠点放送局の放送区域内にあるため(ほとんどの地域で大阪拠点放送局の放送が受信できるため中継局も設置されていない)。
和歌山県 和歌山 和歌山市吹上二丁目 中波放送は大阪拠点放送局の放送区域内にあるため(中継局は大阪拠点放送局本局の受信が難しい南部にしか設置されていない)。

なお、ラジオ第一放送についてはコールサインは付与されているがラジオ第二放送についてはコールサインが付与されていないところもある(大津・徳島・佐賀の3局。このうち徳島・佐賀両放送局はかつては付与されていたがともに1973年〔昭和48年〕3月20日に廃止されている)。

注3:もしRFラジオ日本・西日本放送・高知放送のいずれかが来年3月31日までにエフエム補完放送を開始しなかった場合、周波数割り当ては来年4月1日をもって破棄されることになっていた。

注4:中波放送の不利な面は次の通りである。
・送信所や中継局はかなり高い鉄塔を建てなければならず、建設や整備、維持に手間がかかる。

本局(送信所)の例。写真はRSK山陽放送岡山本局(岡山市北区撫川〔なつかわ〕)。

中継局の例。写真は中国放送福山中波中継局。

・施設が大がかりになるため中継局設置を求める声に応え切れない面がある。
・送信所や中継局は平地に設置されることが多いため災害に遭いやすい。
・蛍光灯や電子レンジなどの家電製品を操作する時雑音が入る。
・電化されている鉄道路線のそばでは雑音が入る。
・立体駐車場などの建物の中では受信しにくくなる。
・国内外の放送局との混信が頻発している。
・ステレオ放送が普及せずに終わったため音楽やスポーツ中継が臨場感を持って楽しめない。

注5:他の中国地方にある民間中波放送局の中波中継局はいずれも7箇所ある。設置状況は次の通りである。
・山陰放送…米子本局・鳥取・倉吉(以上鳥取県)、出雲・大田・浜田・益田(以上島根県)
・RSK山陽放送…岡山本局・笠岡・高梁(たかはし)・津山・新見・備前・真庭
・中国放送…広島本局・庄原・東城・福山・府中・三原・三次

注6:日本放送協会を含めるとNHK松江放送局(松江市灘町)が中国地方で初めてエフエム補完中継局を設置したところとなる(2014年〔平成26年〕12月22日にラジオ第一隠岐〔おき〕エフエム中継局〔島根県隠岐郡隠岐の島町上西。79.4MHz〕を開局させているため)。

注7:山陽放送は今年4月1日に発足した認定放送持株会社・RSKホールディングス(岡山市北区丸の内二丁目)の傘下に入ったことを契機に社名をRSK山陽放送に改称している。

注8:それまでは北海道放送(HBC、札幌市中央区北一条西五丁目)とSTVラジオ(STV、札幌市中央区北一条西八丁目)が最多だった(どちらも中波中継局17箇所+エフエム補完中継局1箇所の合計18箇所)。

注9:全ての中波中継局をエフエム中継局が補完しているところは山口放送以外にはラジオ福島(RFC、福島市下荒子)・栃木放送(CRT、宇都宮市昭和二丁目)・TBSラジオ(TBS、東京都港区赤坂五丁目)・ニッポン放送・文化放送・北日本放送(KNB、富山市牛島町)・福井放送(FBC、福井市大和田町)・南海放送(RNB、松山市本町一丁目)・ラジオ沖縄(ROK、那覇市西一丁目)・琉球放送(RBC、那覇市久茂地二丁目)がある。このうちTBSラジオ・ニッポン放送・文化放送・北日本放送・ラジオ沖縄・琉球放送は中波中継局は本局だけになっている。

注10:山口放送の中波中継局の周波数は現在三つに分かれている。765kHz(周南本局・山口・須佐田万川)と918kHz(岩国・下関)、1485kHz(萩)である。

注11:山口放送の主張は次のようなものであると考えられる。
・中波中継局は高い鉄塔を建てることが多いが、老朽化が著しいところが多いし地震の際に倒壊する恐れがある。
・中波中継局は高い鉄塔を建てることが多いため維持費用がかさむ。
・長門・美祢・柳井などのある程度人口集積がありながら費用対効果の問題で中波中継局の設置を見送ってきたところにエフエム補完中継局を設置してきたが好評だった。
・山口放送の放送区域である山口県は海に面しており、国内外の放送局との混信が頻繁に発生するので困っていたがエフエム補完放送でそれは解消できた。
・山口放送としては中波放送の周波数は統一を見送っているがエフエム放送に関しては瀬戸内海側は92.3MHz、日本海側は86.4MHzでそれぞれ統一しており、95.0MHzまで受信できるカーステレオが普及してくれば不都合はなくなる。
・山口放送の放送区域である山口県は人口減少が著しいし経済事情も良好とは言えない。よっていつまでも中波・エフエム二波体制は続けられない。

注12:その条件に該当するのはSTVラジオ・北海道放送・長崎放送(NBC、長崎市上町〔うわまち〕)・南日本放送(MBC、鹿児島市高麗町)・ラジオ沖縄・琉球放送の6社である。しかし、ラジオ沖縄・琉球放送は注9で触れた通り中波中継局は本局だけになっているためSTVラジオ・北海道放送・長崎放送・南日本放送の4社だけになるのではないかと思われる。

注13:日本放送協会の放送局がある都市で日本放送協会の中波放送のエフエム補完中継局があるのは福井市だけである。福井市西部の日本海沿岸部では福井市中心部とは山で隔てられていることや海外の電波との混信が著しいことから福井本局(福井市下馬三丁目)からの電波が受信しにくかった。そのためラジオ第一放送だけであるが川西・国見・越廼(こしの)各エフエム中継局が設置されている。

注14:ラジオ第二放送に関しては試験配信は行っていたが、正式配信は見送られている。

注15:ここでは東京都区部と20世紀中に政令指定都市に移行したところ(札幌・仙台・千葉・横浜・川崎・名古屋・京都・大阪・神戸・広島・福岡・北九州)を指している。

注16:民間中波放送局で中波ステレオ放送が導入され始めた1992年(平成4年)頃は正午や午後7時台のニュースなどはモノラル放送になっていた。

注17:導入を見送った理由としては大都市を擁していたとしても放送区域内の人口が少ないことや近隣の大都市に本社を置く民間中波放送局との聴取率競争で後塵を拝することが多かったこと、経営事情が厳しく、導入などとんでもないという雰囲気があったことなどが考えられる。

注18:中国放送福山中波中継局からの放送がステレオ放送になっていたのを確認したのは1994年(平成6年)11月26日のことである。この日中国放送では広島広域公園陸上競技場(愛称:エディオンスタジアム広島。広島市安佐南区大塚西五丁目)で開催されたJリーグチャンピオンシップ第一戦(サンフレッチェ広島対ヴェルディ川崎〔現:東京ヴェルディ〕戦。結果はヴェルディ川崎が1対0で勝利している)を中継したのだが、この時自分の中波ステレオ放送対応のCDラジカセ(1992年〔平成4年〕秋に買ったものだが実は現在もラジオ放送を聴くために使っている)で中国放送福山中波中継局からの放送がステレオになっているのを確認している。中国放送福山中波中継局は本文にある通り1994年(平成6年)11月14日に周波数を1062kHzから1530kHzに変更したのだが、その後調整のために深夜・早朝に福山・府中両中波中継局だけ放送を休止したことがあり、その調整の途中から中波ステレオ放送になったものと思われる(よって福山・府中両中波中継局のステレオ放送移行時期ははっきりしない。これは3ヶ月遅れて周波数を変更した三原中波中継局〔三原市明神三丁目〕も同様である)。
※中国放送は1984年(昭和59年)12月10日に備北地区の中波中継局(庄原・東城・三次各中波中継局)の周波数を1458kHzに統一しているが、この時は一斉に実施している。備南地区の中波中継局の周波数統一が二段階になったのは恐らく中波ステレオ放送を導入したことが理由と思われる(機器調整のため対象中継局で深夜・早朝に放送休止を入れたのも同じ理由)が、もし中波ステレオ放送を導入しなかったとしたら備南地区の中波中継局の周波数統一も備北地区の中波中継局同様一斉に実施していたかもしれない。

注19:中国放送福山・府中・三原各中波中継局における中波ステレオ放送の取りやめが早かったのは中国放送の経営合理化が理由である。中国放送福山・府中・三原各中波中継局における中波ステレオ放送の取りやめと前後して中国放送は福山支社(福山市北美台)が制作し、福山・府中・三原各中波中継局だけで放送していた平日午前中のワイド番組の打ち切り(2001年〔平成13年〕3月)や福山支社の福山市延広町から福山市北美台への移転(2001年〔平成13年〕11月)も実施しており、これらの施策から中国放送としては福山支社にかける費用を節減しようとしたことがうかがえる。
※ちなみに尾道市や福山市でコミュニティ放送局の開局が早かったのは中国放送が福山支社が制作し、福山・府中・三原各中波中継局だけで放送していた平日午前中のワイド番組をいずれはやめることを考えていたからだという声がある。確かに尾道市や福山市にあるコミュニティ放送局は平日は三つも自社制作のワイド番組を設定していることや福山市にあるコミュニティ放送局・エフエムふくやまの自社制作番組には中国放送福山支社が制作し、福山・府中・三原各中波中継局だけで放送していた平日午前中のワイド番組の出演者や中国放送のアナウンサーだった男性が出演していることを考えるとそれは事実だろうという気になる。

注20:かなり離れたところの都道府県域民間エフエム放送局を受信する方法は実はないわけではない。(当然のことながらどこでもというわけには行かないのだが)海岸や山頂では200km以上離れたところにある都道府県域民間エフエム放送局を受信することができる場合がある。また、6月頃に発生するEスポ現象で遠隔地のエフエム放送局の番組が受信できることがある(実際に自分は広島県内で北海道・宮城県・沖縄県のエフエム放送を受信したことがある)。

注21:現在のところ民間中波放送局(47社)と民間短波放送局(1社)は全てradikoに参加しているが、都道府県域民間エフエム放送局については現在も8社が参加しないままになっている。他にもインターネットサイマル配信サービスがあること(その状況はこちらの最下部で触れているので併せてご覧頂きたい)や参加に対して消極的な姿勢を見せていること、経営状況が厳しく、費用負担に応じられないでいることなどが理由と思われる。

注22:税込み価格は385円(無論今年10月1日施行の消費税の税率改正後のものを記載している)となる。

注23:中国放送は放送開始時・放送終了時・放送基点の際の局名告知においてはエフエム中継局の名称は一切読み上げておらず、ただエフエム放送は94.6MHzで放送していることを告げているだけである。エフエム中継局の名称も入れると局名告知が長くなってしまうことと中国放送のエフエム放送は現在運用中の広島・久井・福山・三次各中継局と今冬開局予定の西条中継局(東広島市八本松町篠)がいずれも同じ周波数(94.6MHz)を使っていることが背景にあるのではないかと思われる。

注24:理由として挙げられることの一つは現時点で番組表を掲載している民間中波放送局が全てエフエム補完放送を実施していないことである(山陽新聞・中国新聞とも番組表を掲載している民間中波放送局のうち西日本放送が現時点でエフエム補完放送を実施していない)。

注25:福山市赤坂町早戸/赤坂バイパス早戸ランプ交差点の脇にある受信可能なラジオ局とその周波数を記した看板はご覧になっていれば気付く方も多いのではないかと思われるのだが、実はもう一つどうかと思う点がある。それはNHKラジオ第一・NHKラジオ第二の福山中波中継局(福山市久松台三丁目。周波数はラジオ第一が1161kHz、ラジオ第二が1467kHz)とNHK-FMの福山南中継局(福山市西深津町七丁目。周波数:85.7MHz)、広島エフエム放送の福山中継局(福山市西深津町七丁目。周波数:82.1MHz)が十分受信できる場所であるにもかかわらずNHKラジオ第一・NHKラジオ第二は尾道中波中継局(尾道市向島町)のものを、NHK-FMは尾道中継局(尾道市向島町)のものをそれぞれ記していることである。福山市中心部方面から尾道方面に進む方が目にするものであるためにNHKラジオ第一・NHKラジオ第二・NHK-FM・広島エフエム放送については尾道市にある中継局の周波数を書いているのではないかと思うのだが、違和感を抱きたくなるのは私だけだろうか。

注26:中国放送ラジオ福山エフエム中継局(福山市千田町千田)は2016年(平成28年)10月1日に、中国放送ラジ久井エフエム中継局(広島県世羅郡世羅町小世良)は2017年(平成29年)10月1日に、FMみはらは2018年(平成30年)5月1日にそれぞれ開局している。

注27:山陰放送・RSK山陽放送それぞれのエフエム補完放送を実施するための動機は下表の通りになる。

放送局名 エフエム補完放送を実施するための動機
山陰放送 ・本局を含めた中波中継局は平地に設置されていることが多く、浸水などの災害に遭う恐れがある。
・日本海に面した地域を放送区域としているため国内外の放送局との混信が起きやすい。
・本局を含めた中波中継局は日本海沿岸部にのみ設置しており、島嶼部や山間部には全く設置していないため島嶼部や山間部での受信環境が芳しくない。
RSK山陽放送 ・高層建築物が増えたことにより都市部で受信が難しい地域が多くなった。
・中波中継局は放送区域内の主たる都市に万遍なく設置したし、周波数も1494kHzに統一したが岡山市北区北部や井原市、真庭市北部など地形的な問題から受信しにくい地域がある。

注28:実は山口放送も同じ状況である。しかし、山口放送にとって幸いだったのは放送区域としている山口県には工業都市が多いことやある程度の人口規模を有する都市がいくつもあったことであった。

注29:江津市を指す。江津市には1960年(昭和35年)頃中波中継局を設置しようという計画があったが、(恐らく経営事情があったのではないかと思うのだが)結局断念している。

注30:日曜日深夜(月曜日早朝)だけでなく土曜日深夜(日曜日早朝)にも放送休止を入れる格好で終夜放送に移行した中国地方にある都道府県域民間ラジオ放送局はもう一つ、広島エフエム放送がある。広島エフエム放送は1989年(平成元年)春の改編で終夜放送に移行したのだが、1年早く終夜放送に移行したエフエム山陰やエフエム山口とは違って日曜日深夜(月曜日早朝)だけでなく土曜日深夜(日曜日早朝)にも放送休止を入れていた。山陰放送とは違って1990年代中期(時期不明。1993年〔平成5年〕頃?)には日曜日早朝の放送休止を解消しており、現在は放送休止は日曜日深夜(月曜日早朝)だけになっている。

注31:中国地方にある都道府県域民間ラジオ放送局の日曜日深夜(月曜日早朝)の放送終了時間は下表の通りになっている。

放送終了時間 放送局名 備考
午前0時5分 山陰放送
午前0時30分 エフエム山陰
エフエム山口 放送終了後試験放送として月曜日午前5時の放送開始まで音楽を流している(行わない場合もある)。
午前1時0分 RSK山陽放送
岡山エフエム放送 現在は月曜日午前0時〜午前0時15分に放送されている「おやすみNMB48」を月曜日午前1時〜午前1時15分に設定していた2013年(平成25年)4〜9月を除いて特別な事情がない限りは開局当時から日曜日は(月曜日)午前1時で放送を終了している。
午前1時32分 山口放送 午前1時30分で放送終了とならないのは2分間の最終番組「お休みメモ」が設定されているためである(テレビでも終夜放送移行前は同じ題名の番組が挿入されていた)。
午前1時45分 中国放送
午前2時0分 広島エフエム放送

注32:中国地方にある都道府県域民間ラジオ放送局の一週間の総放送時間の順位は下表の通りになる。

順位 総放送時間 放送局名 放送時間
1 165時間37分 山口放送 月曜日午前3時55分〜翌週月曜日午前1時32分
2 165時間2分 RSK山陽放送 月曜日午前3時58分〜翌週月曜日午前1時
3 165時間0分 広島エフエム放送 月曜日午前5時〜翌週月曜日午前2時
4 164時間45分 中国放送 月曜日午前5時〜翌週月曜日午前1時45分
5 164時間0分 岡山エフエム放送 月曜日午前5時〜翌週月曜日午前1時
6 163時間30分 エフエム山陰 月曜日午前5時〜翌週月曜日午前0時30分
エフエム山口 月曜日午前5時〜翌週月曜日午前0時30分(但し放送終了後試験放送と称して音楽を流していることが多い)
8 161時間15分 山陰放送 月曜日午前4時55分〜日曜日午前3時/日曜日午前4時55分〜月曜日午前0時5分

RSK山陽放送と山口放送の放送開始が早いのはどちらもTBSラジオ(TBS、東京都港区赤坂五丁目)制作の「オーディナリーミュージック」をネットしているためである(但しRSK山陽放送は機器調整が理由と思われるのだが本文でも触れた通り放送しない場合がある)。

注33:この状況は1989年(平成元年)秋に解消され、その後は山陰放送がテレビ朝日制作のワイドショーをネットし続けたがこれも2009年(平成21年)春の改編で打ち切られている。
※ちなみに現在も山陰放送・日本海テレビジョン放送双方で放送されている、テレビ朝日が関係する番組はある。テレビ朝日が幹事局を務めている民間放送教育協会(東京都港区六本木六丁目)制作のドキュメンタリー番組「日本のチカラ」がそれである。

注34:1979年(昭和54年)11月4日付中国新聞朝刊に山陰放送で近く音声多重放送が始まるというような記事が掲載されていた。恐らくその記事を書いた中国新聞社(広島市中区土橋町)の記者はRSK山陽放送と混同したのではないかと思われる(訂正記事が掲載されたかどうかは確認していない)。

注35:岡山・香川両県はコミュニティ放送局も経営環境が厳しいところである。香川県ではこれまでに5社が開局しているが3社は既に廃業している(ちなみに廃業第一号になったところも香川県にある)し、岡山県では半年間放送休止を入れざるを得なくなったところや1時間以上の自社制作番組を設定しなくなったところが出ている。

注36:「都道府県域民間テレビ放送局5社・民間中波放送局2社・都道府県域民間エフエム放送局2社」と書いているので9社と書くべきではないのかと思った方もいるかもしれないのだが、RSK山陽放送と西日本放送はともにテレビ・ラジオ兼営局であり、民間中波放送局2社は都道府県域民間テレビ放送局5社に含められる。よってここでは7社と書いている。

注37:本文で触れたこと以外でできていないこととしては次のようなことが挙げられる。
・西日本放送は中国・四国地方にある日本テレビ放送系列に属する都道府県域民間テレビ放送局では唯一終夜放送を実施していない。
・テレビせとうちは開局から30年以上が経過した現在になっても井原市に中継局を設置できていない(テレビ放送がアナログだった時代に設置計画はあったが経営事情により見送りになり、デジタル中継局設置も同じ理由により見送っているため)。

注38:確かにRSK山陽放送がJRNだけに加盟していたことはJRN・NRN双方に加盟する民間中波放送局が多い状況にあっては独自的と言えることだったのだが、実は不都合も少なくなかったのである。それを挙げると次の通りになる。
ニッポン放送制作の長寿深夜番組「オールナイトニッポン」がネットされなかったこと。
NHK杯全国高校放送コンテストとともに高校放送部の主たる全国大会となっていた全国高校放送コンクール(1963〜1998。千代田工科芸術専門学校〔東京都台東区東上野五丁目。経営難などの事情により2004年〈平成16年〉から休校中〕・産経新聞社〔東京都千代田区大手町一丁目〕・ニッポン放送主催)の優秀作品を流す番組(大体年末に流れていたが平成時代になってからは2月頃流れていたこともあったらしい)が流れなかったこと。
「オールナイトニッポン」にしても全国高校放送コンクールの優秀作品を流す番組にしても中国放送など近隣の放送局を受信できれば岡山県でも聴くことはできたのだが、やはりRSK山陽放送で聴きたいという思いを抱いていた方は少なくなかったのではないのだろうか。

注39:状況は次の通りとなる。

政令指定都市を有する道府県に本社がある民間中波放送局

※複数政令指定都市がある府県(神奈川県・静岡県・大阪府・福岡県)で政令指定都市名の前に◎を付けたところは道府県庁所在地である。

※埼玉県・千葉県には本社を置く民間中波放送局は存在しないため下表では省いている。

道府県名 政令
指定都市名
所属道府県に本社を置く
民間中波放送局
radiko
参加年月日
備考
北海道 札幌市 STVラジオ
(STV、札幌市中央区北一条西八丁目)
2011年
(平成23年)
4月20日
北海道放送
(HBC、札幌市中央区北一条西五丁目)
2011年
(平成23年)
4月20日
宮城県 仙台市 東北放送
(TBC、仙台市太白区八木山香澄町)
2012年
(平成24年)
4月2日
神奈川県 ◎横浜市
川崎市
相模原市
RFラジオ日本
(RF、横浜市中区長者町五丁目)
2011年
(平成23年)
4月12日
新潟県 新潟市 新潟放送
(BSN、新潟市中央区川岸町三丁目)
2012年
(平成24年)
4月2日
静岡県 ◎静岡市
浜松市
静岡放送
(SBS、静岡市駿河区登呂三丁目)
2011年
(平成23年)
10月3日
愛知県 名古屋市 CBCラジオ
(CBC、名古屋市中区新栄一丁目)
2011年
(平成23年)
3月25日
東海ラジオ放送
(SF、名古屋市東区東桜一丁目)
2011年
(平成23年)
3月25日
京都府 京都市 京都放送
(KBS、 京都市上京区烏丸通一条下ル龍前町)
2011年
(平成23年)
4月12日
大阪府 ◎大阪市
堺市
朝日放送ラジオ
(ABC、大阪市福島区福島一丁目)
2010年
(平成22年)
3月15日
大阪放送
(OBC、大阪市港区弁天一丁目)
2010年
(平成22年)
3月15日
毎日放送
(MBS、大阪市北区茶屋町)
2010年
(平成22年)
3月15日
兵庫県 神戸市 ラジオ関西
(CRK、神戸市中央区東川崎町一丁目)
2011年
(平成23年)
4月12日
岡山県 岡山市 RSK山陽放送
(RSK、岡山市北区丸の内二丁目)
2014年
(平成26年)
12月1日
広島県 広島市 中国放送
(RCC、広島市中区基町)
2011年
(平成23年)
7月20日
福岡県 ◎福岡市
北九州市
RKB毎日放送
(RKB、福岡市早良区百道浜二丁目)
2011年
(平成23年)
4月22日
九州朝日放送
(KBC、福岡市中央区長浜一丁目)
2011年
(平成23年)
4月22日
熊本県 熊本市 熊本放送
(RKK、熊本市中央区山崎町)
2012年
(平成24年)
1月30日

(中波ステレオ放送を実施していた民間中波放送局)

放送局名 実施
中継局名
開始年月日 終了年月日 radiko
参加年月日
備考
STVラジオ
(STV、札幌市中央区北一条西八丁目)
本局 1992年
(平成4年)
8月1日
2010年
(平成22年)
3月1日
2011年
(平成23年)
4月20日
苫小牧・室蘭両中波中継局も同じ周波数を使用しているが導入しなかった。
北海道放送
(HBC、札幌市中央区北一条西五丁目)
本局 1996年
(平成8年)
10月7日
2010年
(平成22年)
3月29日
2011年
(平成23年)
4月20日
TBSラジオ
(TBS、東京都港区赤坂五丁目)
本局 1992年
(平成4年)
3月15日
2011年
(平成23年)
1月31日
2010年
(平成22年)
3月15日
中継局は本局以外存在しない。
ニッポン放送
(LF、東京都千代田区有楽町一丁目)
本局 1992年
(平成4年)
3月15日
(実施中) 2010年
(平成22年)
3月15日
中継局は本局以外存在しない。
文化放送
(QR、東京都港区浜松町一丁目)
本局 1992年
(平成4年)
3月15日
2012年
(平成24年)
2月6日
2010年
(平成22年)
3月15日
中継局は本局以外存在しない。
CBCラジオ
(CBC、名古屋市中区新栄一丁目)
本局 1992年
(平成4年)
4月4日
(実施中) 2011年
(平成23年)
3月25日
東海ラジオ放送
(SF、名古屋市東区東桜一丁目)
本局 1992年
(平成4年)
4月4日
2012年
(平成24年)
5月14日
2011年
(平成23年)
3月25日
新城中波中継局も同じ周波数を使用しているが導入しなかった。
朝日放送ラジオ
(ABC、大阪市福島区福島一丁目)
本局 1992年
(平成4年)
3月15日
2010年
(平成22年)
3月15日
2010年
(平成22年)
3月15日
全中継局で実施。
京都局 1997年
(平成9年)
4月1日
2010年
(平成22年)
3月15日
大阪放送
(OBC、大阪市港区弁天一丁目)
本局 1993年
(平成5年)
3月29日
(実施中) 2010年
(平成22年)
3月15日
全中継局で実施。
京都局 1997年
(平成9年)
4月1日
(実施中)
毎日放送
(MBS、大阪市北区茶屋町)
本局 1992年
(平成4年)
3月15日
2010年
(平成22年)
3月1日
2010年
(平成22年)
3月15日
全中継局で実施。
京都局 1997年
(平成9年)
4月1日
2010年
(平成22年)
3月1日
和歌山放送
(WBS、和歌山市湊本町三丁目)
本局 1996年
(平成8年)
7月14日
(実施中) 2011年
(平成23年)
4月12日
串本中波中継局も同じ周波数を使用しているが導入しなかった。
RSK山陽放送
(RSK、岡山市北区丸の内二丁目)
本局 1992年
(平成4年)
10月5日
2011年
(平成23年)
3月28日
2014年
(平成26年)
12月1日
RSK山陽放送は全ての中波中継局の周波数を1494kHzに統一しているが、本局・高梁中波中継局以外は導入しなかった。
高梁局 1992年
(平成4年)
10月5日
2011年
(平成23年)
3月21日
中国放送
(RCC、広島市中区基町)
本局 1992年
(平成4年)
10月1日
2011年
(平成23年)
3月14日
2011年
(平成23年)
7月20日
福山・府中・三原各中波中継局の開始時期は推定(便宜上福山・三原両中波中継局の周波数が変更された日を開始年月日としている〔詳細は注18参照〕)。
福山局
府中局
1994年
(平成6年)
11月14日
2001年
(平成13年)
10月15日
三原局 1995年
(平成7年)
2月13日
2001年
(平成13年)
10月15日
RKB毎日放送
(RKB、福岡市早良区百道浜二丁目)
本局 1992年
(平成4年)
4月1日
2010年
(平成22年)
5月31日
2011年
(平成23年)
4月22日
九州朝日放送
(KBC、福岡市中央区長浜一丁目)
本局 1992年
(平成4年)
4月1日
2007年
(平成19年)
4月2日
2011年
(平成23年)
4月22日
熊本放送
(RKK、熊本市中央区山崎町)
本局 1993年
(平成5年)
10月1日
2008年
(平成20年)
9月29日
2012年
(平成24年)
1月30日
熊本放送は全ての中波中継局の周波数を1197kHzに統一しているが、本局以外は導入しなかった。

注40:反対に機器調整のために放送終了時間を繰り上げることと放送終了時間の繰り上げに伴い放送されない番組について後日改めて放送することはしないことをきちんと説明したところもある。広島エフエム放送は今年6月17日、放送設備更新のため放送終了時間を1時間繰り上げたのだが、広島エフエム放送公式サイトでそのことをきちんと説明している(それはこちら)。広島エフエム放送が放送終了時間を繰り上げたことはこれまでなかったように思うのだが、頻繁にすることではないからきちんと事前に説明したとも考えられる。
※ちなみに同じ今年6月17日にRSK山陽放送は放送開始時間を1時間繰り下げている。無論公式サイトで放送開始時間繰り下げに関する説明はなかった。

注41:RSK山陽放送は2021年度(令和3年度)に現在の本社の北西にある岡山市北区天神町の岡山市立岡山後楽館中学校・高等学校(岡山市北区南方一丁目)があったところに移転することになっている。
※岡山市立岡山後楽館中学校・高等学校は2012年(平成24年)に現在地に移転している。

注42:地上波テレビ放送のデジタル化移行は2011年(平成23年)7月24日に一斉に行うことにしており、大半の都道府県ではその日に実施したのだが、その約4ヶ月半前に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災。2011年〔平成23年〕3月11日)で甚大な被害を受けた岩手・宮城・福島各県では2012年(平成24年)3月31日に延期されている。

注43:中国地方にある都道府県域民間テレビ放送局で初めて音声多重放送を実施したのは広島テレビ放送(HTV、広島市東区二葉の里三丁目)と山口放送であり、1979年(昭和54年)12月1日のことであった。反対に最後に音声多重放送を実施したのは日本海テレビジョン放送であり、1992年(平成4年)11月14日のことであった。なお、広島テレビ放送・山口放送が音声多重放送を開始した1979年(昭和54年)12月1日以降に開局した中国地方にある都道府県域民間テレビ放送局はテレビせとうちと山口朝日放送(YAB、山口市中央三丁目)の二つだけであるが、どちらも開局時点から音声多重放送を実施している。

注44:例えば広島エフエム放送では庄原市東城地区や神石郡で受信しにくい。

注45:しかし中継局に通じる道路が災害に遭う恐れはないわけではない。例えば中国放送福山エフエム中継局(福山市千田町千田)に通じる唯一の道は中継局建設中だった2016年(平成28年)6月22日深夜から6月23日未明にかけての集中豪雨(福山市内の一部地域で浸水被害が起きたことで知られる)で土砂崩れが起き、しばらくの間通れなくなった。

注46:下の写真は中国放送ラジオ福山中継局(左:中波/右:エフエム)であるが、高さなどのデータは分からないもののエフエム中継局のほうが小さくて済むことが分かる。

 

注47:例えば岡山エフエム放送の本局(玉野市八浜町波知)はNHK岡山放送局(岡山市北区駅元町)のテレビ放送・エフエム放送の本局(玉野市八浜町波知)と同居している。岡山県だけを放送区域とするテレビ放送はNHK岡山放送局だけであるし、岡山エフエム放送は単独で本局や中継局を設置することは困難だったことからNHK岡山放送局のテレビ放送・エフエム放送の本局に同居することになったものと思われる。

岡山エフエム放送本局。
写真右側に見える黒色の板には「日本放送協会岡山放送局金甲山テレビ放送所」と記されている。

※岡山市中心部の南方に聳(そび)える金甲山(標高:403.1m)を訪れて驚いたもう一つの事柄は西日本放送とテレビせとうちの本局(岡山市南区郡)が一つの建物に集約されていることである(ここで挙げなかった放送局、すなわちRSK山陽放送〔テレビ・エフエム補完〕・岡山放送・瀬戸内海放送〔KSB、高松市西宝町一丁目〕はそれぞれ単独の建物になっている)。本文で「岡山・香川両県の合計人口は300万人に満たないのに都道府県域民間テレビ放送局5社・民間中波放送局2社・都道府県域民間エフエム放送局2社が放送を行っているという放送環境が日本で最も厳しい地域になっている」と書いたが、そこにもそのことは示されていると言えよう。

西日本放送とテレビせとうちの本局。
写真中央部にテレビせとうちの略称(TSC)が、その右側に西日本放送の略称(RNC)がそれぞれ記されている。

注48:民間中波放送局で全ての中波中継局の周波数を統一しているところは中波中継局が本局しかないところも含めて下表で示した17社だけである。

放送局名 周波数
(単位:kHz)
中継局数 備考
山形放送
(YBC、山形市旅篭町二丁目)
918 6
TBSラジオ
(TBS、東京都港区赤坂五丁目)
954 1 中波中継局は本局以外存在しない。
ニッポン放送
(LF、東京都千代田区有楽町一丁目)
1242 1 中波中継局は本局以外存在しない。
文化放送
(QR、東京都港区浜松町一丁目)
1134 1 中波中継局は本局以外存在しない。
山梨放送
(YBS、甲府市北口二丁目)
765 3
北日本放送
(KNB、富山市牛島町)
738 1 中波中継局は本局以外存在しない(過去には高岡中継局〔高岡市伏木矢田。周波数:738kHz〕が存在したが2016年〔平成28年〕2月29日未明の放送終了をもって廃止された)。
朝日放送ラジオ
(ABC、大阪市福島区福島一丁目)
1008 2
大阪放送
(OBC、大阪市港区弁天一丁目)
1314 2
毎日放送
(MBS、大阪市北区茶屋町)
1179 2
RSK山陽放送
(RSK、岡山市北区丸の内二丁目)
1494 7
四国放送
(JRT、徳島市中徳島町二丁目)
1269 4
西日本放送
(RNC、高松市丸の内)
1449 4
南海放送
(RNB、松山市本町一丁目)
1116 6
熊本放送
(RKK、熊本市中央区山崎町)
1197 10
宮崎放送
(MRT、宮崎市橘通西四丁目)
936 7
ラジオ沖縄
(ROK、那覇市西一丁目)
864 1
琉球放送
(RBC、那覇市久茂地二丁目)
738 1 中波中継局は本局以外存在しない(過去には平良中継局〔宮古島市平良久貝。周波数:1152kHz〕が存在したが2005年〔平成17年〕5月2日未明の放送終了をもって廃止された)。

注49:実は岡山エフエム放送本局は広島県境に近い笠岡市西部の臨海埋立地でも十分受信できる。そのため岡山市中心部から福山方面に進んだ場合周波数を一切変えないで広島県境まで進むことも可能である。
※余談だがRSK山陽放送岡山エフエム中継局は山陽自動車道福山東インターチェンジ(福山市蔵王町五丁目)付近でも受信可能である(開局前の昨年3月18日に自分が確かめている)。

注50:「1990年代以降」と書いたのは岡山県初のコミュニティ放送局・エフエムくらしき(倉敷市白楽町〔ばくろちょう〕)が1996年(平成8年)に開局した時点から中継局を持っていたが本局と同じ周波数を用いていたことによる。

注51:四国放送については来春開局予定の阿南エフエム中継局(阿南市椿町)について他のエフエム中継局(徳島・池田・日和佐。但し日和佐エフエム中継局〔徳島県海部郡美波町西河内〕は現在開局準備中〔来春開局予定〕)と異なる周波数を使用することが決まっており、複数エフエム中継局を持ち、なおかつ一つの周波数しか使っていない放送局の範疇(はんちゅう)から外れることになる(徳島・池田・日和佐各エフエム中継局…93.9MHz/阿南エフエム中継局…93.0MHz)。

注52:日本ではエフエム放送に使える周波数は76.0〜95.0MHzとなっている。但し76.0MHzと90.0MHz、95.0MHzの三つについては使用されていない。

注53:例えば広島エフエム放送の本局(広島市南区黄金山町)は中国放送広島エフエム中継局(旧:中国放送テレビアナログ放送広島本局。広島市南区黄金山町)と共用しているし、本文で書いた通りRSK山陽放送は岡山エフエム放送に他の岡山市北区に本社を置く報道機関(山陽新聞社・岡山放送・テレビせとうち)とともに出資している。

注54:本文で触れていないJFL・MegaNet両系列の概要は次の通りである。
・JFL…J-WAVE(東京都港区六本木六丁目)を事実上の総本山とする系列。
・MegaNet…InterFM897(東京都品川区東品川一丁目)を総本山とする系列。

注55:次に挙げる格好で可能性が消滅することになるのではないかと考えている。
・茨城県…総務省が今までずっと見送ってきた都道府県域民間エフエム放送局用の周波数割り当てを今後も行わない(ことを宣言する)。
・奈良県…総務省が都道府県域民間エフエム放送局用の周波数割り当てを破棄する。
・和歌山県…総務省が都道府県域民間エフエム放送局用の周波数割り当てを破棄する。
茨城県・奈良県・和歌山県ではやはり都道府県域民間エフエム放送局があっても良いとする声は少なくないことであろうが、私は下表に挙げる理由からもう開局は難しいだろうと考えている。まだ茨城県や和歌山県は民間中波放送局がエフエム補完放送を推進しているため良いのだが、このままでは奈良県は都道府県域民間ラジオ放送局の本社がない日本唯一の都道府県になってしまう。これで良いのだろうかと書いたところでどうにもなる問題ではないのだが、果たしてどうなるのだろうか。

県名 開局が難しいと思う理由
茨城県 ・他の都県を志向する地域が多いため県庁所在地であり、茨城県最大の都市でもある水戸市の中枢性がそれほど高くないこと。
・工業都市はいくつかあるが経済基盤は脆弱であること。
・東京のベッドタウンとして発展した都市がいくつもあり、県民意識が高いとは言えない地域が多いこと。
・近隣都県に本社を置く都道府県域民間エフエム放送局の番組が十分楽しめること。
・かつて郵政省(現:総務省)が都道府県域民間テレビ放送局用のチャンネルを割り当てたことがあるが、経済基盤が脆弱なことなどから開局に至らなかったこと。
・茨城県唯一の都道府県域民間放送局・茨城放送(IBS、水戸市千波町)がエフエム補完放送を推進しているため都道府県域民間エフエム放送局の入り込む余地がなくなったこと。
・県庁所在地の水戸市などでコミュニティ放送局が開局しており、きめ細かな情報提供のできない都道府県域民間放送は別に必要ないとする声が少なくないこと。
奈良県 ・県庁所在地であり、奈良県最大の都市でもある奈良市が県域の北端部に位置していることや京都市・大阪市へのストロー効果(ストロー現象とも称する)が著しいことから中枢性がそれほど高くないこと。
・経済基盤が脆弱であること。
・大阪市のベッドタウンとして発展した都市がいくつもあり、県民意識が高いとは言えない地域が多いこと。
・近隣府県に本社を置く都道府県域民間エフエム放送局の番組が十分楽しめること。
・山間部が多く、中継局設置について見送る可能性の高い地域が少なくないこと。
・県庁所在地の奈良市などでコミュニティ放送局が開局しており、きめ細かな情報提供のできない都道府県域民間放送は別に必要ないとする声が少なくないこと。
和歌山県 ・県庁所在地であり、和歌山県最大の都市でもある和歌山市が県域の北端部に位置していることや大阪市へのストロー効果(ストロー現象とも称する)が著しいことから中枢性がそれほど高くないこと。
・県域が南北に長く、地域によって志向が異なること。
・大阪市のベッドタウンとして発展した都市はあるが、それは北部の一部に限られており、全体的に人口減少が続いていること。
・都道府県域民間テレビ放送局や民間中波放送局はあるが有力地方紙が育っていないこと。
・工業都市はいくつかあるが経済基盤が脆弱であること。
・近隣府県に本社を置く都道府県域民間エフエム放送局の番組が十分楽しめること。
・山間部が多く、中継局設置について見送る可能性の高い地域が少なくないこと。
・和歌山放送(WBS、和歌山市湊本町三丁目)が地域密着の放送を展開している上にエフエム補完放送を推進しているため都道府県域民間エフエム放送局の入り込む余地がなくなったこと。
・県庁所在地の和歌山市などでコミュニティ放送局が開局しており、きめ細かな情報提供のできない都道府県域民間放送は別に必要ないとする声が少なくないこと。
共通 ・都道府県域民間放送局の開局は少子・高齢化による人口減少や長く続く不況などの影響で21世紀に入ってからほとんど見られなくなったこと。
・インターネットの普及などによりラジオ放送は斜陽化が著しいこと。
・InterFM897やエフエム山陰のような複数の都道府県を放送区域とする都道府県域民間エフエム放送局は全くと言って良いほど認められないこと(もし認められても対象になった側が受け入れるかどうかは分からないが…)。
・市区町村を放送区域とするコミュニティ放送局はともかく、都道府県域民間放送局でも経営難に陥り、最悪の場合廃業するところが出ていること。

注56:現在のところ千葉市がコミュニティ放送局が過去に一度も存在したことのない唯一の政令指定都市になっている。また、堺市はかつて存在したが廃業してしまったため現在はコミュニティ放送局のない政令指定都市になっている。千葉市は先日襲来した台風15号で甚大な被害を受けた千葉県の県庁所在地であること、堺市は大阪市に隣接しており、大阪市のベッドタウンとしての性格も持っているが独自の発展を遂げてきたことや市内にある大規模古墳群が世界文化遺産に指定されたことを考えるとコミュニティ放送局を開局させようという声が高まることを期待したいのだがどうであろうか。
※この他福岡市も2010年(平成22年)秋から冬にかけて市内に二つあったコミュニティ放送局が相次いで廃業したため2年ほどコミュニティ放送局のない時期があった。

注57:この他予備免許は取得したが開局準備の過程で何らかの問題が起き、結局開局に至らなかったところが3社ある。

注58:その間に一人男性アナウンサー(現在も勤務中)が入社しているが、他の都道府県域民間テレビ放送局からの移籍である。
※中国放送は今年男性アナウンサー一人が入社しているが、この男性アナウンサーも他の都道府県域民間テレビ放送局からの移籍である。

注59:現在は復活しているが1時間番組である。

注60:中国放送は1970年(昭和45年)秋の番組改編で終夜放送に移行したのだが、その時は「オールナイトニッポン」を第一部(火曜日〜日曜日午前1時〜午前3時)・第二部(火曜日〜日曜日午前3時〜午前5時)ともネットしていた。「オールナイトニッポン」第二部を打ち切って「日野ミッドナイトグラフィティ 走れ! 歌謡曲」をネットするようになったのは1976年(昭和51年)12月6日のことであったが、背景には青少年が夜更かしするのは好ましくないという声が少なくなかったことや中国放送が放送区域としている広島県にも近く高速道路が延びてくることになったことがあったものと思われる。「日野ミッドナイトグラフィティ 走れ! 歌謡曲」は2006年(平成18年)春の番組改編で日曜日早朝の放送がなくなり、火曜日〜土曜日早朝の放送になったのだが、中国放送で日曜日早朝の「オールナイトニッポン」第二部のネットが再開されることはなかった。
※広島県で初めて高速道路が開通したのは中国放送が「日野ミッドナイトグラフィティ 走れ! 歌謡曲」のネットを開始して1年11ヶ月ほど経った1978年(昭和53年)10月28日のことである。その日中国自動車道北房インターチェンジ(真庭市五名)〜三次インターチェンジ(三次市西酒屋町)間が供用を開始したことによる。

注61:終夜放送を行わないことがよく見られるのはコミュニティ放送局である。例えばFM東広島(東広島市西条下見六丁目)は毎日午後10時〜翌日午前5時の7時間放送を休止している。

注62:現在は毎日午前1時〜午前6時の5時間放送を休止している。

注63:私の友人で下関市立大学学園祭情報局〜中国地方最古参の市立四年制大学の学園祭のきのう・きょう・あす〜」というサイトを運営している中島孝祐(なかしま・こうすけ)さんの兄は平成時代初頭に多治見市に住んでおり、何度か訪ねたことがあったのだが、中島さんはその時岐阜放送を見て驚いたそうである。放送開始時間が愛知県に本社を置く都道府県域民間テレビ放送局よりも遅く(今から28年前、すなわち1991年〔平成3年〕8月頃の話で確かなことは覚えていないというのだが午前9時頃だったらしい)、放送を開始したと思ったらその後数時間にわたって「文字ニュース」を流していたのだという(1990年代中期〜2000年代中期の中国放送のように深夜・早朝に流すのならまだ分かるのだが…)。今では信じられない話ではあるが、それだけバブル景気に沸いていた頃であっても経営環境が厳しかったということなのだろう。
※中島さんによると当時の岐阜放送には落雷予報番組のようなものもあったという。経営事情は厳しいものがあるが、そういうユニークな番組があるのも独立局の妙味であろう。

注64:岐阜放送では1987年(昭和62年)8月に月曜日の早朝に5回にわたって自社制作番組を設定し、臨時に終夜放送を実施したことがある。月曜日の早朝はほとんどの都道府県域民間ラジオ放送局は機器調整などを理由に放送を休止しているのだが、それを逆手にとってあえて月曜日早朝に終夜放送を実施したのだという。岐阜県は名古屋市へのストロー効果(ストロー現象とも称する)が著しいところであるが、そういうところだけに存在感を遠隔地で聴いている方にも示したいという思いで企図したのであろう。

注65:五日市コミュニティ放送(愛称:エフエムななみ。広島市佐伯〔さえき〕区皆賀四丁目。2004〜2007)を指す。五日市コミュニティ放送は広島市佐伯区五日市地区を放送区域として開局したコミュニティ放送局で、自社制作番組の多さや終夜放送が目を引いたが、いかんせん広島市佐伯区五日市地区は中枢性も経済力も隣接する廿日市(はつかいち)市に劣っていたことや広島市のベッドタウンとして発展してきたために旧来の住民が少なくなっていたことなどから次第に振るわなくなってしまい、3年ほどで自社制作番組の大幅削減を断行せざるを得なくなってしまった。それでも状況が好転せずに放送を休止して体制を立て直そうとしたのだが結局再興はならず、廃業に追い込まれてしまった。

五日市コミュニティ放送の演奏所が入居していた娯楽施設。
左側に見える高架橋は国道2号線西広島バイパスであり、広島市佐伯区中心部からいくらか離れたところにあったことがうかがえる。
もう少し広島市佐伯区中心部に近いところにあったら良かったと思うのは私だけだろうか。

注66:番組の打ち切りは本文で記した通りいつも釈然としない思いを視聴者に与える結果をもたらすが、私として都道府県域民間ラジオ放送局の番組でこれはないだろうと思った打ち切り劇がある。それは七大都市(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡)を擁する都道府県を放送区域とするJFN系列に属する都道府県域民間エフエム放送局だけをネットする形で始まった「RADIO MAGAZINE WHAT'S IN?」(1996〜2006年〔平成8〜18年〕放送)である。この番組は2003年(平成15年)春の番組改編をもってエフエム仙台(愛称:Date fm〔デイトエフエム〕。仙台市青葉区本町二丁目)と広島エフエム放送でのネットが打ち切りになったのだが、そこでいくつも不可解な問題が起きたのである。それを挙げると次の通りになる。
・「RADIO MAGAZINE WHAT'S IN?」はソニー・マガジンズ(現:エムオン・エンタテインメント〔東京都港区六本木三丁目〕)がスポンサーを務める番組であり、「RADIO MAGAZINE WHAT'S IN?」がネットされていない地域の方のために月刊音楽情報誌「WHAT's IN?」(1988〜2016年〔昭和63年〜平成28年〕発行)に誌上再録ページを設定していたのだが、2003年(平成15年)3月中旬、すなわちエフエム仙台・広島エフエム放送でのネット打ち切り半月前に発売された2003年(平成15年)4月号では「2003年(平成15年)3月末をもってエフエム仙台・広島エフエム放送でのネットは終了します」とは一切記されていなかった。
・2003年(平成15年)3月23日付山陽新聞朝刊に掲載されていた週間エフエム番組表の広島エフエム放送の欄を見ると2003年(平成15年)3月29日深夜(正確な日時は2003年〔平成15年〕3月30日午前2時〜午前3時)に放送される「RADIO MAGAZINE WHAT'S IN?」には最終回記号は付されていなかった。
・前記二つの事実により「RADIO MAGAZINE WHAT'S IN?」は2003年(平成15年)4月以降も続くのだろうと思っていたが、2003年(平成15年)3月29日付中国新聞朝刊のテレビ・ラジオ欄を見ると「RADIO MAGAZINE WHAT'S IN?」に最終回記号が付されており、広島エフエム放送でのネットは2003年(平成15年)3月29日深夜放送分をもって打ち切りになることが示された。番組自体の最終回なのか? と考えて全国紙のテレビ・ラジオ欄でエフエム大阪(愛称:FM OH!。大阪市浪速〔なにわ〕区湊町一丁目)の番組表を確認したところそちらには最終回記号は付されておらず、少なくとも広島エフエム放送ではネット打ち切りになることが判明した。当然翌週、すなわち2003年(平成15年)4月5日深夜(2003年〔平成15年〕4月6日未明)から広島エフエム放送ではその時間帯は別の番組が流れるようになった(エフエム仙台については確認していないが、恐らく2003年〔平成15年〕3月29日深夜放送分、すなわち2003年〔平成15年〕3月30日午前1時からの放送〔エフエム大阪と同じ時間帯の放送〕をもって最終回になったものと思われる)。
・ところが、エフエム仙台・広島エフエム放送でのネット打ち切り半月後の2003年(平成15年)4月中旬に発売された2003年(平成15年)5月号の「RADIO MAGAZINE WHAT'S IN?」誌上再録コーナーでは既にネットされていないはずのエフエム仙台・広島エフエム放送での放送日時が記されていた。その号では2003年(平成15年)3月中に放送した分の概要が記されていたことから「WHAT's IN?」編集部はエフエム仙台・広島エフエム放送でのネット打ち切りを知っていたはずであるが単なる不手際で消さなかった可能性が考えられる。
・その次の号、すなわち2003年(平成15年)5月中旬に発売された2003年(平成15年)6月号の「RADIO MAGAZINE WHAT'S IN?」誌上再録コーナーではエフエム仙台・広島エフエム放送での放送日時は削除されていたが、前号、すなわち2003年(平成15年)5月号で誤って既にネットされていないはずのエフエム仙台・広島エフエム放送での放送日時を記してしまったことに対するお詫びはどこを見ても記されていなかった。
前記の通り広島エフエム放送における「RADIO MAGAZINE WHAT'S IN?」の放送日時は日曜日午前2時〜午前3時とあまりにも遅い時間帯なので聴くことは難しく、更に2003年(平成15年)4月号では「2003年(平成15年)3月末をもってエフエム仙台・広島エフエム放送でのネットは終了します」とは一切記されていなかったのでもしかしたら喋り手のせがわきり(表舞台から姿を消して久しいが深夜の情報番組「トゥナイト2」〔テレビ朝日系、1994〜2002年〈平成6〜14年〉放送〕の人気女性レポーターとして知られる。また一時期児童文学作家として活動し、歌手の忌野〔いまわの〕清志郎〔1951〜2009〕と共同で環境問題に関する絵本を出したこともあった)がエフエム仙台・広島エフエム放送でのネット打ち切りに言及した可能性のある2003年(平成15年)3月23日放送分を聴くことも録音することもしなかったことが悔やまれる。その自分の不手際は反省すべきところであるが、疑問に思ったのは次に挙げる点である。
・いつソニー・マガジンズはエフエム仙台・広島エフエム放送でのネット打ち切りを決めたのか。2003年(平成15年)3月23日付山陽新聞朝刊の週間エフエム番組表がいつ作成されたかは分からない(2003年〔平成15年〕3月20日頃?)が、その時点で山陽新聞社の担当職員が広島エフエム放送でのネット打ち切りを把握していなかった、言い換えればまだ広島エフエム放送でのネット打ち切りはその時点では公表されていなかったとするとあまりにも急すぎる決定ではないのか。当然のことながらこういう急な番組の打ち切り決定はエフエム仙台・広島エフエム放送の番組編成担当者にも多大な迷惑がかかる。
・2001年(平成13年)春にせがわきりが出産のため一時番組を降板した時「RADIO MAGAZINE WHAT'S IN?」誌上再録コーナーではそのことをきちんと報告したのになぜ同じくらい重要な問題であるはずのエフエム仙台・広島エフエム放送でのネット打ち切りは通告しなかったのか。出産には予定日(最終月経や胎児の成長具合から算出するが記すまでもなく予定日当日に生まれることはあまりない)があるからあらかじめ通告できるけどエフエム仙台・広島エフエム放送でのネットの打ち切りは急なことで通告できなかったと弁解するのだろうか。
・「WHAT's IN?」編集部はエフエム仙台・広島エフエム放送でのネット打ち切りを知っていたはずなのになぜ2003年(平成15年)5月号でエフエム仙台・広島エフエム放送でのネットは2003年(平成15年)3月末で終了したことを通告し、なおかつエフエム仙台・広島エフエム放送での放送日時を削除しなかったのか。これも急すぎたことなので…と弁解するのだろうが、エフエム仙台・広島エフエム放送の聴取者や「RADIO MAGAZINE WHAT'S IN?」の聴取者、「WHAT's IN?」の読者などから「もうエフエム仙台や広島エフエム放送では流れていないんですけど何で書いているんですかね?」というような苦情が来ることは考えなかったのだろうか。
・そういう不手際を起こしておきながら2003年(平成15年)6月号で一切お詫びを行わなかったこと。確かに「RADIO MAGAZINE WHAT'S IN?」はネット局が少ない上にどのネット局も深夜に放送していたことや番組の知名度が高いとは言えなかったこと、喋り手のせがわきりの知名度自体低かったことなどを考えれば別にお詫びなどしなくても良いだろうという判断があったのかもしれないが、エフエム仙台・広島エフエム放送の聴取者や「RADIO MAGAZINE WHAT'S IN?」の聴取者、「WHAT's IN?」の読者などを蔑ろにしていないだろうか。
エフエム仙台と広島エフエム放送で「RADIO MAGAZINE WHAT'S IN?」のネットが打ち切られた理由は恐らくスポンサーのソニー・マガジンズの都合であり、エフエム仙台が放送区域としている宮城県と広島エフエム放送が放送区域としている広島県の人口の少なさを考えればこうなっても致し方はないかなとは思う(エフエム仙台・広島エフエム放送それぞれの都合も考えられるが同時に2局でネット打ち切りになるのであればそれは考えにくい)。しかし、もしエフエム仙台・広島エフエム放送でのネット打ち切りが何ヶ月か前から決まっていたことなら2003年(平成15年)4月号で、急に決まったことなら(事後通告にはなるが)2003年(平成15年)5月号か2003年(平成15年)6月号でそのことを通告すべきだったのではないのだろうか。それがエフエム仙台・広島エフエム放送の聴取者や「RADIO MAGAZINE WHAT'S IN?」の聴取者、「WHAT's IN?」の読者の目線に立ったやり方だと思うし、致し方ないかなと納得することができるからである。
これはネット局が少なく、知名度も低い番組の話ではある。しかし、番組の打ち切りに際してどのようにして視聴者を納得させるのか、そしてなるべく不快感を残さないようにするためにはどのようにすべきなのかを教訓として残したのではないかと思っている。ただ、ここでこういうことを書いたとしても放送局やスポンサーに私の思いは伝わらないだろうが…。

注67:このようなことを書いたのは企業の中には相手の感情を全く無視し、結果信頼を失わせるようなことをするところがあると考えているからである。例えば企業の中途採用試験では次に挙げるような相手を憤慨させる言行が見られる。
・応募したのに一切無視する。
・説明会で条件などについて明らかな嘘をつく。
・対応が遅い(企業側の都合で遅くなるのならきちんとその旨を伝えるべきなのにそれをしないところが多い)。
・志願者に「採用する気はないのだろう」とか「形だけ面接ではないか」と疑わせる態度をとる。
・一切連絡してきた痕跡がないのに「連絡が取れない」などと記した電子メールを送ってくる。
・面接中に志願者が不快に感じるような態度をとる(理不尽な仕打ちに対してどのように応じるかを見る圧迫面接の可能性が高い。好ましくないとする声もあるがこればかりは致し方ないのではないか)。
・採用担当者が採用すると思わせるような態度(面接の雰囲気が和やかである、笑顔を見せる)をとったのに不採用にされる。
・不採用者には採否連絡は行わない(中には一切予告しないところもある)。
・志願者の感情を損ねるようなこと(直接指摘すれば傷付き、場合によっては反発されるようなこと)を不採用理由とする。
・不採用通知があまりにもいい加減で、ただでさえ不快な気分を増幅させる。
・不採用だと判断した志願者に対しては通告なく課すことにしていた項目(筆記試験など)を実施しなかったり面接を短時間で打ち切ったりする。
・(あるコンビニエンスストアのアルバイトの面接であった話なのだが)志願者を面接を行った店舗まで結果を聞きに来るよう指示し、そこで志願者の自宅からかなり離れたところにある店舗で再度面接するよう通告する(その店舗はあろうことか経営不振により近く閉店する予定になっていたという。事実上の不採用通告ということになるが、なぜそんな仕打ちをするのだろうか)。
・(ある福祉系の職員を対象とする派遣会社であった話なのだが)志願者の自宅からかなり離れていて、通勤が困難な施設を斡旋(あっせん)する(これも事実上の不採用通告ということになるが、この場合は斡旋先の施設にも迷惑がかかる格好になる。もし戦力になり得ないと判断したのであれば丁寧に断れば良かったと思うのだが、なぜそうしなかったのだろうか)。
・不採用などの仕打ちに対して抗議しても一切非を認めないどころか場合によっては逆ギレする(中には志願者の責に帰するものがあるし、怒り口調に対して冷静に対処できる方もそうはいないのでこうなるのも致し方ないところではあろうが…)。
確かに志願者側にも自分の身の程を分かっていないとかその仕事に対する適性があるかどうかを考えていないとか志望目的があやふやであるといった問題点はあるが、企業側も志願者の目線に立って臨んで頂けないものであろうか。何の罪もない志願者に不快な思いを与えることは結局将来顧客になり得る可能性のある方を失うことでもあるのだし…。

注68:そのせいか携帯電話(スマートフォン)ではエフエム放送だけを対象としたサービスがいくつか存在する。それは次の通りである。
・携帯電話だけを対象としたインターネットサイマル配信サービス。LISMO WAVEとドコデモFMの2種類が存在する(但しどちらのサービスも全ての放送局が参加しているわけではない。特に最も新しい放送局であるRadio Neo〔名古屋市瑞穂区北原町一丁目〕はどちらも参加していない)。
・エフエムラジオ受信機機能。きちんと大半のエフエム補完中継局が使っている周波数(90.1〜94.9MHz)にも対応している。