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ニュースダイアリー・2020年(令和2年)9月分

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9月1日(火曜日)

分野 関係
都道府県名
出来事 概要
ラジオ 東京都 ジャパンエフエムネットワークがInterFM897の発行済み全株式を取得し、InterFM897が全国FM放送協議会の特別加盟社になる。 ジャパンエフエムネットワーク(JFNC、東京都千代田区麹町一丁目)はInterFM897(東京都品川区東品川一丁目)の発行済み全株式を木下グループ(東京都新宿区西新宿六丁目)から取得した。更にInterFM897は全国FM放送協議会(JFN)の特別加盟社(注1)になった。
InterFM897は外国語放送を行う都道府県域民間エフエム放送局3社
(注2)が加盟しているMegaNet系列の総本山であるが、外国語放送局であるが故に経営は厳しく、これまでに筆頭株主は何度も変わっている。今回ジャパンエフエムネットワークが木下グループから発行済み全株式を取得した背景としては木下グループとしては経営環境が厳しい放送局は支え切れなくなったということが考えられるのだが、ジャパンエフエムネットワークがどのようにInterFM897を活用するのかが今後は注目されることになりそうである。
(出典)
ジャパンエフエムネットワークの報道資料(PDF文書)
道路 長野県 三才山トンネル有料道路と松本トンネル有料道路が無料開放される。 長野県道路公社(長野市南長野)が運営していた二つの有料道路・三才山トンネル有料道路(おおよその区域はこちら)と松本トンネル有料道路(おおよその区域はこちら)が本日午前0時をもって無料開放された。
ともに国道254号線の一部になっている三才山トンネル有料道路と松本トンネル有料道路は建設目的が異なっている。前者は上田市・松本市境にある三才山峠(標高:約1,500m)前後の通行不能区間(注3)を解消し、上田・佐久方面と松本方面を結ぶ幹線道路として有用な存在にすること(注4)を目的として建設され、1976年(昭和51年)10月31日に開通したのに対し、後者は交通量が多い松本市中心部を迂回することを目的に建設され、1994年(平成6年)12月15日に開通した。但し松本トンネル有料道路は三才山トンネル有料道路の延伸区間として位置付けられており、償還期限、すなわち有料道路としての運営が終わる日は同じ日にされることになった
(注5)。その後償還期限については紆余曲折(うよきょくせつ)があったものの建設費や維持・管理費が今年8月末までの通行料金収入で賄(まかな)えるメドが立ったことから今回の無料開放となったものである。
国道254号線にはかつては富士見・川越有料道路(1981〜2009)と三才山トンネル有料道路、松本トンネル有料道路と三つも有料道路があったが、今回の三才山トンネル有料道路と松本トンネル有料道路の無料開放により全線が無料で通行できるようになった
(注6)
(出典)
長野県道路公社公式サイト
ラジオ 静岡県 エフエム熱海湯河原が熱海市内に中継局を新設する。 熱海(あたみ)市を中心とした地域を放送区域としているコミュニティ放送局・エフエム熱海湯河原(愛称:Ciao〔チャオ〕!。熱海市上宿町)としては4番目の中継局となる下多賀中継局(熱海市下多賀。周波数:79.6MHz)が本日開局した。
エフエム熱海湯河原は1999年(平成11年)4月14日にエフエム熱海という名称で開局し、これまでに泉・上宿両中継局を設置した
(注7)。しかし、これまでの中継局は熱海市の中心部及び北部に偏っており、熱海市南部には地形的な事情により受信しにくい地域が残されていた。その状況を解消すべくエフエム熱海湯河原は総務省(東京都千代田区霞が関二丁目)から補助金が出る民間ラジオ放送局難聴解消支援事業(注8)を用いて熱海市南部の受信環境改善を図ったものと思われる。
(出典)
総務省東海総合通信局の報道資料
エフエム熱海湯河原公式サイト
ラジオ 徳島県 エフエム徳島がradikoでの配信を開始し、なおかつradiko.jpプレミアムにも参加する。 徳島県を放送区域としている都道府県域民間エフエム放送局・エフエム徳島(徳島市寺島本町西一丁目)が本日正午頃からインターネット再送信サービスのradikoでの配信を開始した。同時にエフエム徳島はradiko.jpプレミアムにも参加し、放送区域内(徳島県)では無料で、放送区域外では有料(月額385円〔消費税込み〕)でそれぞれエフエム徳島の番組をパソコンやスマートフォンで楽しめるようになった。
エフエム徳島はこれまで他にもラジオ放送のインターネット再送信サービスがあったことや経営事情が厳しいことなどからradikoでの配信は見合わせていた。しかし昨秋から今春にかけてラジオ放送のインターネット再送信サービスが相次いで終了したこと
(注9)から民間ラジオ放送局の大多数が参加しているradikoでの配信開始を決断したものと思われる。エフエム徳島は都道府県域民間エフエム放送局としては最後に配信を開始した放送局となったが、配信開始が遅くなったのは前記の理由に加えて今年6月29日に本社を移転したこと(それはこちらで触れている)もあったものと思われる。
エフエム徳島がradikoでの配信を開始したことにより現在放送中
(注10)の都道府県以上の放送区域を有する民間ラジオ放送局99社(内訳は中波47社・エフエム51社・短波1社)が全てradikoでの配信を行うことになった。radikoは2010年(平成22年)3月15日にサービスを開始しているのでサービス開始から10年半で現在放送中の民間ラジオ放送局全てが参加する格好になった。
(出典)
radiko公式サイトの報道発表
エフエム徳島公式サイト

9月7日(月曜日)

分野 関係
都道府県名
出来事 概要
ラジオ 青森県 青森放送ラジオ野辺地エフエム中継局が開局する。 青森県を放送区域としている民間中波放送局・青森放送ラジオ(RAB、青森市松森一丁目)としては3番目のエフエム補完中継局となる野辺地(のへじ)エフエム中継局(上北郡野辺地町松ノ木。周波数:93.2MHz)が本日開局した。
青森放送ラジオは上北郡野辺地町には
中波中継局(上北郡野辺地町二本木。周波数:1062kHz)を設置していたが、すぐそばを野辺地川や二本木川が流れていることや陸奥(むつ)湾まで600mほどしかないことから浸水被害を受ける恐れがあったことや国内外の放送局との混信がひどいこと
(注11)、青森・八戸両エフエム中継局から離れていたことなどから設置することにしたものと思われる。
青森放送ラジオ野辺地エフエム中継局の開局により陸奥湾東部地域における青森放送ラジオの受信環境改善が図られることになった。
(出典)
総務省東北総合通信局の報道資料
青森放送公式サイト

9月21日(月曜日)

分野 関係
都道府県名
出来事 概要
ラジオ 北海道 北海道放送ラジオが新社屋での放送を開始する。 北海道を放送区域としている民間中波放送局・北海道放送ラジオ(HBC、札幌市中央区北一条西五丁目)が本日午前5時、現在の本社のすぐ東側に建設されていた新社屋での放送を開始した(注12)
北海道放送は1959年(昭和34年)に完成し、老朽化が進展していた現在の本社(場所はこちら)に代わる新社屋を現在の本社の東側(立体駐車場〔HBCパーキング〕跡地。場所はこちら)に建設していたが今年3月31日に完成し、この度のラジオ部門の移転と相成ったものである。
北海道放送ラジオの現在の本社での放送は本日午前0時をもって終了した
(注13)が、現在の本社での最後の放送ではかつて北海道放送ラジオの放送開始時・放送終了時にかけていた伊福部昭(1914〜2006)作曲の「ウポポ」を流すという粋な演出がとられている。
なお、北海道放送の所在地表記は新社屋に移転した後も札幌市中央区北一条西五丁目2番地のまま変わらない。
(出典)
北海道放送公式サイト

9月28日(月曜日)

分野 関係
都道府県名
出来事 概要
ラジオ 奈良県 NHK奈良放送局が新社屋での放送を開始する。 奈良県を放送区域としているNHK奈良放送局(奈良市三条大路一丁目)が本日演奏所を移転した。
NHK奈良放送局は1937年(昭和12年)9月16日に設置された日本放送協会大阪中央放送局奈良出張所を始祖とする放送局であり、奈良市鍋屋町27番地(場所はこちら)にある旧演奏所には1971年(昭和46年)に移転した。今回の移転は建設から間もなく半世紀が経過する旧演奏所の老朽化が進展していたことが主たる理由であり、新演奏所は奈良市三条大路一丁目1番20号(場所はこちら)に建設していた。
なお、NHK奈良放送局のラジオ放送はエフエム放送のみ実施している
(注14)
(出典)
NHK奈良放送局公式サイト

9月30日(水曜日)

分野 関係
都道府県名
出来事 概要
ラジオ 全国 エフエム東京主導のラジオ放送インターネットサイマル配信サービスが大幅に縮小される。 JFN系列の総本山・エフエム東京(愛称:Tokyo fm。東京都千代田区麹町一丁目)が主導者となって展開してきたラジオ放送のインターネットサイマル配信サービスが大幅に縮小され、Google Play(Androidの場合)またはApp Store(iPhoneの場合)で入手できるドコデモFMアプリを除いてサービスが終了した。
エフエム東京は2011年(平成23年)にドコデモFMを、2016年(平成28年)にAuDee(オーディー。今年7月27日にJFN PARKから改称)を、2018年(平成30年)にWIZ RADIOをそれぞれ立ち上げた。しかし、スマートフォンでしか使えなかったことや参加した都道府県域民間エフエム放送局はJFN系列に属するところがほとんどで、JFN系列に属していないところで参加したのはラブエフエム国際放送(福岡市中央区今泉一丁目)だけであり、そのラブエフエム国際放送もこちらで触れた通り今年6月末をもって脱退したこと、利用者があまり増えなかったこと、そしてJFN系列に属する都道府県域民間エフエム放送局が全てradikoに参加したことから大幅に縮小することにしたものと思われる。
ドコデモFM・AuDee・WIZ RADIOそれぞれのサービス縮小状況は次の通りである。
・ドコデモFM…NTTドコモの「スゴ得コンテンツ」対応アプリとソフトバンク「App Pass」アプリでの配信サービスを終了させる。もし今後使用したい場合はGoogle Play(Androidの場合)またはApp Store(iPhoneの場合)でアプリを入手するものとする。
・AuDee…ヴァージョンアップをもって都道府県域民間エフエム放送局のインターネットサイマル配信サービスは終了し、radikoの利用を促す告知を表示する。
・WIZ RADIO…サービス自体終了する。
スマートフォン用のラジオ放送のインターネットサイマル配信サービスは他にもauというブランド名で携帯電話事業を展開しているKDDI(東京都千代田区飯田橋三丁目)が展開していたLISMO WAVE(2011〜2019)があったが、これも既にサービスを終了しており、結局radikoの独り勝ち状態になってしまった。前記の通りドコデモFMは今後もサービスは継続されるがJFN系列に属する都道府県域民間エフエム放送局しか対象になっていない点でradikoに大きく劣っており、今後どうなるのか憂慮される状態になっている。
(出典)
ドコデモFM公式サイト
AuDee公式サイト
AuDee公式サイト内のradikoを利用するよう促す告知
WIZ RADIO公式サイト

(注釈コーナー)

注1:InterFM897以外の全国FM放送協議会特別加盟社としては他にパラオ共和国国営放送(愛称:エコパラダイスFM)がある。
※パラオ共和国国営放送が全国FM放送協議会特別加盟社になったのはエフエム東京と日本航空(東京都品川区東品川二丁目)の支援により開局したからである。

注2:InterFM897以外にはFM COCOLO(大阪市北区天神橋二丁目)とラブエフエム国際放送(福岡市中央区今泉一丁目)がある。過去には愛知県を中心とした地域で放送を展開していた愛知国際放送(愛称:RADIO-i。名古屋市東区東桜一丁目。2000〜2010)とRadio NEO(名古屋市瑞穂区北原町一丁目。2014〜2020)があったが、いずれも経営難により廃業している(但しRadio NEOは経営難に加えて木下グループのInterFM897からの経営撤退も背景にあった可能性が高い)。
なお、五大都市(札幌・東京・名古屋・大阪・福岡)のうち札幌市を中心とした地域については北海道以外の都府県を放送区域に含められないことや北海道の経済情勢が厳しいことなどから総務省(東京都千代田区霞が関二丁目)は周波数割り当て自体行っていない。よってMegaNet系列は五大都市を網羅できていない不完全な系列になっている。

注3:三才山トンネル有料道路付近の道路が国道254号線になったのは1970年(昭和45年)4月1日のことである。それまで東京都文京区と小諸(こもろ)市を結んでいた路線(佐久市〜小諸市間は国道141号線と重用していたため事実上の終点は佐久市となる)だったのを1969年(昭和44年)12月4日政令第280号により経路を変更して東京都文京区と松本市を結ぶ路線に再編したものである。その時点では三才山峠以外にも上田市武石(たけし)地区と上田市丸子地区の境にある所沢峠(標高:約900m)付近に通行不能区間を有しており、有用な道にはなっていなかった。
※所沢峠付近の通行不能区間はその後東方の地形が険しくないところに迂回路を作る格好で解消している。

注4:国道254号線の経路変更が実施された1970年(昭和45年)4月1日時点では上田方面と松本方面を結ぶ道路としては国道143号線があった。但しこの国道143号線は発足こそ国道254号線より早かった(1953年〔昭和28年〕5月18日政令第96号による。当時の路線名称は二級国道143号松本・上田線〔1953〜1965〕)のだが現在も松本市四賀地区〜東筑摩郡筑北村本城地区〜小県(ちいさがた)郡青木村間に未改良箇所があり、有用な幹線道路にはなっていない。現在長野県により松本市四賀地区から東筑摩郡筑北村本城地区を通って小県郡青木村に至るバイパスを建設する計画が進められているがいつ開通するかはまだはっきりしていない(早くて2020年代中期になるのではないのだろうか)。

注5:三才山トンネル有料道路しかなかった時点では三才山トンネル有料道路開通30周年の前の日の2006年(平成18年)10月30日を償還期限としていたが、松本トンネル有料道路が開通した時に三才山トンネル有料道路・松本トンネル有料道路とも2021年(令和3年)6月9日を償還期限に設定した。

注6:三才山トンネル有料道路と松本トンネル有料道路に対する旧道は既に国道254号線としての区域から外されているが、富士見・川越有料道路に対する旧道、すなわち国道254号線三芳・大井旧道は現在も国道254号線として存続している。よって、注3で触れた所沢峠付近の通行不能が解消され、全線が通行できるようになった時点(昭和時代末期から平成時代初頭にかけての時期と思われるが詳細は不明)では国道254号線を全線走破するのに富士見・川越有料道路を通ることは必須事項ではなかった。
※国道254号線三芳・大井旧道が現在も国道254号線として存続しているのは富士見・川越有料道路改め富士見・川越バイパスの東京寄りに和光・富士見バイパスが企図されていることがあるからではないかと思われる。ただ、和光・富士見バイパスは一部地域で用地買収が難航していることや最近になって延伸計画を発表したこと(和光市新倉五丁目/松ノ木島交差点から更に東京方面に延伸し、和光市下新倉四丁目/吹上観音前交差点を起点とするもの。但し和光市下新倉四丁目/吹上観音前交差点でも和光市新倉五丁目/松ノ木島交差点でも国道254号線現道には接続しておらず〔前者は埼玉県道88号和光インター線と和光市道を、後者は国道17号線新大宮バイパスと東京都道/埼玉県道68号練馬・川口線をそれぞれ通る必要がある〕、どのようにして国道254号線現道と接続させるのかという課題が残る)からいつ全線開通するのははっきりしていない。よって当面は国道254号線三芳・大井旧道が国道254号線として存続するのは確実な状況になっている。

注7:泉中継局(熱海市泉)を設置した時に熱海市の北隣にある神奈川県足柄下郡湯河原町が受信可能地域に入ったことからエフエム熱海は泉中継局が開局した2001年(平成13年)11月26日に現在の社名に変更している。なお、エフエム熱海湯河原は神奈川県足柄下郡湯河原町を放送区域に含めているが、演奏所や中継局は全て熱海市内にあることから本サイトにおいては東海地方及び静岡県にあるコミュニティ放送局として取り扱っている。

注8:総務省から出る補助金は状況により異なっている。その割合は下表の通りになる。

中継局設置理由 状況 補助金の割合 備考
地理的・地形的難聴 中継局との間に高い山があるなどして受信しにくい。 3分の2
外国波混信 近接した周波数を用いている海外の放送局との混信がひどい。 3分の2
都市型難聴 都市部で高層建築物が増えたことにより受信しづらくなった。 2分の1

注9:radiko以外のラジオ放送のインターネット再送信サービスとしてはRadio Neo以外の都道府県域民間エフエム放送局を対象としていたLISMO WAVEと、JFN系列に属する都道府県域民間エフエム放送局38社を対象としているドコデモFM/AuDee(旧:JFN PARK)/WIZ RADIO、マルチメディア放送のi-dioのローカルチャンネル(北海道・東北・中国・四国各地方にあるJFN系列に属する都道府県域民間エフエム放送局全15社などが対象)があった。しかし、LISMO WAVEは2019年(令和元年)9月30日をもって、i-dioのローカルチャンネルは今年3月31日をもって、AuDee/WIZ RADIOは本文で触れた通り今年9月30日をもってそれぞれサービスを終了している。

注10:「現在放送中」という文言を入れたのはradikoに参加していたが廃業により脱退した民間ラジオ放送局と、radikoのサービス開始時点では存在したがradikoに参加しないまま廃業した民間ラジオ放送局が存在するためである。前者には新潟県民エフエム放送(愛称:FM PORT。新潟市中央区万代二丁目)とRadio Neoが、後者には愛知国際放送がある。

注11:青森放送ラジオ野辺地中波中継局は実は陸奥湾東部地域における青森放送ラジオの受信環境改善を目的として2000年(平成12年)1月14日に開局したものである。

注12:北海道放送テレビの新社屋での放送開始は今年10月12日の予定である。

注13:北海道放送ラジオは原則として日曜日深夜(月曜日早朝)には放送休止を入れていない。つまり、毎日終夜放送を実施しているということになる。

注14:奈良県内にはNHKの中波放送の中継局は大阪放送局(大阪市中央区大手前四丁目)の本局(ラジオ第一…堺市美原区丹上/ラジオ第二…羽曳野市郡戸〔こおず〕)が奈良県のほとんどの地域で十分受信できるため一切設置されていない。