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今年期待されること・今年注目したいこと(2019年〔平成31年〕1月3日公開)

 新年の夜(現在は元日の夜を指すが、大晦日〔おおみそか〕の夜を指す説や1月2日の夜を指す説があり、定説はない)に見る夢を初夢といい、「一富士二鷹三茄子(なすび)」というように富士山や鷹、ナスの夢(どんな夢なのだろうか…?)を見ると縁起が良いとされているようですが、そこで今回の「不定期刊・きょうのトピックス」では今年中国地方で期待されることや今年注目したいことを本サイトが対象とする分野について書いてみることに致しました。どうぞご覧下さい。

今年中に開通する可能性のある中国地方を通る道路

※ここで取り上げる道路は2018〜2019年度(平成30〜31年度(注1))に開通する可能性がある中国地方を通る道路(取り上げないものもありますがご了承願います)を国土交通省公式サイトの道路開通情報などを参考に紹介しております。また、開通が2020年(平成32年(注1))になると思われる路線は取り上げておりません。

県名 路線名称 開通予定時期 備考
鳥取県 国道9号線
鳥取西道路
(山陰自動車道)
2019年
(平成31年(注1)
夏頃
実質的に山陰自動車道の一部として建設されている国道9号線のバイパスで、鳥取西インターチェンジ(鳥取市嶋)〜青谷(あおや)インターチェンジ(鳥取市青谷町青谷)間の開通が予定されている。途中には吉岡温泉・瑞穂宝木・浜村鹿野温泉の各インターチェンジが設置されることになっている。当初は2017年(平成29年)12月17日に浜村鹿野温泉(はまむらしかのおんせん)インターチェンジ(鳥取市鹿野町乙亥正〔おつがせ〕)〜青谷インターチェンジ間が、2018年度(平成30年度)中に鳥取西インターチェンジ〜浜村鹿野温泉インターチェンジ間がそれぞれ開通することになっていたのだが、浜村鹿野温泉インターチェンジ〜青谷インターチェンジ間の開通直前に法面変状対策が必要になったことやそのために今年夏まで開通が延期されたこと、浜村鹿野温泉インターチェンジ〜青谷インターチェンジ間が開通するまで何ヶ月間か一般道路を通らざるを得なくなるため不便を強いられることから鳥取西インターチェンジ〜青谷インターチェンジ間をまとめて開通させることになった。これにより中国自動車道と鳥取県中部が自動車専用道路(注2)で結ばれることになり、京阪神方面と鳥取県中部の往来が楽にできるようになる。
島根県 国道9号線
多伎・朝山道路
(山陰自動車道)
2018年度
(平成30年度)
実質的に山陰自動車道の一部として建設されている国道9号線のバイパスで、出雲多伎(いずもたき)インターチェンジ(出雲市多伎町久村)〜大田朝山(おおだあさやま)インターチェンジ(大田市朝山町朝倉)間の開通が予定されている。途中に出入口や休憩施設を設ける予定はない。大田朝山インターチェンジでは昨年3月18日に開通した国道9号線朝山・大田道路と接続することになっているが出雲多伎インターチェンジ以東の山陰自動車道はまだ開通していないため国道9号線朝山・大田道路と同じく当分の間高速道路としては孤立することになる。また、無料で通行はできるのだが、開通区間の起点となる出雲多伎インターチェンジへは出雲市多伎町多岐/キララ多伎道の駅前交差点から県道340号多伎インター線を南東方向に進まなければならず、遠回りになると見なされてしまう恐れもはらんでいる。開通したことによる効果が発現するためには少なくとも出雲インターチェンジ(出雲市知井宮町)〜出雲多伎インターチェンジ間の早期開通が望まれるところであるが、恐らく2020年代初頭になるのではないかと思われる。
岡山県 美作・岡山道路 2019年
(平成31年)
3月24日
美作(みまさか)・岡山道路は美作(みまさか)市と岡山市、または中国自動車道と山陽自動車道を結ぶ目的で企図された地域高規格道路で、これまでに勝央ジャンクション(美作市上相〔かみや〕)〜湯郷温泉インターチェンジ(美作市位田)間と佐伯(さえき)インターチェンジ(和気郡和気町小坂)〜熊山インターチェンジ(赤磐市稗田)間が開通している。今年3月24日に開通することになったのは吉井インターチェンジ(赤磐市光木)〜佐伯インターチェンジ間と熊山インターチェンジ〜瀬戸インターチェンジ(岡山市東区瀬戸町塩納)間である。佐伯インターチェンジ〜熊山インターチェンジ間が開通したのは2006年(平成18年)2月22日のことなのでやっと南北双方に延伸される日が来たのかという思いを抱きたくなるのだが、これだけの年数が延伸にかかったところに岡山県の厳しい財政事情が垣間見える。今後は山陽自動車道との直結や湯郷温泉インターチェンジ〜吉井インターチェンジ間の開通が望まれるところではあるが2020年代初頭になると思われる前者はともかく、後者は経路の選定を巡って住民との間で悶着が起きており、いつ全線開通するのかは全く分からない状態になっている。
美作・岡山道路
瀬戸インターチェンジ
連絡道路
2019年
(平成31年)
3月24日
美作・岡山道路瀬戸インターチェンジと県道96号岡山・赤穂(あこう)線を結ぶ道路で、県道79号佐伯・長船(おさふね)線の一部になっている。美作・岡山道路は瀬戸インターチェンジが無料通行区間の最南端(注3)になるため開通後は美作市方面と岡山市方面を往来する車が多く通行することが予想される。一方で吉井川左岸を通っている県道79号佐伯・長船線の現道からはかなり離れたところに終点(岡山市東区瀬戸町鍛冶屋/JA岡山東多目的集出荷施設前交差点〔仮称〕)があるためどのような経路を通って現道に復帰するのかが注目されることになりそうである(注4)
山口県 国道491号線
長門・俵山道路
(山陰自動車道)
2018年度
(平成31年度(注1)
下関市と長門市を最短経路で結んでいる県道34号下関・長門線の最大の難所・大寧寺峠を迂回する目的で企図された道路で、長門インターチェンジ(仮称。長門市深川湯本〔ふかわゆもと〕)〜小原(こばら)インターチェンジ(仮称。長門市俵山)間の全線が開通する。国道491号線は本来は下関市と長門市油谷(ゆや)地区を結ぶ路線であり、長門・俵山道路に充てるのは妥当ではないのではないかと思う人が少なくないが、当初は美祢市を終点としていた山陰自動車道が下関市小月地区を終点とするようになったことや下関市菊川地区〜下関市小月地区間で並行する可能性が高いこと、いわゆる平成の大合併で国道491号線の終点があった大津郡油谷町(1954〜2005)は長門市の一部になったことが国道491号線を充てる理由になったものと思われる。旧長門市西端部にある長門市俵山地区(旅館に内湯がなく、公衆浴場を利用することで知られる俵山温泉があるところでもある)と長門市中心部の往来が楽になるなど期待は高いのだが、その前後の山陰自動車道の計画はまだ進んでおらず、当分の間は実質的には県道34号下関・長門線大寧寺バイパスとして活用されることになる。

鳥取西インターチェンジオフランプから撮影した建設中の山陰自動車道(国道9号線鳥取西道路)。
今夏にはこの先の区間の通行がようやくできるようになる。

今はまだ封鎖されている美作・岡山道路吉井インターチェンジ出入口。
今年3月24日にこの封鎖は解かれ、通れるようになる。

今年期待されること・今年注目したいこと

1 Jリーグ一部における中国ダービーは実現するのか

 平成時代に実現しなかった中国地方のスポーツ界における夢の一つに挙げられるのが中国地方に本拠地を置くプロサッカーチーム同士のJリーグ一部での対戦である。中国地方には現在下表の通りプロサッカーチームが四つ存在するのだが、下表で示している通りJリーグ一部に属したことがあるのはサンフレッチェ広島だけであり、記すまでもなくJリーグ一部における中国地方に本拠地を置くプロサッカーチーム同士の対戦は実現しないままになっているのである。

※プロサッカーチーム各部の正式呼称とその変遷は次の通りである。
・一部…Jリーグ(1993〜1998)→Jリーグディビジョン1(1999〜2014)→J1リーグ(2015〜)
・二部…Jリーグディビジョン2(1999〜2014)→J2リーグ(2015〜)
・三部…J3リーグ(2014〜)

本拠地
所在県
チーム名 在籍期間 備考
一部 二部 三部
鳥取県 ガイナーレ鳥取 2011〜2013 2014〜
岡山県 ファジアーノ岡山 2009〜
広島県 サンフレッチェ広島 1993〜2002
2004〜2007
2009〜
2003
2008
山口県 レノファ山口FC 2016〜 2015

 上表をご覧頂ければうかがえる通りJリーグ二部やJリーグ三部なら中国地方に本拠地を置くプロサッカーチーム同士の対戦は既に実現しているのだが、何度も記す通りJリーグ一部での中国地方に本拠地を置くプロサッカーチーム同士の対戦は未だに実現していないのである。何もJリーグ一部における日本のある地方に本拠地を置くプロサッカーチーム同士の対戦が実現していないところは中国地方だけではない(注5)のだが、実は一度だけあと一歩のところまで夢の実現が近付いたことがあった。それは2016年(平成28年)のことであった。この年6位になってJリーグ一部昇格プレーオフ進出を果たしたファジアーノ岡山は準決勝で3位の松本山雅FCには2対1で勝ったが決勝で4位のセレッソ大阪に0対1で負け、Jリーグ一部における中国地方に本拠地を置くプロサッカーチーム同士の対戦の実現はあと一歩のところで夢と消えたのである。
 それからは絶好の機会は訪れないままになっているのだが、なぜ私はJリーグ一部での中国地方に本拠地を置くプロサッカーチーム同士の対戦が実現して欲しいと思っているのか。その理由は中国地方におけるサッカーへの関心がもっと高まる契機になり得ることである。というのも、現在、中国地方に本拠地を置くプロサッカーチームに関しては次に挙げるような課題があるからである。
・広島県を放送区域とする放送局のスポーツ関連のニュースはリーグ三連覇を果たした広島東洋カープに重きが置かれるようになり、反対にサンフレッチェ広島などの他のスポーツに関しては扱いが軽くなった感が否めないこと。確かに試合数や観客動員、選手の知名度などを考えれば広島東洋カープに重きを置くのは致し方のないことではあるのだが…。
・サンフレッチェ広島に関して「○○ダービー」と言えるような注目されるような試合を経験する機会が少ないように感じられること。あったとしても広島県とは二つの橋(注6)で結ばれている愛媛県を本拠地とする愛媛FCとの対決(サンフレッチェ広島がJリーグ二部に属していた2008年〔平成20年〕にあっただけ)や、広島市と同じく第二次世界大戦末期の原子爆弾投下で多くの犠牲者を出している長崎市を本拠地とするV・ファーレン長崎との対決(サンフレッチェ広島とV・ファーレン長崎がともにJリーグ一部に属していた2018年〔平成30年〕にあっただけ)ぐらいである。
・広島県を中心とした地域で店舗を展開しているスーパーマーケット・フレスタ(広島市西区横川町三丁目)ではサンフレッチェ広島の公式戦の結果次第で値下げする商品が変わる「勝ったらセール」を開催している(注7)し、店内放送でサンフレッチェ広島の選手のコメントを流すなどしているが、最近広島東洋カープの田中広輔内野手を宣伝に起用するようになったこと。このままサンフレッチェ広島の成績低迷が続いたら「勝ったらセール」はやめてしまうのではないかと感じたくなる。
・男子サッカーの日本代表は1998年(平成10年)以降FIFAワールドカップに連続して出場しているが、サンフレッチェ広島に属する選手が出場することがあまりないこと。その時点の日本代表監督の方針もあるのだろうが…。
・Jリーグ創設当初から存在するサンフレッチェ広島はともかくとして、ガイナーレ鳥取・ファジアーノ岡山・レノファ山口FCは地域に浸透し、親しまれる存在になり切れていないのでは…と感じたくなる面があること。以前本サイトに山陽放送ラジオ(RSK、岡山市北区丸の内二丁目)がファジアーノ岡山のホームゲーム中継を入れるために山陽放送ラジオが一部分(注8)をネットしているTBSラジオ(TBS、東京都港区赤坂五丁目)制作の「爆笑問題の日曜サンデー」が休止になること(注9)について不満を持っている人がいるというようなことを記したメールが届いたことがあるのだが、そのメールからファジアーノ岡山に関して冷淡に見ている人も少なくないことを感じ取った次第である(まあ広島県でも広島東洋カープやサンフレッチェ広島に関して冷淡に見ている方は当然のことながらいることだろうが…)。
 現在のJリーグ二部に属している22チームのうち12チームがJリーグ一部を経験していること(注10)や厳しい戦いを勝ち抜いてJリーグ一部に昇格できても1年でJリーグ二部に降格するチームが少なくないこと(注11)、人口や経済力、資金などの面でどうしても大都市にあるチームに劣ることなどを考えればガイナーレ鳥取・ファジアーノ岡山・レノファ山口FCがJリーグ一部に昇格するには相当苦労しなければならないしJリーグ一部に昇格しても苦戦を強いられるのは必至であろう。排他的な考えを持つ他チームのファンから揶揄(やゆ)または侮辱するようなことを言われるかもしれない。しかし、岡山県や山口県より人口が少ない佐賀県や大分県(注12)を本拠地とするチーム、すなわちサガン鳥栖や大分トリニータがJリーグ一部で健闘していることを考えるとできないことではないように思われる。
 記すまでもなく中国地方出身のプロサッカー選手は多数いるし、年末年始に開催される全国高等学校サッカー選手権大会で注目される出場校もいくつかある上に優勝した学校もある。更にサンフレッチェ広島に選手として在籍したことのある方が多数指導者として活躍しているという現状もある。これに加えてJリーグ一部で中国地方に本拠地を置くチーム同士の対決が実現するとしたらどうだろうか。中国地方におけるサッカーへの関心は更に高まるだろうし、(いつになるかは分からないが)次に日本でFIFAワールドカップが開催される時には中国地方で開催を実現させようという声が高まるだろう(注13)。その夢は平成時代にはかなわぬ話となったが、(とやかく言う方はいるだろうが)きっと次の時代には実現するだろうと私は思っている。

2 長期通行止め区間の今後はどうなるのか

 昨年7月の梅雨末期の集中豪雨では山陽地方を中心に多くの国道路線・県道路線が被災した。それから半年近く経過した今も通行止めのままの区間は少なくない。未だに復旧できない理由としては次のようなことが挙げられる。
・地形が厳しいところであるために工法をどのようにするかが決まらない。
・復旧工事にはかなりの時間がかかる。
・復旧工事に当たって必要な人員や材料が確保できない。
・財政事情が厳しい。
・道路事情が芳しくない上に交通量が少ないために早急に復旧させる必要性が低い。
・迂回路があるので当面は復旧させる必要がない。
 道路は通れてなんぼの世界だから早急に復旧させるのが筋だとか復旧に消極的なのは容認できないという声はあるのだろうが、地方自治体の財政事情がどこも厳しい昨今、復旧に差異が付くことは致し方ない問題と化そうとしている。
 そんな中、中国地方でもかなりの年数にわたって通れなくなっている区間がいくつか生じている。現道(注14)に限ると下表の通りになる。

県名 路線名称 通行止め区間 通行止め
開始年月日
備考
起点 終点
島根県 国道488号線 益田市匹見町匹見 益田市匹見町匹見 2011年
(平成23年)
4月28日
島根県や広島県(注15)ではこの区間は通行不能区間として取り扱っている。
岡山県 県道50号北房・井倉・哲西線 新見市哲多町矢戸 新見市哲多町矢戸 2009年
(平成21年)
11月15日
県道437号下郷・惣田線 高梁市備中町平川 高梁市備中町平川 2013年
(平成25年)
12月21日

岡山県道50号北房・井倉・哲西線長期通行止め区間西側入口(新見市哲多町矢戸)。
有刺鉄線を上部に取り付けた鉄柵で何人(なんぴと)たりとも入れないようにしている。

岡山県道50号北房・井倉・哲西線長期通行止め区間東側入口(新見市哲多町矢戸)。
西側入口と違って強硬な封鎖措置はなぜかとられていない。
そのせいかここから入って無明谷を散策する人がいるらしい(看板には「関係者以外立入禁止」「歩行者も通れません」とあるのだが…)。

岡山県道50号北房・井倉・哲西線長期通行止め区間東側入口にある、交通の妨げになる駐車はしないように求める看板。
やはりその辺り(いくらか広くなっている)に駐車して無明谷を散策する方がいるのであろう。

 

新見市哲多町荻尾(おぎょう)/井戸口交差点(信号機・交差点名標なし)にある案内標識の数々。
長期通行止め区間東側入口は新見市哲多町荻尾/井戸口交差点(信号機・交差点名標なし)から300mほど南西の場所にある。
岡山県道50号北房・井倉・哲西線哲西方面(左の写真では右斜め下方向、右の写真では左斜め下方向)の行き先(無明谷と記されていた)が消されている。

 

新見市哲多町矢戸/家実(よざね)交差点(信号機・交差点名標なし)にある案内標識(写真は岡山県道33号新見・川上線新見方面用)
左の写真では判読しにくいため拡大したものが右の写真となるが右折後の行き先(井倉)が記されているのが分かる。
新見市哲多町荻尾/井戸口交差点(信号機・交差点名標なし)付近の案内標識と同じく右折後の行き先は消すべきものなのだが…。

岡山県道437号下郷・惣田線の長期通行止め区間西側入口(高梁〔たかはし〕市備中〔びっちゅう〕町平川)。
現在は高梁市備中町平川/新成羽川ダム南入口交差点(信号機・交差点名標なし)のそばにある。
長期通行止め開始時点ではもう600mほど先まで進めたことが2014年(平成26年)1月撮影の「Googleストリートビュー」からうかがえる。
なぜ長期通行止め区間が起点側へ延伸されたかは定かではない(昨年夏の集中豪雨の影響だろうか)。
バリケードの脇にある「通行止」の看板の褪色(たいしょく)が時間の経過を物語っている。

岡山県道437号下郷・惣田線の長期通行止め区間西側入口(高梁市備中町平川)

岡山県道437号下郷・惣田線の終点となる高梁市備中町平川/惣田交差点(信号機・交差点名標なし)の脇にある通行止めを知らせる看板。
岡山県道437号下郷・惣田線の長期通行止め区間西側入口には通行止めの理由は「崩土」とあったがこちらは「落石」となっている。

 

岡山県道437号下郷・惣田線が終点で接続する岡山県道33号新見・川上線にある案内標識(左:川上方面用/右:新見方面用)。
岡山県道437号下郷・惣田線の行き先(下郷)は消されないままになっている。

 これらの区間には次に挙げるような共通点がある。
・道路事情が芳しくない。
・交通量が少ない。
・地形が険しい。
・異常気象時通行規制区間に指定されている。
・改良しようにも自然景観・生態系の保全や費用対効果の低さ、工法の難しさ、財政事情の悪化などが課題になって積極的に動くことができない。
・過去に何度も災害に遭っている。
・一応迂回路はある。
・沿線に主要施設がないかそれがあったとしても別の道路を通って行けるようになっている。
・沿線に人が住んでいるところはない。
 確かに復旧させたは良いが数ヶ月後集中豪雨や台風でまた通行止めにせざるを得なくなったとかその道を通っていた車が落石や土砂崩落に巻き込まれて死傷者を出すとかいうようなことがあったら道路管理者としてはたまったものではないであろう。復旧費用や賠償金、慰謝料、見舞金などを出さなければならなくなり、ただでさえ厳しい財政事情を更に困窮させてしまうかもしれないからである。半永久的に通行止めにするという措置はその点からも理解できることではあるのだが、そこで私は考える。長期通行止め区間を再び通れるようにするかどうかは別として何らかの方法で復旧させることはできないのだろうかということを。それをここからは考えていくことにしたい。

 私が考える前記3路線の長期通行止め区間解消方法は下表の通りである。

路線名称 方法
国道488号線 迂回路になっている島根県道42号吉賀・匹見線や三坂・八郎林道を区域に編入する。
岡山県道50号北房・井倉・哲西線 迂回路になっている岡山県道33号新見・川上線や阿新広域農道を区域に編入する。
岡山県道437号下郷・惣田線 現道に防災対策を施すとともに最低限普通自動車同士のすれ違いができる道幅に改良する。

 つまり、迂回路を編入するか現道に改良を加えて復旧させるかのどちらかということである。ここからはなぜ方法を分けたのか、そして課題としては何があるのかを路線ごとに説明することにしたい。

(国道488号線の場合)

 国道488号線の長期通行止め区間の現道復旧が妥当ではないと考える理由は次の通りである。
・長期通行止め区間は西中国山地国定公園の範囲に含められている裏匹見峡に沿っており、防災工事や改良工事は自然景観を破壊する恐れがあること。
・長期通行止め区間は異常気象時通行規制区間に指定されていることでもうかがえるように落石や土砂崩落の危険性が高いこと。
・長期通行止め区間は自動車同士のすれ違いも大型車の通行も難しいこと。
・2016年(平成28年)5月4日に島根県邑智(おおち)郡邑南(おおなん)町戸河内(とがうち)の島根県道/広島県道7号浜田・作木線で斜面を転がり落ちてきた岩がそこを通っていた軽自動車を直撃する事故(死傷者2人)が起きており、島根県では人命・財産に被害を与える災害に対して一層神経質になっていること(注16)

道の駅インフォメーションセンターかわもと(島根県邑智郡川本町因原)に貼られていた、落石・倒木・陥没を見つけた際に連絡することを促したチラシ。
作成者は大田(おおだ)市・邑智郡を管轄区域とする島根県県央県土整備事務所(島根県邑智郡川本町川本)である。
恐らく管轄区域内の島根県道/広島県道7号浜田・作木線で起きた落石事故を受けて作成されたチラシであろう。

 この状況では国道488号線は益田市匹見町匹見で途切れたままになるわけであるが、そこで着目したのが益田市匹見地区と廿日市(はつかいち)市吉和地区を結ぶもう一つの道路である三坂・八郎林道である。この三坂・八郎林道は益田市匹見町紙祖/三坂橋西詰交差点(信号機・交差点名標なし)で島根県道42号吉賀・匹見線から分かれ、島根・広島県境を三坂八郎トンネル(延長:350m)で越えて廿日市市吉和/八郎橋南詰交差点(信号機・交差点名標なし)で国道488号線に合流する道路であるが、上下1車線であることや落石・土砂崩落の危険性はあること、積雪期は閉鎖されることといった問題点はあるものの益田市匹見地区と廿日市市吉和地区を往来する際に通る方が少なくないのだという。この三坂・八郎林道と益田市匹見町紙祖/三坂橋西詰交差点(信号機・交差点名標なし)益田市匹見町匹見/益田広域消防本部匹見分遣(ぶんけん)所前交差点(終点。信号機・交差点名標なし)間の島根県道42号吉賀・匹見線を国道488号線に編入し、国道488号線の分断を解消しようというわけである。現に益田市公式サイトを見ると三坂・八郎林道を国道488号線に編入して分断を解消しようという動きが起きていることがうかがえる。
 並行して通る林道を国道路線に編入して国道路線の通行不能を解消した例は過去には群馬県多野郡上野村の国道299号線(国道462号線重用。黒川林道を編入)や奈良県吉野郡上北山村〜奈良県吉野郡天川村間の国道309号線(行者還林道を編入)があり(注17)、話は早いように思えるのだが、今のところ三坂・八郎林道の国道488号線への編入は実施されないままになっている。なぜ実現しないままになっているのかを挙げると次の通りになるのではないかと思われる。
・そもそも益田市匹見地区〜廿日市市吉和地区間の交流は盛んであるとは言い難いこと。
・三坂・八郎林道も標高1,000m以上のところを通っていることから年中通れる状況にはないこと。
・三坂・八郎林道の最高地点は実は国道488号線の最高地点より60mほど高いこと。
・島根県は邑智郡邑南町戸河内の島根県道/広島県道7号浜田・作木線での落石事故以来災害の危険性の高い道路に対して神経質になっていること。
・三坂・八郎林道は広島県(廿日市市)に跨っていることから広島県や廿日市市も積極的に動くべきなのだがそれが見えないこと。
・区域変更により長期通行止め区間を含めた部分を国道路線から外すことはその部分の道路整備に当たって国から補助が出なくなることであり、島根県や益田市の財政負担が重くなる恐れがあること。
・分断状態を続けることは島根県(益田市)から見て長期通行止め区間の向こうにある広見集落(益田市匹見町匹見。現在は無人だが建物がいくつか残っている)に行くには広島県(廿日市市)を経由せざるを得なくなることであり、そのことに対して抵抗感を持つ方が少なくないこと。
・長期通行止め区間は(いつから自動車が通れるようになったのかは分からないが)広島県道305号/島根県道186号上吉和・匹見線(1960〜1972。路線名称は廃止当時のものを記載)→島根県道/広島県道4号益田・廿日市線(1972〜1993。路線名称は廃止当時のものを記載)→国道488号線(1993〜)という変遷をたどってきた道であり、益田市道や廿日市市道に再編されることに対して抵抗感を持つ方が少なくないこと。
・(現在は候補路線の段階なのだが)地域高規格道路として益田・廿日市道路が企図されており、それを整備すれば良いという方が少なくないこと。
 益田市匹見地区〜廿日市市吉和地区間の交流は盛んであるとは言い難いしかなりの高所を通ることから高規格の道路を作る必要も年中通れるようにする必要もないわけであるが、やはりカギは広島県や廿日市市がどのようにとらえているかではないのだろうか。恐らく広島県や廿日市市との調整が付かない限りは三坂・八郎林道の国道488号線への編入は実現しないのではないかと思われるのだが果たしてどうなのだろうか。

(岡山県道50号北房・井倉・哲西線の場合)

 岡山県道50号北房・井倉・哲西線の長期通行止め区間の現道復旧が妥当ではないと考える理由は次の通りである。
・貴重な植物が生育している無明谷を通っていることから防災工事や改良工事は生態系を破壊したり植物の絶滅を招いたりする恐れがあること。

 

無明谷に関する石碑(左の写真)と看板(右の写真)。
看板は長期通行止め規制が始まって間もない頃に設置されたことがうかがえる。

・長期通行止め区間は異常気象時通行規制区間に指定されていることでもうかがえるように落石や土砂崩落の危険性が高いこと。
・長期通行止め区間は自動車同士のすれ違いも大型車の通行も難しいこと。
 この状況では岡山県道50号北房・井倉・哲西線は新見市哲多町矢戸で途切れたままになるわけであるが、そこで着目したのが新見市哲多町荻尾/井戸口交差点(信号機・交差点名標なし)で岡山県道50号北房・井倉・哲西線から分岐する阿新広域農道である。この阿新広域農道は岡山県道50号北房・井倉・哲西線井倉方面とは直接接続していることや全線が上下2車線で整備されていることといった特色を持っており、岡山県道50号北房・井倉・哲西線の長期通行止め区間の迂回路としての役割を果たしている(注18)。 岡山県では広域農道に経路を変更して改良を果たした県道路線がいくつかあること(注19)や(こちらをご覧頂ければうかがえるのだが)阿新広域農道の大半の部分は岡山県道50号北房・井倉・哲西線を改良して整備することになっていることを考えれば新見市哲多町荻尾/井戸口交差点(信号機・交差点名標なし)新見市哲多町老栄(おいざこ)/吉清口交差点(信号機・交差点名標なし)間の阿新広域農道を岡山県道50号北房・井倉・哲西線に編入することは実施されても何の不思議もないことになる。
 また、最近中国地方では迂回路となっている市町村道などを区域に編入して県道路線の通行不能を解消する例(注20)がいくつか見られている。こうなれば新見市哲多町荻尾/井戸口交差点(信号機・交差点名標なし)新見市哲多町老栄(おいざこ)/吉清口交差点(信号機・交差点名標なし)間の阿新広域農道を岡山県道50号北房・井倉・哲西線に編入して岡山県道50号北房・井倉・哲西線の分断状態を解消することはすぐにでもできそうなことではあるのだが、通行止め規制がかけられてから10年近くが経過しようという今日になってもその動きは起きないままになっている。なぜ実現しないままになっているのかを挙げると次の通りになるのではないかと思われる。
・岡山県道50号北房・井倉・哲西線は新見市南部を東西に貫く道路ではあるが、交通量は少ないこと。
・そもそも岡山県道50号北房・井倉・哲西線が通る地域相互間の交流は盛んであるとは言い難いこと。
・(こちらをご覧頂ければうかがえるのだが)阿新広域農道の大半の部分は岡山県道50号北房・井倉・哲西線を改良して整備することになっているのだがそれが進展していないこと。
・岡山県道50号北房・井倉・哲西線は真庭市北房地区と新見市哲西地区を結ぶ幹線道路とされてはいるが未改良箇所が多いことやあえて遠回りしている箇所があることなどから発足から半世紀近く経った今になっても有用な幹線道路にはなり得ていないこと。
・区域変更により長期通行止め区間を含めた部分を主要地方道路線から外すことはその部分の道路整備に当たって国から補助が出なくなることであり、岡山県や新見市の財政負担が重くなる恐れがあること。
新見市哲多町荻尾/井戸口交差点(信号機・交差点名標なし)新見市哲多町老栄(おいざこ)/吉清口交差点(信号機・交差点名標なし)間の阿新広域農道を岡山県道50号北房・井倉・哲西線に編入すると別の経路より遠回りになること(注21)
・無明谷は知名度こそ低いが新見市の名所の一つになっており、現道の復旧を求める声が少なくないこと(注22)
・岡山県では県道路線の通行不能区間を近隣にある迂回路を編入して解消した例が未だに存在しない(注23)し、積極的になっていないこと。
・阿新広域農道を区域に編入しても無明谷付近の長期通行止め区間も岡山県道50号北房・井倉・哲西線の区域のままにして欲しいという声がある(注24)が岡山県側が否定的な見解を示しているために議論が行き詰まっていること。
・仮に今後岡山県道50号北房・井倉・哲西線の改良が進んでも交通量は多くなる見込みはない上に新見市中心部からかなり離れたところを通っているために新見市としては全くと言って良いほどこの問題に対して関心を示していないこと。
 恐らく岡山県道50号北房・井倉・哲西線を岡山県と新見市がどのように位置付けているのかということと、貴重な植物が生育している無明谷付近の現道の取り扱いをどのようにするかということがこの問題をどのようにするかを決めるカギになるのではないかと思うのだが果たしてどうなのだろうか。

(岡山県道437号下郷・惣田線の場合)

 岡山県道437号下郷・惣田線は国道488号線や岡山県道50号北房・井倉・哲西線とは異なって現道を復旧させ、なおかつある程度の改良を施したほうが妥当だと考えている。その理由は次の通りである。
・岡山県道437号下郷・惣田線が通過する地域、すなわち高梁市備中町平川で完結する迂回路は存在しないこと(注25)
・岡山県道437号下郷・惣田線は大きく北に迂回して高梁市備中町平川字下郷と高梁市備中町平川字惣田を結ぶ路線であるが、落石・土砂崩落危険箇所を回避することや高梁市備中町平川字下郷と高梁市備中町平川字惣田を短絡することを目的とした大規模な改良(トンネルを掘るなど)は費用対効果が見込めないことや高低差が著しいことなどから現実的ではないこと。
・岡山県道437号下郷・惣田線は狭い上に急な屈曲箇所をいくつも擁する岡山県道/広島県道106号布賀・油木線や高梁市道浅柄線を補佐する目的で6期24年の長きにわたって岡山県知事を務めた長野士郎(1917〜2006。知事在任期間:1972〜1996)が展開した市町村道の県道路線昇格政策(注26)で発足した路線であり、岡山県はこの路線の整備や維持に対して責任を完遂すべきだと考えること。
・岡山県道437号下郷・惣田線の起点がある高梁市備中町平川字下郷―平川郷地区と称する―は1999年(平成11年)に陥没事故が起きたことで知られているが、緊急車両やテレビ局の中継車などが現地に向かう際に道が狭いことや急な屈曲があることなどで難渋した可能性があること。
・岡山県道/広島県道106号布賀・油木線は平川郷地区に入ると上下2車線になり、その道幅のまま広島県神石郡神石高原町安田で国道182号線(国道314号線重用)に突き当たるため広島県側へのストロー効果(ストロー現象とも称する)が起きる可能性が高いこと。
・(交流や需要はあまりないが)岡山県道437号下郷・惣田線は新見市〜福山市間の最短経路の一つになり得ること。
 いくら岡山県道/広島県道106号布賀・油木線や高梁市道浅柄線を補佐する目的で岡山県道437号下郷・惣田線を発足させたとしても交通量は少ないことや大規模な土木事業を必要とすることから全線を上下2車線化することは現実的ではない。そこで考えられるのが普通自動車同士のすれ違いには難渋しないほどの道幅にすることである。実は岡山県道437号下郷・惣田線のうちの異常気象時通行規制区間に指定されていない部分(高梁市備中町平川/魚切橋北詰交差点〔信号機・交差点名標なし〕以南の区間)は普通自動車同士のすれ違いには難渋しないほどの道幅になっているのである(注27)。その道幅を全線に拡大し、併せて防災工事も施せば良いのではないかというのである。もしそれが実現すれば岡山県道437号下郷・惣田線は平川郷地区と岡山・倉敷・高梁・新見方面を結ぶ重要な幹線道路として有用になるし、平川郷地区で何らかの災害が起きた時には岡山県や高梁市、岡山県に本社または拠点を置く報道機関は迅速な対応をとれるようになるのではないかと考えたいのである。
 しかし、現時点で岡山県道437号下郷・惣田線の復旧も整備も全く手付かずのままになっている。その理由を挙げると次の通りになる。
・普通自動車同士のすれ違いには難渋しないほどの道幅にするとしてもその延長は6kmにも及び、費用や時間がかなりかかること。
・岡山県道437号下郷・惣田線の長期通行止め区間は成羽川のそばまで山が迫っているところにあり、拡幅工事だけでも相当な手間がかかること。
・岡山県道437号下郷・惣田線の長期通行止め区間は成羽川のそばまで山が迫っているところにあり、更に異常気象時通行規制区間に指定されているため復旧させても災害で通行止めになる可能性が高いこと。
・島根県邑智郡邑南町戸河内の島根県道/広島県道7号浜田・作木線で起きた落石事故(死傷者2人)を契機に災害が起きる危険性がある道は復旧させるのは妥当ではないし復旧させた後で人命・財産に被害が及ぶ事故が起きるのは勘弁して頂きたいと岡山県は考えるようになったこと。
・岡山県道437号下郷・惣田線の長期通行止め区間は高梁川上流県立自然公園の中にあり、景観を大きく変える拡幅工事は困難を極めること。
・岡山県道437号下郷・惣田線の沿線には人家はほとんどないことから通行止めの早期解消を求める声は全くと言って良いほど上がっていないこと。
・狭い上に急な屈曲箇所をいくつも擁するとしても岡山県道/広島県道106号布賀・油木線や高梁市道浅柄線が常用されていることから岡山県道437号下郷・惣田線の長期通行止めに対して関心を持つ方がほとんどいないこと。
・岡山県道437号下郷・惣田線は高梁市中心部からかなり離れたところを通っていることから高梁市としても全くと言って良いほど長期通行止め状態になっていることについては何も関心を持っていないこと。
・岡山県としては改良は先延ばしして現状のまま復旧させることを考えているが、財政事情が厳しいために費用対効果が見込めない岡山県道437号下郷・惣田線の復旧は見合わせていること。
 狭い上に急な屈曲箇所をいくつも擁する岡山県道/広島県道106号布賀・油木線や高梁市道浅柄線を補佐する目的で発足した路線が災害の危険性が高いことを理由に微妙な立場に置かれていることがどうかと思うのだが、私として考えたくないのは有用な路線にはなり得ないことを理由に岡山県が岡山県道437号下郷・惣田線を廃止して高梁市に移管することや長期通行止め区間の供用を廃止すること(注28)を打ち出すことである。まあもし岡山県がそのような態度に出るとしたら財政規模が小さい高梁市に負担を強いることになるし沿線住民の感情を損ねることになるので反対の声が上がることだろうが、やはり岡山県は岡山県道437号下郷・惣田線を今後どのようにするのか方針を示すべきではないのだろうか。このまま放置することは致し方ないと思う反面責任放棄にしか見えないし、道路が抱く尊厳・矜持(きょうじ)を損ねることでもあるのだから…。

 これらの長期通行止め規制の問題が今後どうなっていくかは分からない。一般市民の安全を確保したいことや面倒なことに巻き込まれたくないこと、厳しい財政事情の中で費用対効果が見込めないことには手を付けたくないこと、復旧させるのは困難が伴うのでなるべくなら手を出したくないといった道路管理者側の思惑を考えれば今後も続く可能性が高いと言えるのだが、次に挙げる問題はどのように考えるのだろうか。
・いわゆる平成の大合併で長期通行止め区間のある市町村の中心(市役所または町村役場)が遠くに離れてしまい、長期通行止め区間のある地域の存在感や発言力が低下したこと(下表参照。なお、下表で記している直線距離は地図サイト「MapionBB」のキョリ測を用いて測定したものである)。

路線名称 平成の大合併
実施前の
所属自治体名
町役場からの
直線距離
(単位:km)
平成の大合併
実施後の
所属自治体名
市役所からの
直線距離
(単位:km)
備考
国道488号線 美濃郡匹見町 3.4〜6.6 益田市 22.8〜25.5 起点側が美濃郡匹見町役場→益田市役所に近い。
岡山県道50号北房・井倉・哲西線 阿哲郡哲多町 4.7〜5.1 新見市 8.8〜9.6 起点側が阿哲郡哲多町役場→新見市役所に近い。
岡山県道437号下郷・惣田線 川上郡備中町 3.6〜6.2 高梁市 17.2〜19.9 終点側が川上郡備中町役場→高梁市役所に近い。

・安全志向や事なかれ主義が蔓延(まんえん)していること。
・多額の費用をかけたくないという意識が強まっていること。
・長期間通行止めにしていることに対して批判的な意見が出る可能性があること。
・迂回路を区域に編入する姿勢を見せないなど道路行政の硬直化が顕著になっていること。
・同じような環境にあるのにきちんと復旧を果たしている国道路線または都道府県道路線があること(注29)を考えれば長期通行止め規制に対して理不尽な感情を抱く方が出る可能性があること。
・(本サイトはそういう主張は一切行わないことをお断りした上で書くのだが)道路系サイトやインターネットの掲示板などで沿線住民の感情を害するようなことを書く方が出る可能性があること。
 島根県や岡山県にしてみれば長期通行止め区間は中心部(県庁)から遠く離れたところにある、関心や重要性、費用対効果が低い問題ではある。しかし、元々通れた道を災害の危険があるとしてある日突然封鎖し、いつどのようにしたら復旧させるのかも示さず、近隣に迂回路があるのにその迂回路を編入しようともせず放置していることはどうなんだろうと思いたくなる。これが更に続き、もう復旧もかなわないほど荒れ果てる状態になってしまうこと、更に長期通行止め区間の供用廃止や(該当するのは高梁市で完結する岡山県道437号下郷・惣田線だけだが)県道路線の認定解除(廃止→通過自治体への移管)を断行することは考えたくないことであるが、やはり島根県や岡山県はこの問題についてきちんと説明責任を果たし、時間はかかっても良いから何らかの形で復旧させることが求められるところである。どの路線も島根県や岡山県にとっては扱いは軽い存在かもしれないが有用な幹線道路になり得る存在なのだし…。

3 エフエム山陰と岡山エフエム放送は今後どのように動くのか

 昨年は中国地方における民間中波放送局のエフエム補完放送の整備が一段落した年となった。3月21日には山陽放送ラジオが岡山エフエム中継局(岡山市南区郡)を開局させたことにより中国地方にある民間中波放送局全4社がエフエム補完放送を実施するようになったし、更に10月1日には山陰放送ラジオ(BSS、米子市西福原一丁目)が松江エフエム中継局(松江市枕木町)を開局させたことにより島根県でも民間中波放送局のエフエム補完放送(注30・注31)が楽しめるようになった。中国放送ラジオ(RCC、広島市中区基町)や山口放送ラジオ(KRY、周南市徳山)もエフエム補完中継局の設置を進めており、山口放送ラジオは日本で最も中継局の多い民間中波放送局になった(注32)
 まあ民間中波放送局がエフエム補完放送を推進するのはどうなのかなという声もあるのだが、民間中波放送局によるエフエム補完放送推進の一方で問題になってくるのはほとんどの地域で対抗関係にある都道府県域民間エフエム放送局(注33)にどのような影響を及ぼすのかということである。というのも、中国地方にある都道府県域民間エフエム放送局では対抗関係にある民間中波放送局のエフエム補完放送が始まった後自社制作のワイド番組―ここでは生放送でなおかつ放送時間が1時間を超える番組とする―を大幅に改編するという動きが見られたからである。どのような状況だったのかを記すと下表の通りになる。

放送局名 実施時期 概要
エフエム山口
(FMY、山口市緑町)
2015年
(平成27年)
12月1日
月曜日〜金曜日の朝の自社制作のワイド番組「Morning Street」(2008〜2015年〔平成20〜27年〕放送)を打ち切り、ともに自社制作の「PURE Morning」(現在も放送中)と「Joyous(ジョイアス)!」(2015〜2016年〔平成27〜28年〕放送(注34))を設定した。
・月曜日〜木曜日の午後の自社制作のワイド番組「Daytime Street」(2009〜2015年〔平成21〜27年〕放送)とジャパンエフエムネットワーク(JFNC、東京都千代田区麹町一丁目)制作の「News Delivery-Evening Edition-」(2010〜2016年〔平成22〜28年〕放送)を打ち切り、ジャパンエフエムネットワーク制作の「face」(2013〜2016年〔平成25〜28年〕放送(注35))のネットを開始し、更に自社制作の「coziness」(現在も放送中)を設定した。
・金曜日の午後の自社制作のワイド番組「FRIDAY Bang! Bang! Highway」(2010〜2015年〔平成22〜27年〕放送)を打ち切り、同じく自社制作の「はっぴーはっぴーフライデー」(注36)を設定した。
広島エフエム放送
(HFM、広島市南区皆実町一丁目)
2017年
(平成29年)
4月
・月曜日〜木曜日の朝の自社制作のワイド番組「MORNING ALIVE」(2005〜2017年〔平成17〜29年〕放送)を打ち切り、後番組として「GOOD JOG」と「GOOD JOG+」を設定した。
・月曜日〜木曜日の午後の自社制作のワイド番組「DAYS!」(2014〜2017年〔平成26〜29年〕放送)を打ち切り、後番組として「DAYS!?〜35thEDITION〜」
(注37)を設定した。
月曜日〜木曜日の夕方の自社制作のワイド番組「5COLORS」(2013〜2017年〔平成25〜29年〕放送)を打ち切り、長年続いてきた平日夕方の自社制作のワイド番組枠を廃止した。
月曜日〜木曜日の夜の若年者向け自社制作のワイド番組「大窪シゲキの9ジラジ」の放送時間を1時間から2時間に拡大した。
・金曜日の朝の自社制作のワイド番組「MORNING ALIVE friday!」(2015〜2017年〔平成27〜29年〕放送)を打ち切り、後番組として「GOOD JOG FRIDAY」を設定した。
・金曜日の午後の自社制作のワイド番組「皆実町マルシェ」の出演者が俊山真美(元エフエム山口アナウンサー)からキムラミチタと廣瀬桃子(廣瀬純広島東洋カープ外野守備・走塁コーチ夫人)に交代し
(注38)、なおかつ放送時間を2時間25分から3時間30分に拡大した。
・金曜日の夕方の自社制作のワイド番組「庄司悟のカウントダウン魂」の放送時間を3時間30分から3時間に短縮した(「皆実町マルシェ」の放送時間拡大が理由)。
・自社制作のワイド番組で一切異動がなかったのは金曜日の昼に放送されている「柏村(かしむら)武昭のだんRUNラジオ」だけであった。

 なぜ広島エフエム放送(HFM、広島市南区皆実町一丁目)とエフエム山口(FMY、山口市緑町)はこれほどまでに大規模な番組改編を実施したのか。広島エフエム放送は開局35周年の節目を、エフエム山口は開局30周年の節目をそれぞれ迎えたこともあったのだが、それより大きいのはやはり対抗局となる中国放送ラジオと山口放送ラジオがエフエム補完放送に乗り出したことで危機感を抱くようになったことではないかと考えている。
 広島エフエム放送とエフエム山口が大規模な番組改編を実施するまでに中国放送ラジオ・山口放送ラジオが開局させたエフエム中継局はどちらも2箇所であり、更にどちらも1箇所ずつエフエム中継局を設置することが決まっていた。それらのエフエム中継局の電波を受信できる地域にある広島エフエム放送とエフエム山口の中継局はいくつあるのか。それは次の通りである。
・中国放送ラジオ広島エフエム中継局(広島市南区黄金山町)…広島・五日市・可部・呉・西条・佐東
・中国放送ラジオ福山エフエム中継局(福山市千田町千田)…尾道・福山・府中
・中国放送ラジオ久井エフエム中継局(広島県世羅郡世羅町小世良(注39))…世羅甲山
・山口放送ラジオ周南エフエム中継局(防府市牟礼)…山口・山口鴻ノ峯・宇部・下関・柳井
・山口放送ラジオ美祢エフエム中継局(美祢市伊佐町伊佐)…美祢
・山口放送ラジオ長門エフエム中継局(長門市日置上〔へきかみ〕)…長門
 何と広島エフエム放送は13局中10局が、エフエム山口は11局中7局が民間中波放送局のエフエム中継局の電波の届くところに中継局を置いているということになる。更に民間中波放送局のエフエム中継局の電波の届くところは広島市・尾道市・呉市・廿日市市・東広島市・福山市・山口市・宇部市・下関市・周南市・防府市と10万人以上の人口を持つ都市がいくつもあるところである。つまり、中継局数と人口という二つの面で放送区域の大半を占める地域で広島エフエム放送とエフエム山口は同じ土俵に乗ってきた民間中波放送局と対決しなければならなくなったというわけである。受信環境改善を目的として民間中波放送局がエフエム補完放送に乗り出したことで既存の都道府県域民間エフエム放送局が苦しい立場に追い込まれることは初めから目に見えていたことではあるのだが、そこで気になるのが山陰放送ラジオに相対するエフエム山陰(愛称:V-air。松江市殿町)と、山陽放送ラジオに相対する岡山エフエム放送(岡山市北区中山下一丁目)の動向である。
 エフエム山陰・岡山エフエム放送とも下表に示す通りかなり厳しい環境に置かれた放送局である。

放送局名 内容
エフエム山陰 ・鳥取県・島根県の人口の少なさや経済基盤の脆弱さなどが理由(注40)で都道府県域民間エフエム放送局としては初めて複数の都道府県を放送区域とした放送局として開局することになった。
・中国地方で最も広い放送区域を持つ
(注41)にもかかわらず開局した時松江・鳥取・浜田にしか中継局を設置しなかった(注42)
・現在でも鳥取県の日野郡や島根県の飯石(いいし)郡・鹿足(かのあし)郡・仁多郡には中継局が設置されないままになっているなど受信できない地域が少なくない。
岡山エフエム放送 ・周波数割り当ては1984年(昭和59年)になされていたが496もあった申請者の一本化が手間取り、開局が20世紀末までずれ込んだ。
・バブル景気終焉後の長期不況の中にあり、なおかつインターネットが急激に普及していたという、ラジオ業界にとっては逆風が吹き荒れていた時期に開局した。
・岡山県は大阪府・兵庫県・広島県・香川県・愛媛県にある都道府県域民間エフエム放送局が十分受信できるところであり、自社制作番組が充実しているこれらの放送局と対抗せざるを得なくなった。
・開局した時既に岡山市北区と倉敷市にコミュニティ放送局が開局しており、これらの放送局と対抗せざるを得なくなった。
・上記の事情から自社制作番組の充実が図れないという状況がある。
・現在では安定しているが、開局から数年間は自社制作番組の入れ替わりが激しかった。
・開局時点から全く中継局が増えていない。
・中国地方にある都道府県域民間放送局で唯一未だに専用郵便番号を導入していない。
エフエム山陰・
岡山エフエム放送
共通事項
・どちらも独自の社屋を持っていない(注43)
・radikoには未だに参加していない。

 そういう中で山陰放送ラジオと山陽放送ラジオのエフエム補完中継局が整備されたわけであるが、それらのエフエム中継局の電波を受信できる地域にあるエフエム山陰と岡山エフエム放送の中継局はいくつあるのか。それは次の通りである。
・山陰放送ラジオ鳥取エフエム中継局…鳥取
・山陰放送ラジオ松江エフエム中継局…松江
・山陽放送ラジオ岡山エフエム中継局…岡山・笠岡・児島・備前
 エフエム山陰は10局中2局、岡山エフエム放送は9局中4局が民間中波放送局のエフエム中継局の電波の届くところに中継局を置いているということになる。局数の割合からすれば広島エフエム放送・エフエム山口よりは少ないということにはなるのだが、民間中波放送局のエフエム中継局の電波の届くところは鳥取市・米子市・松江市・出雲市・岡山市・倉敷市と10万人以上の人口を持つ都市がいくつもあるところである。鳥取県・島根県・岡山県の人口集中地帯がそのまま民間中波放送局のエフエム中継局の電波の届くところであり、民間中波放送局と同じ土俵に乗っているところとなることを考えるとエフエム山陰や岡山エフエム放送にとっては脅威になることは想像に難くない。
 そこで現在のエフエム山陰と岡山エフエム放送の自社制作のワイド番組の状況について触れることになるのだが下表の通りになる。

放送局名 題名 番組開始年 放送日時 備考
曜日 時間
エフエム山陰 ガッツdaレディオ! 2009年
(平成21年)
月〜水 午後4時〜午後6時55分
午後4時〜午後6時25分
ぷれぜんGOLD 2014年
(平成26年)
午前8時30分〜午前11時
ちぇけら♪FRIDAY♪ 2017年
(平成29年)
午後3時〜午後4時25分 月曜日〜木曜日の午前10時30分〜午前11時に放送されている自社制作の情報番組「ちぇけら♪」の金曜日版。
おがっちのレトロ本舗 2009年
(平成21年)
午後5時5分〜午後7時 番組は2000年(平成12年)に始まったのだが当初は55分間の録音番組だった。よって番組開始年はワイド番組化した年を書いている。
岡山エフエム放送 Fresh Morning OKAYAMA 1999年
(平成11年)
月〜金 午前7時30分〜午前10時 開局当初から続いている番組。
TWILIGHT PAVEMENT 1999年
(平成11年)
月〜木 午後5時〜午後8時 開局当初から続いている番組。
牛嶋俊明ドリームファクトリー 2008年
(平成20年)
午後1時30分〜午後3時55分
Weekend Paradise 2013年
(平成25年)
午後4時〜午後6時30分 2018年(平成30年)暮れまでの放送時間は金曜日午後4時〜午後7時だった(注44)

 上表から次に挙げる特徴がうかがえるのではないのだろうか。

放送局名 特徴
エフエム山陰 月曜日〜木曜日の午前中に自社制作のワイド番組を設定していない。
・反対に金曜日には自社制作のワイド番組をいくつも設定している。
・10年以上続いている自社制作のワイド番組がない。
岡山エフエム放送 ・開局当初から続いている自社制作のワイド番組が二つもある。
・10年以上続いている自社制作のワイド番組が三つもある。
・金曜日は自社制作のワイド番組をいくつも設定している。

 岡山エフエム放送は10年以上続いている自社制作のワイド番組が複数ある(しかも「Fresh Morning OKAYAMA」と「TWILIGHT PAVEMENT」は喋り手や放送時間の異動はあったが開局時から続いている番組である)のに対し、エフエム山陰は月曜日〜木曜日の午前中に自社制作のワイド番組を設定していない、10年以上続いている自社制作のワイド番組がない(今春の改編を乗り切れば10年を超えるものは二つあるが…)といった特徴があるのだが、なぜそのようになっているのか。考えられる要因は次の通りである。
・エフエム山陰の対抗局となる山陰放送ラジオはエフエム山陰とは違って山間部には全く中継局を設置していないが、自社制作のワイド番組は好調であること。
・山陰放送ラジオは正午前後には自社制作のワイド番組は設定していないが、そこには中国地方随一の長寿番組である邦楽リクエスト番組「音楽の風車」を入れていること。
・山陰放送ラジオ・エフエム山陰の放送区域である鳥取・島根両県は少子・高齢化が著しいところであるためどうしても山陰放送ラジオの聴取率が高くなる傾向があること。
岡山エフエム放送の対抗局となる山陽放送ラジオは最近長く続く自社制作のワイド番組に恵まれていないこと。
・最近長く続く自社制作のワイド番組に恵まれていないこともあってか山陽放送ラジオの自社制作のワイド番組は最近radiko参加時に月曜日〜金曜日朝のワイド番組を刷新したり
(注45)サテライトスタジオを設けてそこから生放送を行ったり(注46)するなど試行錯誤を続けていること。
・岡山エフエム放送の自社制作のワイド番組の喋り手は経験豊富な方が多いこと
(注47)
・岡山エフエム放送はかなり厳しい状況の中で開局したことから自社制作のワイド番組の編成に関しては少数精鋭で行きたいという方針があること
(注48)
 
正直な考えを記せば私はたとえ対抗する民間中波放送局がエフエム補完放送を開始し、都道府県域民間エフエム放送局と同じ土俵に乗ってきたとしても自らを貫けば良いと考えている。その良い例が岡山・広島・山口各県の瀬戸内海沿岸部で受信できるエフエム愛媛(松山市竹原町一丁目)である。エフエム愛媛は自社制作番組が多い一方でJFN系列に属する都道府県域民間エフエム放送局では唯一終夜放送を実施していないことで知られているが、その状況は対抗局の南海放送ラジオ(RNB、松山市本町一丁目)が愛媛県各地へのエフエム中継局設置を積極的に進めるようになった今でも変わらない。エフエム愛媛が終夜放送を実施しないことに対する苦情は少なくないというのだが、もしエフエム愛媛が対抗局となる南海放送ラジオが愛媛県内各地にエフエム中継局設置を積極的に進めていることに触発されて終夜放送の開始など対抗策を打ったとしたら恐らく次に挙げる問題が起きるのではないのだろうか。
・終夜放送を行うための費用を捻出するために自社制作番組の整理を行わざるを得なくなる。
・打ち切った自社制作番組の後釜としてジャパンエフエムネットワーク(JFNC、東京都千代田区麹町一丁目)制作の番組を多く取り入れるようになる。
・長年親しんできた自社制作番組の打ち切りを契機に聴取者離れが起きる。
・聴取者離れを契機に経営が厳しくなる。
 愛媛県の経済基盤がもう少し高ければ自社制作番組の維持と終夜放送の実施は両立できるのではないかと私は思うのだが、それは望むべくもない話である(注49)。そもそも終夜放送を実施していないラジオ放送局は遅れているというような考え方自体がどうかと思うわけであるが、エフエム愛媛のこの態度は確固たる方針を持っているからこそできることではないのだろうか。そのように考えると開局30周年を迎えたその日に自社制作のワイド番組をことごとく刷新したエフエム山口や開局35周年を間近にした時期にほとんどの自社制作のワイド番組を刷新した広島エフエム放送はどうなんだろうと思えてくる。
 ではエフエム山陰と岡山エフエム放送はどのように動けば良いのか。記すまでもないが変えないで良いものは変えないという考えを持つことであろう。折角長く続き、多くの聴取者に親しまれてきた番組を何らかの大義名分で打ち切り、新たな番組を設定したとしたら聴取者の反発を買いかねないだろうし、新たに始めた番組が長く続く保証もない(注50)し、更にそれが聴取者離れを引き起こし、放送局の経営に甚大な影響を与えることも考えられるからである。幸いエフエム山陰と岡山エフエム放送には変えないで良いと感じるもの(注51)があるのだが、果たしてエフエム山陰と岡山エフエム放送はどのように民間中波放送局に相対していくのだろうか。山陰放送ラジオと山陽放送ラジオの今後のエフエム補完放送の展開とともに注目していきたいところである。

 さて、エフエム山陰と岡山エフエム放送に関して今後が気になる動きはもう一つある。それはエフエム山陰と岡山エフエム放送はradikoに参加するのかどうかということである。中国地方の都道府県域民間エフエム放送局におけるradiko参加の動きは鈍く、2011年(平成23年)7月20日に広島エフエム放送が中国放送ラジオとともに参加して(注52)からは長らく途絶えていた。ようやく昨年4月2日にエフエム山口が参加したのだが、このように参加への動きが鈍い背景としては次のようなことが挙げられる。
・radiko以外にも都道府県域民間エフエム放送局についてはLISMO WAVEやドコデモFMといったインターネットサイマル配信サービスがあること。
・スマートフォンやパソコンでラジオ放送を楽しむことが果たして妥当なのかという考えがあること(注53)
・radikoに参加することは義務ではないし強制されるものでもないから別に参加しなくても良いという考えが根強いこと。
・radikoに参加する際発生する費用の捻出が経営事情の厳しい放送局では難しいこと。
・エフエム山陰はドコデモFMの宣伝にアニメ「秘密結社鷹の爪」の登場人物で、島根県が宣伝大使として起用している吉田くん(雲南市吉田地区出身という設定になっている)が登場していることからドコデモFMと対抗関係にあるradikoへの参加はできない状況になっていること。
・受信不可能な地域に住む方が何としてでも聴きたいと思うような番組に恵まれていないこと。
・人口の多い地域で受信できないところは中継局の整備で解消されており、受信環境改善を目的としてのradiko参加は費用対効果が見込めないとして検討していないこと(注54)
 エフエム山陰と岡山エフエム放送はradikoに参加していない数少ない民間ラジオ放送局となっている(注55)わけであるが、民間ラジオ放送局101社中93社が既に参加していることやエフエム山陰・岡山エフエム放送とも未だに受信しづらい地域が残っていること(注56)、岡山エフエム放送は政令指定都市が放送区域に含まれている民間ラジオ放送局では唯一radikoに参加していないこと(注57)、エフエム山陰・岡山エフエム放送とも対抗関係になる民間中波放送局や近隣にある民間ラジオ放送局は既にradikoに参加していることを考えればradikoへの参加を求める声はいくらかあることが推察される。それをどのように受け、そしてどのように感じているかは分からないのだが、ではエフエム山陰と岡山エフエム放送はどのような選択をするのか。考えられる選択肢は次の通りである。
・両局とも参加する。
・岡山エフエム放送はradikoに参加していない数少ない民間ラジオ放送局で最も多い放送区域人口を抱えていることや政令指定都市が放送区域に含まれている民間ラジオ放送局で唯一radikoに参加していない放送局になっていることから参加に向けて動くが、エフエム山陰は前記の事情、すなわちドコデモFMの宣伝にアニメ「秘密結社鷹の爪」の登場人物で、島根県が宣伝大使として起用している吉田くんが登場していることなどを理由に参加を見合わせる。
・両局とも経営事情などを理由として参加しない。
 その結果はいつ示されるのかは分からないが、今後も注目していきたいところである。

 それにしてもこの10年間ほどでラジオを巡る環境は大きく変わってしまった。パソコンやスマートフォンでラジオ放送を聴けるようになったし、中波放送についてはエフエム補完放送が始まった。一方で中波ステレオ放送やエフエム文字多重放送のように廃れたサービスも出てきた(注58)。こうなってくると今後のラジオ放送はどうなるのだろうと思いたくなってくる。今回このようなことを書いた背景にあるのは民間中波放送局のエフエム補完放送が対抗関係にある都道府県域民間エフエム放送局の経営に大きな影響を与えているのではないかと考えたことであるが、更に10年後どのような状況を私達は見ることになるのだろうか。今後もラジオ業界の動きは追っていくことにしているが非常に気になるところである。

(注釈コーナー)

注1:平成時代は今年4月30日に現在の天皇陛下が退位されることから今年4月30日をもって終わりとなり、現在の皇太子殿下が即位される今年5月1日から新たな年号になることになっているのだが現在のところ次の年号は決まっていないことから便宜上今年5月1日以降も平成時代が続くものとして年号を書いている。

注2:岡山・鳥取県境付近を除く。その辺りは一般道路(国道373号線志戸坂峠道路)で代替している。

注3:美作・岡山道路は瀬戸ジャンクション(仮称。岡山市東区瀬戸町塩納)で山陽自動車道と接続することになっているが、瀬戸インターチェンジ〜瀬戸ジャンクション間に出入口はないため瀬戸インターチェンジが無料通行区間の最南端になる。

注4:恐らく下表に挙げる方法になるのではないかと思われる。

案名 概要 難点
岡山市東区瀬戸町鍛冶屋/JA岡山東多目的集出荷施設前交差点(仮称)赤磐市松木/松木交差点間は県道96号岡山・赤穂線と重用し、赤磐市松木/松木交差点で現道に復帰する。 県道79号佐伯・長船線は赤磐市松木/松木交差点から南東に進んで熊山橋(全長:345m)で吉井川を渡り、赤磐市千躰(せんだ)/熊山橋東詰交差点(信号機・交差点名標なし)で右折してからは終点の瀬戸内市長船町長船/長船交差点まで吉井川左岸を南下する経路とをっているのだが、岡山市東区瀬戸町鍛冶屋/JA岡山東多目的集出荷施設前交差点(仮称)の東方約1.8kmのところを通っていることを考えると大きく北方に迂回する経路になり、遠回りになる。
岡山市東区瀬戸町鍛冶屋/JA岡山東多目的集出荷施設前交差点(仮称)岡山市東区瀬戸町万富/万富駅前交差点間は県道96号岡山・赤穂線と、岡山市東区瀬戸町万富/万富駅前交差点岡山市東区瀬戸町万富/万富駅北口駅前広場入口間は県道254号可真上・万富停車場線と、岡山市東区瀬戸町万富/万富駅北口駅前広場入口岡山市東区瀬戸町弓削(ゆげ)/弓削橋東詰交差点(信号機・交差点名標なし)間は県道179号万富停車場・弓削線とそれぞれ重用して岡山市東区瀬戸町弓削(ゆげ)/弓削橋東詰交差点(信号機・交差点名標なし)で現道に復帰する。 岡山市東区瀬戸町万富/万富駅前交差点岡山市東区瀬戸町弓削/弓削橋東詰交差点(信号機・交差点名標なし)間で重用する県道路線の処遇が問題になる。

美作・岡山道路は勝央ジャンクション〜吉井インターチェンジ間は国道374号線、吉井インターチェンジ〜佐伯インターチェンジ間は県道27号岡山・吉井線、佐伯インターチェンジ〜瀬戸ジャンクション間は県道79号佐伯・長船線にそれぞれ指定されているのだが、次に挙げる難点が生じている。
・それぞれの国道路線や主要地方道路線について経路が複数化されるため紛らわしさを感じるようになる。
・それぞれの国道路線や主要地方道路線について指定区間までの国道路線または県道路線を区域に編入することになるため重用箇所が増える。
・それぞれの国道路線や主要地方道路線について指定区間までの国道路線または県道路線を区域に編入することになるため無理やりな経路を採っていると感じる方が出る。
・美作・岡山道路としての一体感に欠ける。
・もしそれぞれの国道路線や主要地方道路線について美作・岡山道路経由に一本化すると既存の道路の処遇が問題になる。
個人的には全線を国道374号線の別線としたほうが良いようには思うのだが、もしそのようにするとどのように現道と接続させるのかとか現道をどのように扱うのかなどが問題になってくるものと思われる。本当にややこしい問題だなと感じているところであるが、果たして今後どうなっていくのだろうか。

注5:複数プロサッカーチームがあることとそのうちの一チームがJリーグ一部に属したことがあることを条件とすると四国地方も該当する。四国地方に本拠地を置くプロサッカーチームは下表の通りであるが、Jリーグ一部に属したことがあるのは徳島ヴォルティスだけであり、記すまでもなくJリーグ一部における四国地方に本拠地を置くプロサッカーチーム同士の対戦は実現していない。

本拠地
所在県
チーム名 在籍期間 備考
一部 二部 三部
徳島県 徳島ヴォルティス 2014 2005〜2013
2015〜
香川県 カマタマーレ讃岐 2014〜2018 2019
愛媛県 愛媛FC 2006〜

注6:生口(いくち)島(尾道市)と大三島(今治〔いまばり〕市)の間に架かっている多々羅大橋(全長:1,480m)と、中ノ島(呉市)と岡村島(今治市)の間に架かっている岡村大橋(全長:228m)を指す。
※生口島と中ノ島は本州と、大三島は四国とそれぞれ橋で繋がっているが、岡村島は四国方面への橋は架かっていない。岡村島〜大三島間に架橋構想はあるが今のところ実現に向けた動きは活発化していない。

注7:「勝ったらセール」と称してはいるが引き分けた場合や負けた場合でも開催されている。

注8:「爆笑問題の日曜サンデー」はTBSラジオでは日曜日午後1時〜午後5時の4時間にわたって放送されているが、山陽放送ラジオでは前半部分に当たる午後1時〜午後3時の2時間だけをネットしている(これは他のネット局も同じである)。

注9:この他中国・四国地方にある民間中波放送局、すなわち山陰放送ラジオ・山陽放送ラジオ・中国放送ラジオ・山口放送ラジオ・四国放送ラジオ(JRT、徳島市中徳島町二丁目)・西日本放送ラジオ(RNC、高松市丸の内)・南海放送ラジオ・高知放送ラジオ(RKC、高知市本町三丁目)が持ち回りで2時間の番組を制作し、各局で流す「中四国ライブネット」(日曜日午後6時〜午後8時)も休止になることがある。

注10:2019年度(平成31年度)のJリーグ二部に所属するチームは下表の通りである。

※チーム名を赤太字で表記しているものは過去にJリーグ一部に所属していたことがあるチームである。

本拠地設置
都道府県名
チーム名 備考
山形県 モンテディオ山形
茨城県 水戸ホーリーホック
栃木県 栃木SC
埼玉県 大宮アルディージャ
千葉県 ジェフユナイテッド千葉
柏レイソル Jリーグ一部での優勝歴あり。
東京都 東京ヴェルディ Jリーグ一部での優勝歴あり。
FC町田ゼルビア
神奈川県 横浜FC
新潟県 アルビレックス新潟
山梨県 ヴァンフォーレ甲府
石川県 ツエーゲン金沢
岐阜県 FC岐阜
京都府 京都サンガF.C.
岡山県 ファジアーノ岡山
山口県 レノファ山口FC
徳島県 徳島ヴォルティス
愛媛県 愛媛FC
福岡県 アビスパ福岡
長崎県 V・ファーレン長崎
鹿児島県 鹿児島ユナイテッドFC
沖縄県 FC琉球

注11:Jリーグ一部昇格チームが1年でJリーグ二部に降格した例は下表の通りである。

※チーム名を赤太字で表記しているものは4位以下ながらJリーグ一部昇格プレーオフを勝ち抜いてJリーグ一部昇格を果たしたチームである。

Jリーグ一部
在籍年度
チーム名 備考
1998年度
(平成10年度)
北海道コンサドーレ札幌
2000年度
(平成12年度)
川崎フロンターレ
2006年度
(平成18年度)
京都サンガF.C.
アビスパ福岡
2007年度
(平成19年度)
横浜FC
2008年度
(平成20年度)
北海道コンサドーレ札幌
東京ヴェルディ
2010年度
(平成22年度)
湘南ベルマーレ
2011年度
(平成23年度)
ヴァンフォーレ甲府
アビスパ福岡
2012年度
(平成24年度)
北海道コンサドーレ札幌
2013年度
(平成25年度)
湘南ベルマーレ
大分トリニータ
2014年度
(平成26年度)
徳島ヴォルティス
2015年度
(平成27年度)
モンテディオ山形
松本山雅FC
2016年度
(平成28年度)
アビスパ福岡
2018年度
(平成30年度)
V・ファーレン長崎

注12:2015年(平成27年)10月1日実施の国勢調査に基づく岡山県・山口県・佐賀県・大分県の人口は次の通りである。
・岡山県…192万1,525人
・山口県…140万4,729人
・佐賀県…83万2,832人
・大分県…116万6,338人

注13:大韓民国と日本で共同開催した第17回FIFAワールドカップ(2002年〔平成14年〕)では広島市も開催地として立候補していたが、広島市が財政事情の悪化を理由に開催予定地としていた広島広域公園陸上競技場(愛称:エディオンスタジアム広島。広島市安佐南区大塚西五丁目)の改修(主に観客席に屋根を取り付けること)に消極的な態度をとったことから除外されている。

注14:現在も国道路線または県道路線の区域になったままの旧道であれば広島県道50号本郷・久井線仏通寺(ぶっつうじ)旧道が挙げられる。広島県道50号本郷・久井線仏通寺旧道の三原市高坂町許山(もとやま)では2015年(平成27年)7月15日からずっと通行止めが続いている。2017年(平成29年)9月に長期通行止め区間東側入口(三原市高坂町許山)を訪れた時は2018年(平成30年)2月15日まで復旧工事を行っている旨の看板があったのだが、結局復旧されないうちに昨年夏の集中豪雨などでまた被災したらしく2020年(平成32年)3月末まで通行止め期間は延長されている。恐らく復旧工事が完成しても崖の上の狭い道であることやガードレールなどの安全施設がないため転落の危険性があること、落石・土砂崩落の危険性があること、不法投棄や死体遺棄の現場になる恐れがあること、2007年(平成19年)9月23日に大きく北方に迂回するバイパスが開通していることなどを考えると何らかの理由を付けて通行止めを延長するのではないかと見ているのだがどうであろうか。
※広島県道50号本郷・久井線仏通寺旧道がバイパス開通後も三原市道に再編されないままになっているのは三原市の観光名所の一つである仏通寺(三原市高坂町許山)に通じる道を整備するに当たって国からの補助金を得るためではないかと思われる。

広島県道50号本郷・久井線仏通寺旧道長期通行止め区間東側入口遠景。
アスファルト舗装を雑草が埋め尽くし、芝生かと見紛うようになった状況が通行止めの期間の長さを物語っている。

復旧工事を行っていることを記した看板。
確かに2018年(平成30年)2月15日まで行うと記されている。

注15:国道488号線の長期通行止め区間は島根県にあるのだが、広島県を出したのは国道186号線(国道434号線重用)と国道488号線との合流点となる廿日市市吉和/中津谷交差点(信号機・交差点名標なし)にある案内標識に国道488号線益田方面について「通行不能(島根県側)」という注意書きが付されているためである。

注16:広島県でも(島根県邑智郡邑南町戸河内での落石事故を受けたのではないかと思われるのだが)2017年度(平成29年度)に落石・土砂崩落が起きる危険性が高い区間を指定して注意を喚起する標識を設置する施策を行っている。
※落石・土砂崩落の危険性がある箇所を示す標識は京都府や島根県、岡山県でも設置されているが、小さかったり低かったり関係者以外には分からないようなことが記されてあったりしてその道を通る方々に認識されやすいとは言い難い面がある。

広島県内各地に設置されている落石・土砂崩落に対する注意を喚起する標識。
レベル4に指定された箇所にしか設置されていないが分かりやすい。

岡山県内各地に設置されている落石・土砂崩落の危険性がある箇所を示す標識。
小さいことや低いこと、草木で隠れやすいこと、関係者以外には何のことか分からないことが記されていることが難点。
なお、「新見市」と書かれてあるのはこの県道路線が新見市が管理する路線になっているためである。

注17:反対に並行して林道などが通っていても編入への動きが起きず、結果通行不能状態が続いている国道路線も少なくない(下表参照)。

都道府県名 路線名称 迂回路 備考
青森県 国道339号線 外ヶ浜町道 通行不能区間は階段国道として知られている。
長野県 国道152号線 蛇洞林道 地蔵峠(標高:約1,290m)の飯田市側。
国道256号線 国道474号線(三遠南信自動車道)
長野県道251号上・飯田線
小川路峠(標高:約1,670m)の前後区間。
長野県
静岡県
国道152号線 兵越林道 青崩峠(標高:1,082.5m)の前後区間。
現在迂回路として国道474号線(三遠南信自動車道)が建設されている。
兵越林道は長野県道369号/静岡県道412号南信濃(みなみしなの)・水窪(みさくぼ)線に編入される予定になっている。
石川県
岐阜県
国道360号線 白山林道
白川村道
白山林道は有料道路で、愛称は白山スーパー林道(1977〜2015)→白山・白川郷ホワイトロード(2015〜)となっている。
白山林道は二輪車・軽車両・歩行者は常時通行禁止。
白山林道は夜間や積雪期は全面通行禁止。
福井県
岐阜県
国道417号線 冠山林道 冠山峠(標高:約1,040m)の前後区間。
現在冠山峠道路が建設されており、2020年代半ばには通行不能が解消される予定である。
兵庫県 国道482号線 香美町道岩小屋線 小代峠(標高:約940m)の兵庫県側。
2004年(平成16年)10月から災害により通行止めになっており、迂回路としての機能を果たせていない。
整備して国道482号線に編入する話はあるが未だに実現していない。
和歌山県 国道371号線 民有林林道木守・平井線 高尾峠(標高:約770m)の前後区間。
民有林林道木守(こもり)・平井線は本山谷・平井林道や玉の川林道とも称する。
広島県 国道487号線 国道2号線広島南道路側道
広島市道
広島高速3号線の整備に伴って広島電鉄宇品線の線路敷に転用されたため通行不能になった稀有な事例である。
徳島県 国道193号線 徳島県道253号山川・海南線 土須峠(標高:約1,030m)の前後区間。
通行不能というよりは区域未決定と解するのが妥当と思われ、本サイトでもそのように解している(なぜそこだけ区域未決定にしているのかは不明)。
徳島県道253号山川・海南線は1975年(昭和50年)に吉野川市山川地区以遠の国道193号線の経路が変更された時に大部分が国道193号線に組み入れられた(その際主要地方道から一般県道に降格し、名称も徳島県道21号山川・海南線から徳島県道253号山川・海南線に変更された)が、土須峠前後の区間の国道193号線の区域未決定が原因で現在も存続したままになっている(無論その区間を除いては単独区間は存在しない)。

注18:現地には新見市道草月線に迂回するように記した看板があるのだが、狭い上に分かりにくいという難点を持っている(もし新見市道草月線を迂回した場合の経路はこちら)。もっとも、無明谷付近の岡山県道50号北房・井倉・哲西線の通行止め措置が始まった時点では阿新広域農道は全線開通しておらず、致し方なかったという面はある。
※岡山県道50号北房・井倉・哲西線の長期通行止め区間を迂回する阿新広域農道が全線開通したのは2013年(平成25年)8月9日のことである。

新見市哲多町荻尾/井戸口交差点(信号機・交差点名標なし)のそばにある新見市道草月線への迂回を求めた看板

岡山県道50号北房・井倉・哲西線の長期通行止め区間の西側封鎖地点の脇にある新見市道草月線への迂回を求めた看板

注19:主なものは下表に挙げた通りである。

※下表で「備南広域農道南線」「備南広域農道北線」と記したのは浅口市鴨方町小坂東/鴨方西小学校東交差点(交差点名標なし)以西で二手に分かれるからである。どちらも笠岡市西部で岡山県道/広島県道3号井原・福山港線に突き当たって終点となる。

路線名称 該当県道路線名称 備考
津山広域農道 県道339号西一宮・中北上線
備中西部広域農道 県道48号笠岡・美星線
県道155号鴨方・矢掛線
備南広域農道 県道155号鴨方・矢掛線
県道382号本庄・玉島線
備南広域農道南線 県道60号倉敷・笠岡線
県道286号里庄・地頭上線
備南広域農道北線 県道168号新賀・小坂東線
県道286号里庄・地頭上線
県道377号山口・押撫線

注20:その例は下表の通りである。

県名 路線名称 当該告示番号 概要
鳥取県 県道36号名和・岸本線 2018年(平成30年)3月31日
鳥取県告示第223号
西伯郡大山(だいせん)町高田〜西伯郡大山町坊領間に存在した河川寸断区間を迂回路である大山広域農道→県道158号大山口停車場・大山線に経路を変更することで解消。
島根県 県道172号美都・匹見線 2014年(平成26年)2月21日
島根県告示第99号
益田市美都町都茂〜益田市匹見町落合間に存在した通行不能区間を迂回路である県道314号美都・澄川線→益田市道に経路を変更することで解消。
山口県 県道23号光・上関線 2012年(平成24年)3月27日
山口県告示第98号
熊毛郡上関町長島に存在した通行不能区間を迂回路である上関町道に経路を変更することで解消。

注21:新見市哲多町荻尾/井戸口交差点(信号機・交差点名標なし)新見市哲多町矢戸/萬歳橋北詰交差点(信号機・交差点名標なし)間で見ると阿新広域農道→岡山県道33号新見・川上線経由(経路はこちら)では4.7kmになるが、阿新広域農道→新見市道草月線→岡山県道33号新見・川上線経由(経路はこちら)では3.4kmになる。

注22:景勝地を通る県道路線で長期通行止め規制の末に再開通を果たしたところとしては総社市槙谷〜加賀郡吉備中央町岨谷(すわたに)間の岡山県道57号総社・賀陽線がある。落石・土砂崩落の危険性があることから2003年(平成15年)春から8年間にわたり通行止めになっていたのだが景観保護に留意して復旧を進めて再開通を果たしている。

岡山県道57号総社・賀陽線の通行止めを予告する看板群(2009年〔平成21年〕10月27日撮影)。
写真に見える看板群から落石の危険性が高いことがうかがえる。

岡山県道57号総社・賀陽線にあった車止め(2009年〔平成21年〕10月27日撮影)。
この車止めから先は歩行者しか進めなかった。

見返橋(延長:17.0m)の先にあったバリケード(2009年〔平成21年〕10月27日撮影)。
歩行者でも進めるのはそこまでとなっていた。

注23:岡山県を通る県道路線の寸断箇所で迂回路が存在するものは下表の通りである。

路線名称 概要
県道155号鴨方・矢掛線 浅口市道→矢掛(やかげ)町道→備中西部広域農道で迂回できる。
県道341号坪井下・栃原線 津山市道→県道341号坪井下・栃原線バイパスで迂回できる。
※県道341号坪井下・栃原線バイパスの区域が国道181号線まで達すれば通行不能解消にはなるがそのメドは立っていない。
県道374号中・西川線 美咲町道で迂回できる。
県道377号山口・押撫線 備南広域農道北線で迂回できる。
県道382号本庄・玉島線 浅口市道→備南広域農道で迂回できる。

注24:岡山県でバイパスが開通した後も旧道も主要地方道のままになっているところとしては岡山県道21号岡山・児島線(興除・箕島〔みしま〕バイパスに対する旧道)や岡山県道64号矢掛(やかげ)・寄島線(遥照山〔ようしょうざん〕バイパスに対する旧道。浅口市側の一部区間のみ)がある。いずれも注14で触れた通り国からの補助金を得るため一般県道路線や市町村道路線に再編しないでいるのではないかと思われる。

注25:高梁市備中町平川しか通らないことにこだわらなければ次に挙げる迂回路がある。
・岡山県道/広島県道106号布賀・油木線→岡山県道33号新見・川上線(経路はこちら。高梁市備中町布賀を経由する)
・岡山県道/広島県道106号布賀・油木線→高梁市道浅柄線→岡山県道/広島県道106号布賀・油木線→岡山県道33号新見・川上線(経路はこちら。高梁市備中町布賀を経由する)
・岡山県道437号下郷・惣田線→高梁市道→広島県道/岡山県道107号奈良・備中線→岡山県道33号新見・川上線(経路はこちら。高梁市備中町西油野→高梁市備中町東油野を経由する)
但しどの迂回路も狭隘箇所や落石・土砂崩落危険箇所を抱えており、課題がないというわけではない。

注26:長野士郎が岡山県知事に就任した1972年(昭和47年)11月12日から1978年(昭和53年)12月31日までに発足した岡山県の県道路線は下表の通りである。

発足年/
路線数
発足
月日
告示
番号
路線名称 備考
1972年
(昭和47年)
(1路線)
11月24日 1,192 県道102号下御領・井原線 広島県に跨る路線であり、広島県でも同じ日に路線認定を行っている(1972年〔昭和47年〕11月24日広島県告示第983号による)。
岡山県・広島県とも県道標識(正式名称は都道府県道番号)導入に伴う路線番号再編で現在の路線番号体制が発足してから初めて発足した路線である。
現存。
1973年
(昭和48年)
(21路線)
1月30日 86 県道420号茶屋・都線 県道93号茶屋・曽根線(1960〜1973。岡山県で県道標識導入に伴う路線番号再編が実施されたと思われる1972年〔昭和47年〕11月1日以降の路線番号は不明だが再編前提で420を付けていた可能性がある)を岡山市南区藤田まで延伸して発足した路線。
県道154号倉敷・茶屋線(1960〜1979)と統合して県道154号倉敷・都線(1979〜1994)に移行したため1979年(昭和54年)3月30日岡山県告示第280号により廃止。
現在は県道74号倉敷・飽浦(あくら)線の一部になっている。
県道436号布寄・下原線 岡山県発行の資料によると1973年(昭和48年)10月2日岡山県告示第898号により認定されたと記されているが、1973年(昭和48年)1月30日岡山県告示第87号で一部区間の区域決定もなされているため本サイトでは1973年(昭和48年)1月30日岡山県告示第86号で認定されたものと見なしている。
路線名称からすれば高梁市成羽町布寄と高梁市成羽町下原を結ぶ路線になるのだが、なぜか岡山県発行の資料では起点が高梁市成羽町長地(おさじ)となっている。高梁市成羽町布寄〜高梁市成羽町長地間については区域未決定または未開通と解するべきなのだろうが岡山県がどのように考えているかは分かっていない。
現存。
県道438号西山・布寄線 現存。
県道439号中井・豊永佐伏線 全区間が県道78号長屋・賀陽線の一部に移行したため1994年(平成6年)4月1日岡山県告示第251号により廃止。
県道443号大井野・千屋花見線 現存。2006年(平成18年)4月1日からは新見市が管理する路線になっている。
3月20日 326 県道449号押渕・皿線 現存。
県道452号小原・船頭線 現存。
3月30日 338 県道109号油野・東城線 広島県に跨る路線であり、広島県でも同じ日に路線認定を行っている(1973年〔昭和48年〕3月30日広島県告示第239号による)。
全区間が県道12号足立・東城線の一部に移行したため1994年(平成6年)4月1日岡山県告示第251号により廃止(広島県でも1994年〔平成6年〕4月1日広島県告示第408号の2により廃止)。
県道419号日比港線 現存。
県道424号岡山西環状線 県道195号一宮・久米線(1960〜1973。岡山県で県道標識導入に伴う路線番号再編が実施されたと思われる1972年〔昭和47年〕11月1日以降の路線番号は不明)と県道198号妹尾・久米線(1960〜1973。岡山県で県道標識導入に伴う路線番号再編が実施されたと思われる1972年〔昭和47年〕11月1日以降の路線番号は不明)と岡山市北区一宮地区〜岡山市北区津島地区間の岡山市道を統合して発足した路線。
一部区間が県道61号妹尾・御津線の一部に移行したため1982年(昭和57年)9月28日岡山県告示第863号により廃止。
現在は県道61号妹尾・御津線や県道152号倉敷・妹尾線、県道238号上芳賀(かみはが)・岡山線に再編されている。
8月17日 766 県道431号六条院東・里庄線 県道224号六条院西・里庄線(1960〜1973。岡山県で県道標識導入に伴う路線番号再編が実施されたと思われる1972年〔昭和47年〕11月1日以降の路線番号は不明だが再編前提で431を付けていた可能性がある)を浅口市鴨方町六条院東まで延伸して発足した路線。
現存。
9月4日 810 県道430号玉島黒崎・金光線 現存。但し倉敷市玉島黒崎(沙美峠付近)に通行不能箇所がある。
9月14日 845 県道418号鶴海港・坂田線 現存。
10月2日 898 県道429号槙谷・西山内線 全区間が県道76号総社・三和(みと)線の一部に移行したため1994年(平成6年)4月1日岡山県告示第251号により廃止。
県道450号三浦・勝北線 現存。
10月9日 923 県道451号和田北・鶴田線 現存。2009年(平成21年)4月1日からは岡山市通過分については岡山市が管理する路線になっている。
10月16日 958 県道423号福渡停車場線 現存。2009年(平成21年)4月1日からは岡山市が管理する路線になっている。
11月2日 1,021 県道455号小山・桑上線 現存。
1,026 県道700号岡山・総社自転車道線 現存。2009年(平成21年)4月1日からは岡山市通過分については岡山市が管理する路線になっている。
11月9日 1,052 県道425号磯上・備前線 現存。
12月14日 1,176 県道417号和気・吉井線 現存。但し和気郡和気町津瀬〜赤磐市稲蒔間は通行不能である。
1974年
(昭和49年)
(18路線)
1月11日 32 県道422号蒜山高原線 現存。
2月12日 154 県道266号長尾・児島線 県道266号迫間(はざま)・児島線(1960〜1974)の起点変更により発足した路線。
現存。
県道302号宇治・鉄砲町線 県道302号宇治・本町線(1960〜1974)の終点変更により発足した路線。
現存。
県道345号上横野・兼田線 県道345号上横野・下押入線(1960〜1974)の終点変更により発足した路線。
現存。
2月19日 185 県道434号小坂西・六条院中線 現存。
2月26日 212 県道442号豊永赤馬・長屋線 現存。2006年(平成18年)4月1日からは新見市が管理する路線になっている。
214 県道435号宇治・長屋線 県道252号長地・宇治線(1960〜1974。岡山県で県道標識導入に伴う路線番号再編が実施されたと思われる1972年〔昭和47年〕11月1日以降の路線番号は不明だが再編前提で435を付けていた可能性がある)を高梁市備中町長屋まで延伸し、なおかつ起点・終点を入れ替えて発足した路線。
現存。
3月19日 309 県道427号槌ヶ原・日比線 県道182号槌ヶ原・玉線(1960〜1974。岡山県で県道標識導入に伴う路線番号再編が実施されたと思われる1972年〔昭和47年〕11月1日以降の路線番号は不明だが再編前提で427を付けていた可能性がある)の経路を変更して発足した路線。
現存。
3月22日 337 県道453号宮地・鹿瀬線 県道123号建部(たけべ)停車場・上建部線(1960〜1974。岡山県で県道標識導入に伴う路線番号再編が実施されたと思われる1972年〔昭和47年〕11月1日以降の路線番号は不明だが再編前提で453を付けていた可能性がある)を岡山市北区御津鹿瀬まで延伸し、なおかつ起点・終点を入れ替えて発足した路線。
現存。2009年(平成21年)4月1日からは岡山市が管理する路線になっている。
3月26日 369 県道447号粟谷・美甘線 現存。
6月18日 642 県道105号前原谷・仙養線 広島県に跨る路線だが広島県では1965年(昭和40年)3月31日広島県告示第259号で認定していたにもかかわらず岡山県では長らく路線認定を見送っていた。広島県側での認定当時通過地(高梁市備中町平川)に岡山県側から行ける道路がなく、広島県に整備・維持を委託していたからではないかと思われるが詳細は不明。
現存。
7月9日 710 県道457号吉田・御津線 現存。2009年(平成21年)4月1日からは岡山市が管理する路線になっている。
11月5日 1,016 県道444号上刑部・新庄線 全区間が県道58号北房・新庄線(1979〜1994)の一部に移行したため1979年(昭和54年)1月5日岡山県告示第9号により廃止。
現在は県道58号北房・川上線の一部になっている。
11月8日 1,027 県道428号倉敷西環状線 現存。
県道456号下籾・三明寺線 現存。2009年(平成21年)4月1日からは岡山市通過分については岡山市が管理する路線になっている。
11月19日 1,061 県道440号上有漢・北房線 現存。
12月20日 1,159 県道441号下神代・哲多線 現存。
12月27日 1,187 県道446号本茅部・新庄線 全区間が県道58号北房・川上線の一部に移行したため1994年(平成6年)4月1日岡山県告示第251号により廃止。
1975年
(昭和50年)
(4路線)
1月10日 43 県道426号多麻・滝宮線 現存。
県道448号百谷・奥津線 全区間が県道75号加茂・奥津線の一部に移行したため1994年(平成6年)4月1日岡山県告示第251号により廃止。
廃止時点では苫田郡鏡野町百谷〜苫田郡鏡野町養野間と苫田郡鏡野町養野〜苫田郡鏡野町奥津間に通行不能箇所があったが、県道75号加茂・奥津線に移行した後に苫田郡鏡野町養野〜苫田郡鏡野町奥津間については解消されている。
3月28日 313 県道433号青島新開・神島外港線 現存。
10月21日 970 県道458号勇崎・入江線 岡山県道路公社(岡山市北区蕃山町。1971〜2006)が運営する玉島・笠岡有料道路の受け皿道路として認定。しかし、並行して計画されていた山陽自動車道の建設が早く進んだことや沿線住民が建設に強硬に反対したこと、岡山県道路公社の経営が運営する道路の通行量低迷で厳しかったことなどから着工に至らず、幻の県道となっていた。
並行して国道2号線玉島・笠岡道路が企図されたことを受けて2001年(平成13年)秋に玉島・笠岡有料道路の計画の白紙撤回が決定。それを受けて2002年(平成14年)4月19日岡山県告示第252号により廃止(ちなみに岡山県における県道路線の廃止告示は今のところこれが最後になっている)。記すまでもないが痕跡は一切残っていない。
1976年
(昭和51年)
(5路線)
2月20日 124 県道437号下郷・惣田線 現存。但し落石のため2013年(平成25年)12月21日から全線の通り抜けはできなくなっている。
4月23日 366 県道432号大島中・新庄線 現存。
7月13日 551 県道117号鱒返・余戸線 鳥取県に跨る路線だが、鳥取県で認定されたのは岡山県側での認定から5ヶ月半後の1976年(昭和51年)12月28日のことであった(1976年〔昭和51年〕12月28日鳥取県告示第1,043号による)。1976年(昭和51年)12月28日鳥取県告示第1,043号ではもう一つ岡山県と鳥取県に跨る県道路線、すなわち県道303号大高下・口波多線が認定されているが、岡山県は現在に至るまでこの路線の存在を認めていない(津山市阿波〔あば〕と鳥取県を結ぶ他の県道路線、すなわち県道117号鱒返・余戸線と県道118号加茂・用瀬〔もちがせ〕線がいずれも鳥取・岡山県境付近で途切れている上に大高下・口波多線も鳥取・岡山県境付近で途切れた状態で発足したことから同じ状況の路線を三つも抱えることに岡山県が難色を示したことが背景にあるものと思われる。津山市阿波と鳥取県を結ぶ県道路線がいずれも鳥取・岡山県境で途切れている状況は現在も変わっていない)。
認定当初の名称は岡山県道117号/鳥取県道232号鱒返・余戸線だったが、鳥取県で県道標識導入に伴う路線番号再編が実施された1982年(昭和57年)9月10日に路線番号が117に統一され、岡山県道/鳥取県道117号鱒返・余戸線に改称した(更に1984年〔昭和59年〕8月31日鳥取県告示第645号で改称告示がなされている)。
現存。
県道445号下和・奥津川西線 県道302号羽出西谷・奥津川西線(1960〜1976。岡山県で県道標識導入に伴う路線番号再編が実施されたと思われる1972年〔昭和47年〕11月1日以降の路線番号は不明だが再編前提で445を付けていた可能性がある)を真庭市下和(したお)まで延伸して発足した路線。
現存。
8月17日 631 県道129号後山・上石井線 兵庫県に跨る路線だが、兵庫県で認定されたのは5ヶ月前の1976年(昭和51年)3月16日のことであった(1976年〔昭和51年〕3月16日兵庫県告示第534号による)。
認定当初の路線名称は岡山県道129号/兵庫県道556号後山・上石井線だったが、1994年(平成6年)4月1日岡山県告示第255号により路線番号が556に統一され、岡山県道/兵庫県道556号後山・上石井線に改称した。
現存。
1977年
(昭和52年)
(2路線)
6月3日 455 県道460号黒忠・三山線 全区間が県道77号美星・高山市(こうやまいち)線の一部に移行したため1994年(平成6年)4月1日岡山県告示第251号により廃止。
10月7日 742 県道454号全間・仁堀中線 「全間」は「またま」と読む。
全区間が県道52号勝央・仁堀中線の一部に移行したため1994年(平成6年)4月1日岡山県告示第251号により廃止。
1978年
(昭和53年)
(1路線)
10月17日 820 県道459号若代・神代線 現存。

注27:岡山県道437号下郷・惣田線の長期通行止め区間は最小幅員が2.5mになっている。そのことは起点側では高梁市備中町平川/魚切橋北詰交差点(信号機・交差点名標なし)のそばで、終点側では高梁市備中町平川/惣田交差点(終点。信号機・交差点名標なし)のそばでそれぞれ標識によって示されている。なぜ起点となる高梁市備中町平川/下郷交差点(信号機・交差点名標なし)でそのことを示さないのかは分からないのだが、そのことから高梁市備中町平川/下郷交差点(起点。信号機・交差点名標なし)高梁市備中町平川/魚切橋北詰交差点(信号機・交差点名標なし)間の岡山県道437号下郷・惣田線はある程度の道幅があることが推察される。

起点側の岡山県道437号下郷・惣田線の最小幅員が2.5mになることを示す標識

終点側の岡山県道437号下郷・惣田線の最小幅員が2.5mになることを示す標識

注28:都道府県道路線の長期通行止め区間を供用廃止した例は実は存在する。本サイトからリンクを貼っているヨッキれんさんのサイト「山さ行がねが」など多くのサイトで取り上げられている静岡県道288号大嵐(おおぞれ)・佐久間線の浜松市天竜区水窪(みさくぼ)町奥領家〜浜松市天竜区佐久間町佐久間間である。佐久間ダム(浜松市天竜区佐久間町佐久間/愛知県北設楽〔きたしたら〕郡豊根村古真立)のダム湖・佐久間湖の東岸を通る静岡県道288号大嵐・佐久間線は災害が頻発することからある時期(詳細は不明)から通行止めになった上に1994年(平成6年)3月18日静岡県告示第216号により前記区間の供用が廃止されている。静岡県道288号大嵐・佐久間線は通過自治体である浜松市が2007年(平成19年)4月1日に政令指定都市に移行したことにより2007年(平成19年)4月1日に管理者が静岡県から浜松市に移っているが現在も通行止め規制は継続されている。
また、秋田県では2014年(平成26年)3月25日秋田県告示第123号で(全てではないのだが)県内各地にある県道路線の通行不能区間の供用を廃止している。

注29:私の住んでいる福山市の場合、そういう路線は多数存在する。広島県道21号加茂・油木線や広島県道158号尾道・新市線、広島県道400号藤尾・井関線、広島県道418号井関・加茂線、広島県道419号坂瀬川・駅家線などである。

注30:島根県の場合、NHK松江放送局(松江市灘町)がラジオ第一放送について山間部や島嶼(とうしょ)部でエフエム中継局を設置していたため山陰放送ラジオ松江エフエム中継局が島根県初の中波放送局のエフエム補完中継局とはならない。なお、NHKラジオ第一隠岐(おき)エフエム中継局(島根県隠岐郡隠岐の島町上西)は中国地方初の中波放送局のエフエム補完中継局である(2014年〔平成26年〕12月22日開局)。

注31:山陰放送ラジオは2017年(平成29年)3月1日に初めてのエフエム補完中継局を開局させているが、そのエフエム補完中継局、すなわち鳥取エフエム中継局(鳥取県東伯郡湯梨浜町白石)は鳥取県東部・中部を対象とした中継局であった。山陰放送は鳥取・島根両県を放送区域としているが、鳥取県西部・島根県東部を対象とするエフエム補完中継局が後回しにされたのは山陰放送の本社が鳥取県にあることと、山陰放送本社周辺の鳥取県内にはエフエム中継局を設置できるような場所がなかったこと(こちらでも触れたのだが実はこれが山陰放送テレビが1959年〔昭和34年〕12月15日に開局した時に鳥取県に本社を置きながら鳥取県を放送区域とすることができなかった理由の一つである)が大きいように思われる。

注32:それまではSTVラジオ(STV、札幌市中央区北一条西八丁目)と北海道放送ラジオ(HBC、札幌市中央区北一条西五丁目)の18局(どちらも内訳は中波中継局17局・エフエム補完中継局1局)が日本で最も中継局の多い民間中波放送局だったが、2018年(平成30年)11月12日に山口放送ラジオが山口鴻ノ峯エフエム中継局(山口市上宇野令)を開局させたことでSTVラジオ・北海道放送ラジオと同じ中継局数になり、2018年(平成30年)12月5日に周防大島(すおうおおしま)エフエム中継局(山口県大島郡周防大島町西安下庄)を開局させたことで山口放送ラジオが日本で最も中継局の多い民間中波放送局となった。山口放送ラジオの中継局の内訳は中波中継局6局・エフエム中継局13局となっており、エフエム中継局の数は日本で最も中継局の多い都道府県域民間エフエム放送局である広島エフエム放送と同じである。

注33:現時点で民間中波放送局と都道府県域民間エフエム放送局の対抗関係がないところは茨城県と和歌山県(どちらも民間中波放送局はあるが都道府県域民間エフエム放送局が存在しない。和歌山県については総務省によって都道府県域民間エフエム放送局用の周波数の割り当てはなされているが開局へのメドは立っていない)だけである。また、都道府県域民間エフエム放送局はあるが対抗関係にある民間中波放送局がエフエム中継局を設置していないのは群馬県・埼玉県・千葉県・神奈川県・三重県・滋賀県・兵庫県・奈良県・香川県・高知県である。
※群馬県・埼玉県・千葉県・神奈川県は東京都に本社を置く民間中波放送局の、三重県は名古屋市に本社を置く民間中波放送局の、滋賀県・兵庫県・奈良県は大阪市に本社を置く民間中波放送局の、滋賀県は京都市に本社を置く民間中波放送局の放送区域にそれぞれ含まれているがエフエム中継局は未だに設置されていない。更に神奈川県・兵庫県・香川県・高知県はそれぞれの県を放送区域とする民間中波放送局があるがいずれも未だにエフエム補完放送は始めていない(このうち兵庫県を放送区域とする民間中波放送局は近くエフエム補完放送を始める予定)。

注34:「Joyous!」が短命に終わったのは2016年(平成28年)秋の改編で「PURE Morning」の放送時間が延長されたためである。

注35:「face」終了後のジャパンエフエムネットワーク制作の平日午後のワイド番組は「Day by Day」(2016〜2018年〔平成28〜30年〕放送)→「Seasoning-season your life with music-」(現在放送中)と変遷している。

注36:「はっぴーはっぴーフライデー」は2017年(平成29年)春の改編で「Happy Happy FRIDAY」に改称している。

注37:「DAYS!?〜35thEDITION〜」は2018年(平成30年)春の改編で「DAYS!?」に改称している。
※1年間だけ「DAYS!?〜35thEDITION〜」という題名にしたのは広島エフエム放送が2017年(平成29年)12月5日に開局35周年を迎えることを念頭に置いたからである。

注38:「皆実町マルシェ」の出演者交代の理由は俊山真美が「GOOD JOG+」の水曜日・木曜日の喋り手に就任したことによる。俊山真美はその後「GOOD JOG FRIDAY」も担当するようになっている(「GOOD JOG FRIDAY」開始当初の喋り手だった益村千代〔元エフエム山陰アナウンサー〕が降板したため)。

注39:中国放送ラジオ久井エフエム中継局が広島県世羅郡世羅町小世良にあるのに世羅エフエム中継局という名称にならなかった理由はこちらで触れているので併せてご覧頂きたい。

注40:この他にも山陰放送ラジオが1954年(昭和29年)に開局した時から鳥取・島根両県を放送区域としていたことや、1972年(昭和47年)に都道府県域民間テレビ放送局の放送区域が統合されて鳥取県だけを放送区域としていた日本海テレビジョン放送(NKT、鳥取市田園町四丁目)が島根県を、島根県だけを放送区域としていた山陰放送テレビと島根放送改め山陰中央テレビジョン放送(TSK、松江市向島町)が鳥取県をそれぞれ放送区域に編入したことも念頭に置いたことが考えられる。

注41:鳥取県と島根県の面積の合計は10,215.39平方キロメートル(2017年〔平成29年〕全国都道府県市区町村別面積調による)であり、これは中国地方で最も面積が大きい県である広島県の8,479.63平方キロメートル(2017年〔平成29年〕全国都道府県市区町村別面積調による)を大きく上回る。

注42:松江本局(松江市上本庄町)は鳥取県西部と島根県東部を、鳥取中継局(鳥取県東伯郡湯梨浜町白石)は鳥取県東部と鳥取県中部を、浜田中継局(浜田市三隅町室谷)は島根県西部をそれぞれ範囲としており、鳥取県・島根県の主たる地域では開局当初から番組を楽しめるようにすることが最大の投資効果だと判断したことが中継局の数を抑えた理由ではないかと考えられる。それでも受信できない地域が少なくなかったためその後鳥取県側では智頭(ちづ)・用瀬(もちがせ)両中継局が、島根県側では石見大和(いわみだいわ)・大田・邑智・隠岐・羽須美各中継局が設置されている。

注43:エフエム山陰の本社は山陰中央ビル(山陰中央新報社の本社のある建物)の4階に、岡山エフエム放送の本社はNTTクレド岡山ビルの11階にそれぞれ開局時点から入居している。

 

エフエム山陰本社が入居している山陰中央ビル(左)と岡山エフエム放送本社が入居しているNTTクレド岡山ビル(右)

注44:「Weekend Paradise」の放送時間が短縮されたのは今年1月から金曜日午後6時30分〜午後7時に自社制作番組「ラジOH!」を設定するためである。

注45:残念なことだが山陽放送ラジオがradikoに参加した時に始めた月曜日〜金曜日朝の自社制作のワイド番組「朝です。全員起立!」(2014〜2017年〔平成26〜29年〕放送)はわずか2年4ヶ月で終了している。番組内容が迷走を繰り返していたというような声が本サイトに寄せられたことがあるのだが、その前の番組、すなわち「おかやま 朝まるステーション1494」(2008〜2014年〔平成20〜26年〕放送)を強制的に終わらせたことが私としてはどうかと感じる(他の中国地方にあるradikoに参加している民間ラジオ放送局でこういうことをしたところはない)。こういうところに現在の山陽放送が置かれている苦境が垣間見えると感じるのは私だけだろうか。

注46:中国放送ラジオもかつては月曜日〜金曜日午後の自社制作のワイド番組「なんでもジョッキー」(1975〜2003年〔昭和50年〜平成15年〕放送)などをNTTクレド基町ビル(広島市中区基町)の商業棟6階にあったサテライトスタジオから放送していたことがあった(このサテライトスタジオは2004年〔平成16年〕8月に閉鎖されており、現存しない。また、中国放送は現在サテライトスタジオは一切持っていない)。

注47:主な喋り手は下表の通りである。

氏名 担当番組 概要
牛嶋 俊明 ・Fresh Morning OKAYAMA
(金曜日担当)
・牛嶋俊明ドリームファクトリー
・元中部日本放送(CBC、名古屋市中区新栄一丁目)アナウンサー。
林 智美 ・Weekend Paradise ・近畿(関西)地方を中心にタレントとして活動しており、エフエム滋賀(愛称:e-radio。大津市西の庄)や朝日放送ラジオ(ABC、大阪市福島区福島一丁目)でも番組を持っている。
藤岡 明美 ・TWILIGHT PAVEMENT
(月曜日・火曜日担当)
・1990年代半ばから後半にかけて中国放送福山支社(福山市北美台)制作のラジオ番組(中国放送ラジオ福山・府中・三原各中波中継局だけで放送されていたワイド番組)や中国地方初のコミュニティ放送局・エフエムふくやま(愛称:レディオBINGO。福山市西町二丁目)の番組に出演していた。
森田 恵子 ・Fresh Morning OKAYAMA
(水曜日・木曜日担当)
・元瀬戸内海放送(KSB、高松市西宝町一丁目)アナウンサー。
・瀬戸内海放送入社前の学生時代は山陽放送ラジオの往年の人気番組「サンデーベスト」(1973〜2002年〔昭和48年〜平成14年〕放送)に出演していた。
・瀬戸内海放送退職後は岡山・香川両県でタレントとして活動している。
・高校時代にはNHK杯全国高校放送コンテストアナウンス部門で優勝したことがある。

注48:岡山エフエム放送は開局当初月曜日〜金曜日の昼にも自社制作のワイド番組を設定していたことがあった(2005年〔平成17年〕暮れをもって終了→廃枠)。

注49:その主たる理由は愛媛県の経済基盤が脆弱であることと少子・高齢化や過疎化により人口が減少していることである。そのようになったのは次に挙げる地理的事情が大きい。
・愛媛県を含む四国地方は日本の主たる幹線筋から外れていること。
・愛媛県は地形が複雑なこと。
・愛媛県は工業が盛んな都市はあるがそれは瀬戸内海沿岸に限られること。
・愛媛県の県庁所在地である松山市は四国地方最大の都市であり、四国地方唯一の50万都市ではあるが広島・山口・高知・大分方面との交通網(鉄道・高速道路)に恵まれていないこと。

注50:長寿番組の後釜番組が長続きしない理由としては長寿番組の終了を契機にその時間帯の番組を視聴または聴取しなくなった人がいることや折角長寿番組を打ち切ってまで始めた番組はどんなものだろうとして期待して視聴または聴取したところ面白さを感じなかったため次第に視聴または聴取しなくなったこと、時代の急激な変化の中で番組の目指すものと視聴者または聴取者の嗜好が合わなくなっていったこと、番組司会者が前の番組を越えようとどこかで力んでしまったことなどが考えられる。

注51:エフエム山陰については55分間の録音番組から金曜日夕方の生放送番組に移行し、今春の番組改編を乗り切れば今年6月28日に録音放送時代からの回数が1,000回の大台に乗る「おがっちのレトロ本舗」が、岡山エフエム放送については自社制作のワイド番組(そのうちの二つは開局時からずっと続いている)がそれぞれ挙げられる。

注52:中国放送ラジオと広島エフエム放送がradikoに参加した当時、両局で中国放送の泉水(せんすい)はる佳アナウンサーと広島エフエム放送の笹原綾乃アナウンサー(当時)が出演する宣伝が流れていた。結局中国地方では民間中波放送局と都道府県域民間エフエム放送局がradikoに同時参加することは他になかったからこの宣伝は唯一のものとなった。
※笹原綾乃アナウンサーは現在はフリーに転身し、広島エフエム放送の月曜日〜金曜日朝の自社制作のワイド番組「GOOD JOG+」の月曜日と火曜日を担当している他広島ホームテレビ(HOME、広島市中区白島北町)の日曜日昼の情報番組「ココ! ブランニュー」にもレポーターとして出演している(但し毎回ではない)。

注53:スマートフォンの中にはエフエム放送のチューナーが内蔵されており、イヤホンを付けることでエフエム放送を聴けるものがある。
※イヤホンを付けなければならないのはイヤホンがアンテナになるためである。

注54:山陰放送ラジオは2012年(平成24年)1月30日にradikoに参加しているが、早く参加した一因としては受信環境改善が考えられる(こちらでもそのことについて記しているので併せてご覧頂きたい)。

注55:民間ラジオ放送局のうち民間中波放送局と民間短波放送局―日経ラジオ社(愛称:ラジオNIKKEI。東京都港区虎ノ門一丁目)だけだが―は既に全放送局が参加しているが、都道府県域民間エフエム放送局に関しては下表に挙げた8社が未だに参加していない。

放送区域 放送局名 所在地 備考
秋田県 エフエム秋田 秋田市八橋本町三丁目
山形県 エフエム山形 山形市松山三丁目
鳥取県
島根県
エフエム山陰 松江市殿町
岡山県 岡山エフエム放送 岡山市北区中山下一丁目
徳島県 エフエム徳島 徳島市幸町一丁目
高知県 エフエム高知 高知市鷹匠町二丁目
佐賀県 エフエム佐賀 佐賀市本庄町袋
宮崎県 エフエム宮崎 宮崎市祇園二丁目

このうち秋田県・山形県・鳥取県・島根県・岡山県・徳島県・高知県・宮崎県では対抗関係にある民間中波放送局は記すまでもなくradikoに参加しているのだが、佐賀県は長崎放送ラジオ(NBC、長崎市上町)の放送区域に含められていながらradikoの無料聴取地域の対象外にされている上に長崎放送ラジオ佐賀放送局(佐賀市本庄町本庄)が制作し、佐賀県内の中継局だけで放送されている番組はradikoでは再送信されていないため佐賀県では佐賀県を放送区域とする民間ラジオ放送局の番組をradikoで楽しめない状況が続いている。

注56:注42で触れた通りエフエム山陰は中継局を開局時の3局から10局に増やすことで受信環境改善を図ったがそれでも中継局から遠く、なおかつその間に山があるために受信しづらい地域は残っている。また、岡山エフエム放送は開局時から全く中継局を増やしておらず、こちらも未だに受信しづらい地域が残っている。

注57:実は山陽放送ラジオも政令指定都市を放送区域に擁する民間中波放送局としては最後にradikoに参加したところになっている(それはこちらで触れているので併せてご覧頂きたい)。

注58:エフエム文字多重放送は既に運用は終わっているし、中波ステレオ放送も現在では関東・東海・近畿(関西)各地方の一部の民間中波放送局で行われているだけであり(実施状況はこちらで記している)、運用終了は時間の問題と化している。